いつかまたおなじ空のしたで

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「あはははっ！きたなくないよーっ」
いきさつを話したらレヴィは楽しそうに笑う。
まぁ、うんち吸い出してもらったり私のおしっこをごくごく飲んだりしてるから感覚が麻痺してるんだろう。
「妾は仕事があるが？」
そうだった！
「うん、レヴィ行こうっ。トリスまたね」
レヴィの手を引いて部屋を出る。
「3日くらいかかるって」
私が言うとレヴィは「クロイツ側のセレスティアナ」に行って来たいと言った。
馬車で往復2日。
丁度良いかもしれない。
「そうだね。行ってこよう！」
早速ウイナーに馬車を引いてもらうべく馬屋へ向かう。
まだここに来ると涙が出る。
けど、馬屋の前の光景を見て私はびっくりして涙がとまった。
芝生に横になるウイナーの周りには子供達が遊んでいる。
どこにいたんだ？こんなにたくさん。
「きゃっきゃ」と声をあげて走り回る子もいれば、おままごとみたいな感じで座って遊んでいる子もいる。
少し離れたベンチにはいつも通りにこやかなおじいちゃんがいた。
「ほっほっ、おはよう」
「おはようおじいちゃん」
「おはようーっ」
「この子たちは？どこにいたの？」
ベンチに座りながら堪らず聞く私。
「ベアトリクス様の復活を聞いた者達が集まって来ての？賑やかじゃろう？ほっほっ」
おじいちゃんは嬉しそうだ。
「うんうん！」
レヴィも嬉しそう。
「うん、、私も小さい頃こうだった気がする」
ミーシャと森で遊んだ。
食べられるかもわかんない木の実とか草とか摘んでおままごとした。
いもしない敵を、にーにーの真似をして倒したりしていた。
これが「平和」だ。
アメリアは一方的にその平和を蹂躙してくる。
「戦争がない世界」
ふとつぶやいていた。
レヴィは子供達に混ざって遊んでいるから聞こえてなかったけど、おじいちゃんは耳ざとく私の独り言に答えてきた。
「良いものじゃろう？」
「うん、、、」
私は曖昧な返事をした。
「過去に成し遂げたのはベアトリクス様だけじゃろうの」
「そうだね、、」
私は空を仰ぐ。
目を瞑れば、お日様に照らされた瞼の裏にはありし日のセレスティアナが浮かび上がる。
もう手が届かない世界。
まるでガラス張りの世界に閉じ込められた気分になる。
取り戻せないもどかしさと触れられない悔しさが入り混じる。
「あはははっ！」
でも、笑い声で引き戻された。
「はぁー。くたびれたーっ」
私の隣にぽすんと腰を下ろしてレヴィが言う。
「子供の体力は無限大だから」
私は茶化す。
「ほんとにーっ！あはははっ！」
よし。
「おじいちゃん、ちょっと出掛けてくる。ウイナーっ」
ぶるっ！ってウイナーが立ち上がる。
パカパカと寄って来るウイナーにくっついて子供達がみんな集まって来た。
えっ。
「ほっほっ。お姉さんが馬車でお出かけするんじゃがの？一緒に行きたい者はおるかの？」
はあ？！
「行くー！」とか「私もっ！」とか「行きたいっ！」とかみんな興味深々だ。
ばっとおじいちゃんを見る私。
にこりと笑うおじいちゃん。
私の寂しい気持ちが解っちゃったんだな。
「わあっ！みんなで行くの？」
レヴィは乗り気だ。
仕方ない。
「よーしみんな！人族の町に行くよっ！お泊まりになるから！お昼食べたら支度してここに集まるようにっ！」
「はーい！」
声が揃って良いお返事だ。
トリスにブレスレット借りてこないとだな。