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しおりを挟むこの町で「いちおう」最後の夜だ。
私はまたおばさんとワインを飲んでいた。
今日は少なめにしよう。
なんて思っていたらレヴィもリアも混ざるみたい。
「しぶいー」
「あははは!」
「しぶいよねー」
リアはすでに酔っ払っている。
レヴィはちびちび舐めているけど、嫌いではないっぽい。
みんなにこにこしていて、このままこの町にいても良いかな?って思ってしまう。
でも私達にはまだやり残している事がある。
それは「石を取り戻す」ことだ。
やりたい事をやらないままいたら後悔するに決まっている。
お客さんの誰もいない4人だけのロビーだけど、昔話やこれからやりたい事、色々な話題に花が咲いた。
リアはラシバルに会ってみたいと言う。
「ラシバルには彼女いるよ?」って言ったら「1番弟子と戦ってみたい」って言った。
そういう意味かー。
思い返してみたら「アリア」はひたすらに宿のお手伝いと剣の稽古をして大きくなったんだった。
惚れた腫れたには縁はなかっただろう。
でもこれからはおばさんの助言のもと「リアという女の子」としての幸せも掴んでほしい。
私がそう言うとリアは「まだまだはやいよーっ」て笑った。
スフィにもおじさんがいるし、私にはもちろんレヴィがいる。
リアにもそういう安らぎっていうかなんか安心感?みたいなものを感じて欲しいなって思う。
「リーナ。あんたバリアー張ってくれたんだって?」
おばさんがおもむろに言った。
「え?うん。悪さする人が入れない感じのやつね」
私はトリスみたいに見えなくなったりするようなすごいバリアーは出来ない。
でもちょっとでも、あの森みたいにみんなが穏やかに過ごせる場所が増えたら良いと思っていた。
「まぁねぇ。なんていうか?そんなの無くっても最近は客なんて来ないけどねぇ?」
おばさんが茶化す。
「あははは!」
リアは笑う。
「たしかに!来たのはアメリア軍くらいだよね」
リアは「アリア」の時からおばさんとおなし事を感じていたみたい。
「商人さんは?」
レヴィが聞いた。
「ん、、うん。来ないねぇ?」
いやいやそんな事ある?
「ロドリーさんも?」
私はたまらず聞く。
「あー、、。旦那もねぇ、、。しばらく姿をみないねぇ、、」
「そうなんだ、、、」
おかしい。
ロドリーさんは、行商人だったはずだ。
どこかに店を持ったとしても仕入れは必要な筈だ。
「境界線」
私は無意識につぶやいていた。
「ん?なんだいそれ?」
おばさんが耳ざとく聞いてくる。
「えっとね?、、」
私はおじさんと話した内容を出来るだけ細かく説明した。
みんな「むー、、」ってなる。
「確かにねぇ、、ただロドリーの旦那が飲み込まれたってのはどうかねぇ?ちゃんとわきまえた人だからねぇ」
「そうだよね、、」
私はロドリーさんにあげた「私の血」についても話した。
「そりゃ、、ちょっと危ないねぇ」
おばさんの表情が曇る。
「リーナの血なら、お貴族さまなら喉から手が出る程欲しいものさね」
「だよねー」
レヴィは胸をはる。
「レヴィ、ちょっと違うから。ふふっ」
「えっ?あははっ!」
「ロドリーさんも探してみる」
私の言葉でその日はお開きになった。
また「不安」が増えてしまった。
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