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しおりを挟む『それは確かに、激怒してもいい案件だっ!?』
『なら、攻略対象の誰かとシエロたんを』
『だが断る! それは無理だっ!?』
嬉々として言おうとしたヤベぇ言葉を遮る。
『チッ・・・』
『舌打ちかよ。でもさ、ねーちゃん。物語やゲームなら楽しめても、実際にヤンデレや鬼畜とか、メンヘラな人って、普通に知人程度でも付き合うのキツいっての。できれば、あんまりお近付きになりたくない人種じゃん。友達がそんなんなったら、縁切り考えるレベルだぞ俺は。更に言うと、ノーマルな俺には、全部拷問だかんな? 男同士なんて、絶対に無理。なんだったら、ワンチャン懸けて、もう一度人生やり直してもいいくらいだ』
じっと、真剣な目でねーちゃんを見据える。と、
『わかったわ。無理強いはしない。折角会えたってのに・・・またアンタに先立たれちゃったら、さすがにあたしもキっツいもん』
美幼女には似つかわしくない、どこか悲しみを湛える慈しむような大人びた眼差しが返って来た。
『というワケで、麗しきヤンデレ攻略キャラ達から逃れたいのなら、婚約者令嬢と仲良くなさい』
『了解です!!』
斯くして、まだ見ぬ婚約者令嬢と普通の結婚生活という幸せを掴むべく、ねーちゃんの手を借りての俺の奮闘が始まろうとして――――
「あの~、シエロ様。妹君とは一体なにをお話で?」
掛けられた声に振り返ると、なんだかとても困ったように、乳兄弟のグレンが、俺とねーちゃんの様子とを伺うような顔をしていた。
『フー! 粘着ストーカー細マッチョ近衛騎士のショタバージョンキターっ!?』
空気を読まず、そんなことをテンション高く一息で叫んだねーちゃんへは、若干不気味なモノを見るような目を向けて。
『言い方! 多分まだ、粘着ストーカーじゃねぇからその呼称は勘弁してやって!』
まぁ、グレンは俺と二つしか変わらねぇから、今現在ショタなのは確かだが。
「シエロ様?」
今度は、心配そうな顔。
『ハァハァ、不安そうな顔もまた堪らん!』
『いやもう、ねーちゃん今ちょっと黙ってろよ。グレンと話進まねぇから』
『りょ』
ぐっとイイ笑顔でサムズアップをして、ねーちゃんは口を閉じた。
「あ~、その、なんだ? グレン」
「いえ、妹君とどのようなお話をされていたのか、気になりまして……妹君も、シエロ様も、とても興奮していらしたようですので。喧嘩……ではありませんよね?」
確認するような口調。
「ああ、喧嘩はしていない。そう、だな。ねー……妹が、俺も知っている、とてもマイナーな言葉を話していたものだから、意気投合してな。話しているうちに、思わず興奮してしまったんだ」
「そう、ですか……その、シエロ様はいつそのような特殊な言語の習得をされていたのでしょうか?」
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