いつかまたおなじ空のしたで

まだちょっとまって0

「ふん。まるで人間だな」
気を失ってしまったレヴィを介抱する私に「ロジｨ」と呼ばれた人族が言う。
睨み返す私。
気に当てられただけでレヴィはこの有様だ。
こいつは強い。
ロジｨが左手で払う仕草をするとワラワラと兵士達が私達を取り囲む。
かなり位の高い兵士達なのだろう、皆ミスリルのブキと防具を身につけている。
「やれ」
ロジｨの号令で一斉にかかってくる兵士達。だけどこんなやつら相手じゃない。
キシっ！
展開した繭に拒まれ兵士達は私にたどり着く事なく塵になる。
ロジｨはなにかに勘づいたのかばっと後ろに下がって繭を避けた。
「ロジｨ様！「崩壊の繭」です！触れてはなりません！」
ロジｨより更に後ろにいた白衣の男が叫ぶ。
「ふん、なるほど」
半球型に切り取られたように机や棚はもちろん壁や柱も無くなった部屋を見てロジｨが呟く。
レヴィを残った壁に寄り掛からせて剣を抜くとロジｨに向き直る私。
「っあーっ！」
一気に間合いを詰めると斬りかかる。
けど一瞬速く鞘から放たれたロジｨの剣に一撃目が阻まれる。
ギギン！
「くっ！ウェイっ！」
ギン！
斬り返す私の剣を片手で受けるロジｨ。
「ふん、なかなかいい剣筋だが、、得物がレプリカでは話にならんな」
鍔迫り合いでギリギリと火花が散る。
その時なにかに気が付いた様に白衣の男が言った。
「ロジｨ様！そやつの剣はレプリカではありません！アメリアから奪われた内の一振りでございます！間違いありません！」
「ッウアイッ！」
剣を弾いて3連撃を撃つ私。
でも、またも華麗に捌かれる。
「恥を知れ」
ロジｨの言葉に縮こまる白衣の男。
「ふん、だがそれならそれだ。多少の歯応えは期待できるという事だな？」
言うが早いか視界から消えるロジｨの剣を気配を頼りに受け流す。
速い。
グレンなんて子供に感じるくらい速い！
いつかおじさんが言ってたっけ。
「俺はよ、境界線を越えちまったんだよ」って。
強い敵。許せない敵に出会う度にいつの間にか「境界線」を超えてしまって今日まで来た私達。
これからだっておんなしだ！
超えていってやるんだ！
今まさに「強敵」と剣を交えながら私はそう思っていた。