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しおりを挟む「ウイナー!ストップストップ!」
キキーっ!っていう感じに急ブレーキをかけるウイナー。
堪らず御者席から放り出された私とレヴィはかろうじてウイナーのツノにぶら下がって地面に転がるのを免れた。
「あはははっ!」
レヴィは楽しそうだ。
「ふふっ!」
ぶるっ。
ぶら下がった私達をちらちら見ながら「なに?」っていう顔をするウイナー。
すとっと地面に降りてウイナーを撫でる。
「ウイナー、ここがセレスティアナだよ」
桜色のバリアーがかかったセレスティアナ。
私が「許可」しているから、レヴィとウイナーにも見えている。
まだ今は誰も居ない瓦礫のまんまの姿だ。
いつかこの街を昔みたいに賑やかな笑い声で溢れさせたい。
それには人族と仲良くならないといけない。
リアやおばさんやラシバルにもみてもらいたいから残された時間は少ない。
人族は100年くらいしか生きられないから。
いっその事、みんなを齧ってバンパイヤにしてしまいたいと思う事すらある。
そのくらい今の私には自信がない。
何かをなす自信がない。
失敗ばっかりで、きっとトリスにも叱られちゃうと思っている。
ガスっ!
「いてっ」
ウイナーに突っつかれた。
私はまた1人で考え込んでいたみたい。
レヴィは鉄壁に登って街の中を見ていた。
「レヴィ!行くよーっ!」
くるりと振り返って、たたっと戻って来て私にがばっと抱きついてくるレヴィ。
「大っきい街だね、、」
「うん」
「たくさんの人が暮らしていたんだね」
「うん、うわっ」
ぐわっと私を持ちあげるレヴィ。
「セレスティアナ!賑やかになるの楽しみっ!」
レヴィは私が自信ないなんて思ってない。
セレスティアナが昔の華やかさを取り戻す事を疑ってない。
「あははは!」
なにを弱気になってたんだ私は。
レヴィがいる。
トリスもいる。
みんないるじゃないか!
「うわあっ!」
レヴィにぽーんと空に投げられてびっくりしながらくるりと身を翻してすたりと着地する私。
「忙しくなるよーっ!」
握り拳を振り上げて見せる。
「うんうん!」
レヴィはほんと楽しみで仕方ないっていう感じだ。
さぁ、お城に帰ろう。
私達はウイナーを撫でて馬車に乗る。
「ゴー!ウイナーっ!」
レヴィの掛け声でウイナーが駆け出す。
「いてっ」
「あはははっ!」
急に走りだすから頭ぶつけた。
「ウイナー!森の方にお城あるからっ!」
レヴィが教える。
ぶるっ。
更にスピードが上がる。
右に左に車体を揺らしながらウイナーに引かれて馬車が森の中を走る。
「ウイナー!谷があるから気を付けてっ!いてっ!」
おしりはだいじょぶだけど頭とか肩とかぶつけて痛い。
直ぐに森が薄くなって渓谷が現れる。
まるでドリフトするみたいに馬車は森から渓谷沿いの道に躍り出た。
「落ちるーっ!」
そこでウイナーは更に加速する。
「あはははっ!」
レヴィは終始楽しそうだ。
ウイナーに引かれて馬車はお釣りを出しながら渓谷沿いを猛スピードで進む。
きっと馬車の後ろには土煙が上がっているに違いない。
渓谷沿いのストレートになって直ぐお城が見えて来た。
「お城ーっ!」
レヴィが指差す。
「うんうんっ!」
久しぶりのお城だ。
「ひひーん!」
ウイナーも嬉しそうに嘶く。
橋が見えて来て、やっとウイナーは減速した。
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