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獣医師パトリックの場合。
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「パトリック・グラジオラス!貴殿と我が娘との婚約は、見直させて頂くっ!」
今はもう名前も覚えていない令嬢の父親が、非常に怒った様子でパトリックへと告げたのだ。
「はあ、わかりました」
そう答えると、
「騎士団に身を置けると思わぬことだな!」
その父親が言い捨てて去って行った。
あの頃のパトリックは、まだ獣医師の資格を取得予定で、王立騎士団に所属するか地元のグラジオラス領の私設軍に所属するかを迷っていた。
王都の軍馬には未練があったが、婚約者の令嬢の実家は王立騎士団へ顔が利くらしく、パトリックの王都での軍属は難しいだろうと事情通のグラジオラスの親族に言われた。
なのでパトリックは、獣医師免許を取得後、グラジオラス辺境伯領へ帰ることにした。
こうしてパトリックは、辺境伯領でグラジオラス領私設軍の専属獣医となったワケだが・・・
パトリックには、なぜ婚約破棄をされてしまったのかが未だにわからない。
全く困ってもいないのだけど。
あの日、婚約予定の令嬢との顔合わせで・・・
前日の雨で道が泥濘み、顔合わせの場に令嬢側の家が遅刻しそうになったらしい。
遅刻してはパトリック達側に失礼だと、馬車を無理に急がせたのだという。
その結果、制御の利かなくなった馬が暴れて運悪く馬車が横転しそうになったのだ。
幸い、横転しそうになっただけで、馬車自体が倒れたワケではなかった。しかし、令嬢はこれ以上馬車へ乗ることが怖いと言い、立ち往生してしまったと報告が来たのだ。
そしてパトリックは、
「無事かっ!?」
と馬車が止まった場所へ慌てて駆け付け、
「怪我はっ!?」
真剣な顔で聞いた。
「はい、幸いなことにお嬢様へ怪我は無いようです。ご心配をお掛けしました」
そう言った従者を無視し、
「俺が聞いてるのは、馬の方だっ!?」
馬の方へ駆け寄って、その状態を確認した。
幸い、馬にも大した怪我が無くてよかったのだが、なぜか先方に激怒されて婚約の話が流れた。
今はもう名前も覚えていない令嬢の父親が、非常に怒った様子でパトリックへと告げたのだ。
「はあ、わかりました」
そう答えると、
「騎士団に身を置けると思わぬことだな!」
その父親が言い捨てて去って行った。
あの頃のパトリックは、まだ獣医師の資格を取得予定で、王立騎士団に所属するか地元のグラジオラス領の私設軍に所属するかを迷っていた。
王都の軍馬には未練があったが、婚約者の令嬢の実家は王立騎士団へ顔が利くらしく、パトリックの王都での軍属は難しいだろうと事情通のグラジオラスの親族に言われた。
なのでパトリックは、獣医師免許を取得後、グラジオラス辺境伯領へ帰ることにした。
こうしてパトリックは、辺境伯領でグラジオラス領私設軍の専属獣医となったワケだが・・・
パトリックには、なぜ婚約破棄をされてしまったのかが未だにわからない。
全く困ってもいないのだけど。
あの日、婚約予定の令嬢との顔合わせで・・・
前日の雨で道が泥濘み、顔合わせの場に令嬢側の家が遅刻しそうになったらしい。
遅刻してはパトリック達側に失礼だと、馬車を無理に急がせたのだという。
その結果、制御の利かなくなった馬が暴れて運悪く馬車が横転しそうになったのだ。
幸い、横転しそうになっただけで、馬車自体が倒れたワケではなかった。しかし、令嬢はこれ以上馬車へ乗ることが怖いと言い、立ち往生してしまったと報告が来たのだ。
そしてパトリックは、
「無事かっ!?」
と馬車が止まった場所へ慌てて駆け付け、
「怪我はっ!?」
真剣な顔で聞いた。
「はい、幸いなことにお嬢様へ怪我は無いようです。ご心配をお掛けしました」
そう言った従者を無視し、
「俺が聞いてるのは、馬の方だっ!?」
馬の方へ駆け寄って、その状態を確認した。
幸い、馬にも大した怪我が無くてよかったのだが、なぜか先方に激怒されて婚約の話が流れた。
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