万象無双の魔銃士《マギガンナー》 〜出来損ないはいらないとパーティを追い出されたら【ユニークジョブ】を授かりました。今更泣きつかれても、エロ

しがわか

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11話 読めない系女子

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 衛兵のおっさんに見送られながら街を出る。
 目的の月夜茸が採取できるのは、昨日ロッカと出会った場所からさらに奥へ入った辺りだ。
 月夜茸は夜になると青緑に光るキノコだ。さすがの俺でも見分けがつくだろう。
 
「それじゃ、まずは月夜茸を採取して——」
「エコーライトの手がかりを探すってわけだな」

 ロッカは頷くと、やる気に満ちた顔で拳を握った。
 朝早くに服屋を叩き起こして買った新しい服がとても良く似合っている。

「とりあえずそこまでの道案内は任せとけ」
「さすがヴェインさん、頼もしいですっ!」

 昨日はロッカを背負っていたので時間が掛かったが、本来は目的地までそれほどの距離じゃない。
 ティアに封術を指南しつつ、片手間で魔石に封術をしながら歩く。
 目的地は森なので、大惨事にならないように水、風系の汎用的な攻撃魔術を多く込めておく。
 こうやって予め準備をしておけば、魔物と遭遇した時に優位を取れるだろう。

「ええっ、一瞬で魔石に魔術紋が刻まれていく……?」
「昔は手作業で封術していたんだがあまりにも効率が悪いから、魔法陣を使うことにしたんだ」
「そんな簡単そうに……」

 魔法陣に一度全ての文字を書き込んでから一気に焼き付けるだけなんだけどな。
 魔術をちゃんと理解していないとできないから、ティアはまずそこからか。
 
「はい、自分の未熟さがわかりました……」

 しゅんとしながらも、瞳の奥は燃えているようだった。
 
 太陽が真上に昇った頃、目的地の近くまで辿りついた。
 軽めの昼食を済ますと、さっそく森の中へと足を踏み入れる。
 
 森は昼間とはいっても薄暗い。
 そこかしこから聞こえる獣の声が怖いのか、ロッカは俺のすぐ後ろで外套の裾を軽くつまんでくる。

「もしかして怖いのか?」
「こ、怖いわけじゃ……ただ、足元が暗いので」

 ロッカはそう言うとさらに距離を詰めてきて、気付けばぴたりと体を寄せてくる。
 こんな怖がりでどうやって一人で探索してたんだよ、と思わず笑いそうになった。
 
「わっ、これなんですか!?」

 ティアが素っ頓狂な声を上げる。
 
「ああ、これは俺たちが遭遇した森林豹フォレストパンサーの死骸だな」

 そういえば肉の一部と魔石は取ったがその他はそのままにしていたんだった。
 ちゃんと焼却しておかないと疫病や、他の魔物を呼び寄せる原因になる。
 幸いまだ小さな羽虫がたかっているだけったので、今のうちにちゃんと処理をしておこう。

「下がってろ」

 俺は二人にそう告げると、魔銃マギシューターを構える。
 土魔術を地面に撃ち込んで穴を開けると、森林豹だったものを中に放り込み、火の魔術を撃ち込んだ。

「これでばっちりだ」
「魔銃の耐久も平気そうですね」
「ああ、意図して威力を落としているからな」

 ただ強い魔物との戦闘になったらそうはいかないだろう。
 それだけが少し不安だったが、そこはロッカ様に頼る他ない。

「よし、それじゃ行こうか」

 
 奥へ進むと、ただでさえ薄暗かった森がさらに暗さを増した。
 光魔法を封じた魔石を手に取ると、ホルダーに入れて腰にくくりつける。
 仄かな光が周囲を照らしだすと、ロッカが嬉しそうな声を出した。

「それいいですねっ!」
「だろ。暗いところで重宝してるんだ。封じた魔術を喚起しない限りは一ヶ月は保つ」
「えぇっ、師匠の封術はどうなってるんですか……普通の封術は3日も保てばいいほうですよ」
「それは魔術紋の深度の問題だな。また今度教えてやる——あっ」

 目の前に何かが落ちている。
 それは金属の筒のようなもので……。

「あっ、これ……わたしの水筒です! こっちにはコンパスも!」

 周囲を探索してみると、ロッカが落としたといっていたバックパックが見つかった。
 散らばった荷物を集めていると、頭上の木の枝にも何か引っかかっていたので取ってやる。

「ほら、これもロッカのだろ」
「あっ、それはわたしのブ、ブラ……ッ!」

 俺の手からそれを奪い取ると、顔を赤くして頬を膨らませた。
 まるでフグみたいで可愛らし……くはないな。
 
「なんにせよ荷物が見つかって良かったな」
「はいっ、中身もほぼ残ってますし……助かりました」

 ロッカと喜びあっていると、後ろから小さな悲鳴が聞こえた。

「きゃっ!」
 
 慌てて振り返ると、木の根に足を取られたティアがバランスを崩して俺の胸に倒れ込んできた。
 反射的に抱きとめると、その勢いで地面に倒れこんでしまった。
 襟元の大きく開いた胸が顔に押し付けられて苦しい。
 
「……なんかちょっと嬉しそうなんですか、ヴェインさん」
「いや……全然?」
  
 ロッカがじと目を向けているが誤解だ、誤解。

「ティアローズさんも早く離れてくださいっ!」
「わ、わざとじゃないのにぃ……」
「ヴェインさんそれより、見てください。これがエコーライトの鉱床だという地図です! この辺を示していると思うんですけど……」

 ロッカから地図を受け取って、見ると……確かに汚い字と絵だ。
 だがこれは——。

「おいこれ……反対側の森だぞ?」
「えっ……」

 どうやらロッカは地図が読めない系女子だったらしい。
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