2 / 11
2
しおりを挟む【愛に染まる空~ Il ciero si è tinto di amore ~】というゲームだっ!?
確か、十八禁のBLゲームで・・・男にこんなモン買わせんじゃねぇっ!!!! って、心底泣きたくなったのを凄く覚えている。女性店員さんのなまぬるい優しい目が、死ぬっ程恥ずかしかったっ!!
でも、「釣りは取っときな。お小遣いにしていいから」と、気前よく五万円をくれたから、悶絶する程の羞恥を堪えてレジに並んだ。「だけど、買って来ない場合、五万円はキッチリ返してね♪」と言われたし。
ちなみにゲームは、三万以上した。お釣りの一万と少しを貰った。あの羞恥心に対して一万と少しなのか・・・と、なんだかとても悲しくてやりきれなくなった。
そして、『ゲームを買ったら直ちに持って来ること!!』と姉貴から命令があって、急いで帰ろうとして、『俺』は――――
確か・・・
歩道橋から、足を踏み外したんだった。
ゲームを落として壊したら姉貴に殺されると思って、ゲームを確りと抱き抱えて、代わりに身体のあちこちをぶつけて、それがまた死ぬ程痛くて。ゲームを確認したら、ゲームには傷が付いてなくて守り切ったぜ! って安心したら・・・
急に、起きてられない程に眠くなって――――
その後の記憶が、無い。
それから、気付いたときにはもう・・・この世界で暮らしていた。
第二王子の僕――――『シエロ』として。
そう、か・・・
『俺』はきっと、あのときに死んだんだ。
って、待てやおいっ!?
ここはBLゲームの世界だぞっ!?!?
しかも、シエロって・・・
俺の買わされたゲームのタイトル【愛に染まる空~ Il ciero si è tinto di amore ~】の中に、シエロって名前入っちゃってんですけど~~~~っ!!!!
『やっべぇ、詰んだ。BLゲームの中の王子様とか、マジ終わってる。神さま呪うレベルだわ』
と、絶望で思わず天を仰いだときだった。血の気が引いたのか、目眩までして来た。だというのに、
『そんな悲しいこと言わないでっ!? シエロたんはもう生きてるだけで尊いんだからっ!? この世界に生まれたあたしが、どんなにシエロたんを愛して、どれだけ会いたいと切望して、希ったのかわかるっ!? あと、この世界の神さまは貴腐神様に違いないわっ!?』
ハァハァと鼻息の荒い美幼女が、涙目で『俺』へとテンション高くシエロへの愛を訴える。
おそらくはこの子も、その口振りからすると・・・『俺』と似たような、転生者なのだろう。
どこが大人しくて聡明だよっ! 中身は確り腐り切った女子じゃねぇかよっ!?
それにしても、神さままでもがマジで腐ってンのかよっ!?
さすが、腐った世界だな・・・
ツラ過ぎるっ!!!!
81
あなたにおすすめの小説
【 完 結 】言祝ぎの聖女
しずもり
ファンタジー
聖女ミーシェは断罪された。
『言祝ぎの聖女』の座を聖女ラヴィーナから不当に奪ったとして、聖女の資格を剥奪され国外追放の罰を受けたのだ。
だが、隣国との国境へ向かう馬車は、同乗していた聖騎士ウィルと共に崖から落ちた。
誤字脱字があると思います。見つけ次第、修正を入れています。
恋愛要素は完結までほぼありませんが、ハッピーエンド予定です。
透明な貴方
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
政略結婚の両親は、私が生まれてから離縁した。
私の名は、マーシャ・フャルム・ククルス。
ククルス公爵家の一人娘。
父ククルス公爵は仕事人間で、殆ど家には帰って来ない。母は既に年下の伯爵と再婚し、伯爵夫人として暮らしているらしい。
複雑な環境で育つマーシャの家庭には、秘密があった。
(カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています)
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
聖女は魔女の濡れ衣を被せられ、魔女裁判に掛けられる。が、しかし──
naturalsoft
ファンタジー
聖女シオンはヒーリング聖王国に遥か昔から仕えて、聖女を輩出しているセイント伯爵家の当代の聖女である。
昔から政治には関与せず、国の結界を張り、周辺地域へ祈りの巡礼を日々行っていた。
そんな中、聖女を擁護するはずの教会から魔女裁判を宣告されたのだった。
そこには教会が腐敗し、邪魔になった聖女を退けて、教会の用意した従順な女を聖女にさせようと画策したのがきっかけだった。
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる