グラジオラス辺境伯領の残念な人々。

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
4 / 161
とあるパーティー会場の控え室にて。

しおりを挟む
「だって、お強くてグラジオラスの騎士であらせられるアイラ様が、あの無能な顔だけクズ野郎にどうにかされるなんてこと、天地がひっくり返ってもありえませんもの! むしろ、アイラ様に調教されて、少しはマシになれば宜しかったのに」
「君もなかなか言うね?」
「・・・そんなことはかく、なぜアレ・・がこんな風にやらかすまで止められなかったのでしょうか? お兄様」
「そうだねぇ・・・とりあえず、あのクズをいさめることができなかった役立たず共は全員左遷決定なんだけどね。アレ・・が、向こうから帰って来る道中の・・・宿泊した街のおおよそで、不特定多数の女性と火遊びしていたらしい。そして、それら全てが、事後報告になっていた。オマケに、仲良くなった女性達脳足りん共を王都に呼んで侍らせるだなんて馬鹿過ぎる非常識、誰が考える? 頭が痛いよ、全く」

 深く溜息を吐く青年。

「成る程・・・クズですわね。こうなる前に…さっさと切り落としてしまえば宜しかったのに…」
「こーら、レディがそんなこと言わない」

 青年は少女の不穏な呟きを窘める。

「それはそれとして、今回のことでグラジオラスあちらがなにかを言ってくることはあるでしょうか?」
「さあねぇ? グラジオラスあそこは本当に、色々と特殊だからね。王家うちと縁を結びたがりもしないどころか、出世にも無頓着。偶に王家うちや他の家でやらかした馬鹿な奴を引き取ることがあっても、『血縁』ができたことがないらしいよ? 『不毛の地』と称されるに相応しく、ね。だからこそ余計に、王家うちの信頼も厚いんだけど」
「それはまた・・・ある意味凄いお話ですわね」
「まぁ、グラジオラス辺境伯領あそこはかなり優秀な人材が結構出るのに、そのことごとくが趣味人というか・・・奇人変人ばかりという魔窟だからねぇ? 欲や野心が全く無いというのも、逆に手綱が握り難いものだよ。その代わりと言ってはなんだけど、趣味・・を支援してあげれば国益を出してくれる場所だからね。今回のことはむしろ、父上の方が戦々恐々としているんじゃないかな? それに・・・」
「それに、なんですの? お兄様」
「グラジオラスはあまり血筋に拘らない代わり、身内の結束が固いから、突っつくと厄介なんだよ」
「厄介、とは? お兄様」
「・・・さて、そろそろ収集を図らないとね。行くよ」

 青年は問いには答えずにこりと少女を促すと、騒がしいパーティー会場へと向かった。

 騒ぎの原因である馬鹿おとうとの始末をつける為に。

__________

 思い付いたので割り込みました。
 アイラの言っていた、上や下の優秀な殿下方の会話でした。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

側妃ですか!? ありがとうございます!!

Ryo-k
ファンタジー
『側妃制度』 それは陛下のためにある制度では決してなかった。 ではだれのためにあるのか…… 「――ありがとうございます!!」

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

私はいけにえ

七辻ゆゆ
ファンタジー
「ねえ姉さん、どうせ生贄になって死ぬのに、どうしてご飯なんて食べるの? そんな良いものを食べたってどうせ無駄じゃない。ねえ、どうして食べてるの?」  ねっとりと息苦しくなるような声で妹が言う。  私はそうして、一緒に泣いてくれた妹がもう存在しないことを知ったのだ。 ****リハビリに書いたのですがダークすぎる感じになってしまって、暗いのが好きな方いらっしゃったらどうぞ。

どうぞお好きに

音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。 王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

いつか優しく終わらせてあげるために。

イチイ アキラ
恋愛
 初夜の最中。王子は死んだ。  犯人は誰なのか。  妃となった妹を虐げていた姉か。それとも……。  12話くらいからが本編です。そこに至るまでもじっくりお楽しみください。

最後に言い残した事は

白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
 どうして、こんな事になったんだろう……  断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。  本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。 「最後に、言い残した事はあるか?」  かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。 ※ファンタジーです。ややグロ表現注意。 ※「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載。

処理中です...