いつかまたおなじ空のしたで

ちょっとまって3

「こっちで平気なの？」
レヴィが聞いてくる。
「うん、シアーはこんな形してるでしょ？セレスティアナの場所からしたら私達は今このあたりにいるから、、たぶんこっちに街道か町があると思う。」
地面に剣で簡単に地図を描いてみせる私。
ふむふむと頷いてオッケーをするレヴィ。
私達は一応地面の地図を消すとまた歩き始めた。
それにしても、この森には動物がいない。
厳密には「動物の足跡がない」だけど。
小さなリスとかは木の上にいるのを見かけるけど、イノシシや犬はいないみたい。
寒さに強い動物はきっと強いと思う。
寒い時は私達だって体力を使うから動物だっておんなしなはずだ。
ほんとにセレスティアナの森の快適さを痛感する。
毛皮の毛布だけで眠れるなんて、この森の動物からしたら天国だろう。
「リーナ、、わたしむりぽい、、」
え。
たしかに少し前からレヴィの歩みは遅くなっている気がしていた。
しまった！私はバンパイヤだから寒いくらいで死んだりしない。
でもレヴィは羊だった。握る手も冷たい。
火は起こせないしまだ街道も町も見つけられていない。
しかも、この地面の白い氷はたぶん雪だ。
見たことないけど。
「ごめん！私はバンパイヤだから寒いのも平気だけど、レヴィは無理だよね？！」
これはまずい。
レヴィをおんぶして歩く？でも寒いのは変わらない。
「あー！」
私が頭を抱えているとレヴィが叫ぶ。
「道あった？！」
「ううん！違うちがう！ねぇリーナ、私を石に入れておいてくれたらだいじょぶだよ！」
「ええっ？！」
びっくりだ。
たしかに封印中は中に変化は発生しない。
けど、、。それを逆手にとるなんて。なんていう発想の転換だ、、すごい。
「リーナにだけ歩かせちゃう事になるけど、、、」
「そんなの全然だいじょぶだよ！」
「中は変化ないんでしょう？」
レヴィが聞いてくる。
「うん、時間は止まるけど、、中からは周りがわかるみたい。トリスは私がアレス引っ叩いてるの観てたし」
「それならだいじょぶだね！」
もー。レヴィはなんだか嬉しそうだ。
「ふぅ。町が見えたら、すぐ出してあげるからね」
「うんうん！おねがいー！」
「たぶんめちゃくちゃ痛いから、覚悟してよ？！」
「痛いところはリーナが舐めてくれるから平気！」
そうだった。
「ふふっ！じゃあいくよ！」
私は剣を掲げて「願う」！
「うん！」
お願いお願いお願いお願いお願いお願い！
ぽうっと剣が暖かくなって宝玉が出来上がった。
レヴィがごくりと息をのむ。
「それじゃあ、あとでね？」
「うん！」
にこりと笑い合って、私は気閃でレヴィを撫でた。
「ウェイ！」
目をつぶって私に斬られたレヴィがもやになって宝玉に吸い込まれる。ご丁寧にぐるぐる巻きに着ていた毛皮も一緒にだ。
カチャリと石を剣から外してハンカチて包んでから次元収納にしまう。
寂しいけど仕方ない。
私はもう一度セレスティアナとの位置関係を確かめてから、シアーの町がありそうな方角に歩き始めた。