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わたしは、覚悟を決めて口を開く。
しおりを挟む「・・・わかりました。では」
「ハッ……なんだよ、ブスのクセに、生意気に口答えしてんじゃねーよ。お前が、どうしてもって言うなら、仕方ないから、別に俺はお前と婚約してやっても……」
安堵したという表情で、なにやら気持ち悪いことをごにょごにょ言うクソガキを無視し・・・
普通の会話ができない、わたしの言葉が届かないというなら、仕方ない。わたしは、覚悟を決めて口を開く。
「おい、そこのブス」
「「……え?」」
遅れて、間抜けな声を上げるうちの母親とクソガキの母親。
「なに間抜けな顔してんだよ、お前のことだよ。お前みたいな地味でパッとしない女が、真ん中の席に堂々と居座ってんじゃねーよ。他人様の迷惑になるから、さっさと退け。目障りなんだよ。聞いてんのか? ったく、顔も悪いなら、耳まで悪いのかよ? それとも、悪いのは言葉を理解できない頭の方か? 人を不快にさせんなよな、このブスが」
蔑みの眼差しと半笑いの顔で口にすると、夫人の顔に朱が上った。
「な、なに言ってるのあなたはっ!? 今すぐ謝りなさいっ!!」
バシっ! と、頬への衝撃。次いで、母の怒声が響いた。
ピリピリと痛む頬。けれど、俯かない。頬を押さえることもしないで、傲然と胸を張る。
「お前っ、母上になんてこと言うんだっ!?」
と、激昂してわたしを睨むクソガキや、怒りを滲ませる親共を、冷めた目で睥睨する。
「あら、皆さん。なぜ怒っているのですか? わたしが、先程から彼に言われ続けているような言葉じゃないですか? ほら? 先程からずっと『ブス』だ『地味女』だって、わたしは言われているじゃないですか? ご子息の『ブス』という暴言や、酷い態度は全部照れ隠しで、微笑ましいのでしょう? なのに、わたしの言った言葉は、笑って流してはくれないのですか? 奥様は、もしご自分の旦那様にあのような言葉を掛けられたら、『あら可愛らしい、照れているのね』と言って喜ぶのではないのですか? 嬉しくないのですか? ほら、笑ってくださいよ。わたしに、『照れているだけなのね。もう、素直じゃないんだから』と言ってくださいよ。お母様も、怒っていないで。『うちの子は照れ屋なので、気にしないでくださいね』と言って、笑ってくださいよ」
わたしの淡々とした言葉に、空気が凍る。
「な、なに言ってんだよ、お前」
__________
まずは話の通じないおかんの方から、口撃開始。(*`艸´)
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