おっす、わしロマ爺。ぴっちぴちの新米教皇~もう辞めさせとくれっ!?~

月白ヤトヒコ

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ヤだ、宮廷めっちゃ怖い・・・と、戦慄したもんじゃ。

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「失礼致しました。それで、国王陛下へのお返事はどうなさいますか?」
「じゃから、三日後でいいんじゃって。どうせ、あれじゃろ。ジークハルトの奴、わしの菓子が切れたとかじゃろ? わし、今は菓子作りできる程体力無いし。むしろ、体力回復のための睡眠が必須じゃ!」
「猊下、幾ら教皇猊下であらせられるとは言え、国王陛下を呼び捨てにするのは宜しくないかと」
「ああん? ぁ~、そうか。まあ、別に公言する程でもなかったからの。知らんのかの。現国王のジークハルトは、わしの又甥じゃよ」
「え? また、おい? ちょっと待ってください、どういうことです?」
「わし、元々は侯爵家の三男での。年の離れた姉上が……七十数年前に当時の王太子に嫁いでおっての。現国王は、姉上の孫。ということで、わしは国王の大叔父というワケじゃ」

 当時、姉上が嫁いで……というか、元々わしの実家の侯爵家にも、数十位とかなり低いが王位継承権があったからの。その上で姉上が王族入り。権力の集中を防ぐためにと、兄弟のうち誰かを出家させるという話が出て、わしが自ら立候補したんじゃ。

 政略だなんだと、周りは煩わしかったし。低いとは言え、王位継承権持ちを間引こうと暗殺を仕掛けて来る者もおったからの。

 ま、一番の理由としては……わし、結婚して女性と添い遂げるというビジョンが全く浮かばなかったからなんじゃがの。

 これは出家して数年後に気付いたんじゃが、わし。どうやら性欲が無いみたいなんじゃよね。これ、家を連綿と繋いで行く義務のある貴族としてはかなり致命的じゃろ。

 わしの性欲が無いという特性は、割と教会の暮らしと合っておるし。節制や禁欲が全く苦にならんかったの。というワケで、出家してよかったと思っておるわ。

「実家の侯爵家からは、籍を抜いて……七十年以上経っておるが、交流が全く無いワケでもないからの。それにわし、神聖魔術が使えるからの。偶~に、極秘で王族や実家筋から解呪や回復の依頼来ておったし」

 姉上は、王太子妃、そして王妃から国母になっただけあって気の強い女性じゃった。姉上の妊娠中や出産前に、突然王宮に拉致されて祝福や解呪をさせられたこともあったのぅ。わし、別に姉上が苦手だったワケじゃないがの。可愛がられた覚えもあるからの。じゃが、いきなりの拉致はさすがにビビったぞ。まあ、妊娠中に毒を盛られたり、呪術を掛けられたりして流産の危機というのっぴきならない事情があったみたいじゃがの。

 ヤだ、宮廷めっちゃ怖い・・・と、戦慄したもんじゃ。

「え?」
「それに、教会の孤児達と遊んどる子の中に偶~に王族や貴族の子が交じっておることがあるじゃろ? あれ、わしの親類縁者の子や孫じゃよ」

 姉上はもう十五年前に亡くなっておるが、親戚付き合いはまだ続いとる。というか、わし便利に使われとる気がするんじゃが……ま、良識のあるまともな王族が息災であることは、世の安寧に繋がるからの。

 擦れた孤児達とは違って徘徊老人だとか、ボケジジイ、クソジジイなんて口の悪いこと言わず、大じじ様と呼んで慕ってくれるしの。まあ、口が悪い子らも可愛いが……さすがに、罵倒や悪口ばかり言われては心がささくれるのじゃ。地味に傷付くし……

「わし、菓子作りが趣味での。身内且つ、神聖魔術の使い手じゃし。昔から姉上は……安全な菓子が食いたくなったら、わしに催促しよっての。先代国王も甥っ子じゃし。ちっこい頃から可愛がとったもんでの。それが今の国王も続いとる感じかのぅ」

 なんか、わしの作った菓子は毒物が混入するとすぐ判るらしいの。わし、毒物なんぞ入れたことないから知らんけどの。

 あとは……なんじゃったかの? わしの作った菓子食うと、元気になるとか体力が回復するとか言うんじゃが。それは大袈裟じゃろ。

 姉上は……ご自分が王妃になったから、わしが出家したと、わしに謝っておったからの。別にな~んも罪悪感なんぞ感じなくてよかったんじゃが……王妃であるご自分とわしに繋がりがあることを示し、わしの立場を良くしようとしとったのかもしれんのぅ。わし、全~く姉上や甥っ子達のこと利用せなんだけど。

 それに、毒殺を警戒して菓子を好きなように食べられんというのは、ちと可哀想じゃったからの。できるときには、催促に応えておったんじゃが・・・まあ、アレじゃの。

「教皇就任からのここ数週間、地獄のような後始末死の行軍デスマーチしとったからの。その間は他のことに構っとる暇無かったしの。おそらく、菓子が切れとるんじゃろ。というワケで、大して緊急性が無さそうじゃから、三日後じゃ」
「ですが……」
「材料の問題とわしの体力のこともあるからの。無理なもんは無理じゃ。というワケで、わしはもう一眠りする。ほれ、行った行った」

 と、煩い若造を追い出し、わしは愛しい毛布に包まった。

 眠りとは、至福じゃのぅ……

✰⋆。:゜・*☽:゜・⋆。✰⋆。:゜・*☽:゜・⋆。✰


 ロマ爺……本名ロマンシス。元侯爵家の三男。十三歳で出家。

 多分性欲、恋愛感情も無いアセクシャルな人。でも人類愛はある。

 故に、邪心が少なくてめっちゃ清い。いつの間にかダイセイジャー! に至り、最高齢司祭としてスローライフを営んでいたが、余計なことして教皇に祭り上げられた。(((*≧艸≦)ププッ

 その辺りの事情は『 わし、八十九歳。ぴっちぴちの新米教皇。もう辞めたい……』にて。ꉂ(ˊᗜˋ*)

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