わたくしと婚約破棄して、異母姉と婚約するですって? 宜しい、ならば追放だ!

月白ヤトヒコ

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わたくしと婚約破棄して、異母姉と婚約を結ぶですって? 宜しい、ならば追放だ!

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 と、そう思って準備を進めていたときだった。

 貴族学園、二学期終了の交流会パーティー最中にて。

「新たに自分の家族となった義姉を愛するどころか、疎んで虐げるような心の醜いお前のような女と結婚することなどできない! 俺はお前との婚約を破棄し、真実の愛で結ばれた彼女との婚約を望む!」

 ゎ~お、お花畑共がやらかしたぜっ!!

 というのが、わたしの第一感想だ。

「なんとか言ったらどうなんだっ!?」

 と、元? 婚約者がほざいてやがる。

「そんな、いきなり家族の間に割って入ったあたしとお母さんが悪いんだもの……あたしは、謝ってもらえればそれでいいの。だから、あまりあの子にキツく言わないであげて!」

 と、ようわからん『ほら、こんなに慈悲深いあたしって優しいでしょ?』的なドヤ顔でわたしを見下すクソ異母姉。

 本当に優しくて慈悲深い人間は、仮令たとえ嫌いな異母妹相手であろうとも、こんな風に人前で吊し上げて晒すような真似はしないと思いまーす。普通に性格の悪さが滲み出てると思いまーす。

「婚約解消、ではいけませんか?」

 一応、我慢して聞いてみた。

「ハッ! 彼女を虐げたお前なんかを、婚約の解消でなんて済ませてやるつもりはない! 自分の醜い行いで婚約破棄された女として、一生惨めに生きて行くがいいっ!!」

 と、これまた『言い切った俺、カッコイイ!』というドヤ顔の元婚約者。

 はっはっは、貴様らの空っぽ頭が花畑なのはよ~くわかった!

「わたくしと婚約破棄して、異母姉と婚約を結ぶですって? 宜しい、ならば追放だ!」

 高笑いしたい気分を抑え、上機嫌に応える。

「は? な、なにを言っている貴様っ!? 俺に婚約破棄されたことで頭がおかしくなったのか?」

 一瞬ぽかんとした顔をし、次いでわたしを馬鹿にしたように笑う元婚約者。

「いえ、頭がおかしいのはあなたの方ではなくって? そもそも、婚約とは互いの家と家との結び付きを考慮して行われ、婚姻をもってして縁戚となり、互いの家へと利益や繁栄をもたらすための契約……というのが、貴族間での常識です」
「は? なにを言っている? 意味がわからんぞ」

 と、公衆の面前で頭空っぽさを露呈させる元婚約者。ハッ、愚か者めが!

「つまり、婚約の破棄とは互いの家同士の契約を破棄するということ。そして、契約を理不尽つ一方的に破棄された相手と、同じようにまた契約を結びたいと考える相手は稀ではなくて?」
「だから、なにを言っているんだっ!?」
「簡単に言いますと、わたくしと婚約破棄・・をするならば彼女……そこのわたくしの異母姉・・・と婚約することはできません。むしろ、あなたの家が我が子爵家に抗争を仕掛けているものだと判断致します」
「は? こう、そう?」
「はい。わたくしは、衆人環視の状況下にて、理不尽且つ一方的で根拠の無い侮辱をあなたから受けました。更には、婚約破棄を突き付けられましたので。子爵家次期当主として、伯爵家には厳重に抗議させて頂きます」
「は? い、家は関係無いだろっ!?」

 顔を真っ青にする元婚約者へ言い募る。今頃焦るとは、馬鹿が過ぎる。

「あら? 婚約は家同士の契約ですもの。そもそも、ご自身の家を通していない婚約破棄宣言などあり得ません。万が一あり得たとしても、責任は全て当主に掛かるもの。当然、ご報告と厳重な抗議をさせて頂きます。ついでに、次期当主権限として、異母姉を我が家から追放しますわ」
「なっ!? なんでよっ!? あたしがなにしたって言うのっ!?」

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