26 / 55
ふっ、おさなごよ。いずれしるだろう、ざんこくなせかいのことわりを。
しおりを挟むわれらは知っている。あの絶望を・・・
あれは、数十年前。ろまんしすとおかしを作り、それをもらって食べて満足していた。
しかし、ふとこう思った。おかしが実れば、いつでも食べられるぞー! と。天啓が下ったと思い、とってもワクワクして、おかし作りを手伝った下位精霊一同でおかしを育てることにした。
土のじぃじに栄養たっぷりの土を分けてもらい、作物が育ちやすいという日当たりと水はけのいい土地を教わり、早速おかしを埋めた。が、全く芽が出なかったっ!
作物には水が必要不可欠であると知り、水のねぇねに美味しくてきらきらした水を分けてもらい、おかしに掛けて、芽吹くのを楽しみに待った。
しかし、いつまで経ってもおかしは芽吹かなかったっ!?
『なにしてんだ、お前ら?』
偶々通り掛かった風のにぃにに、おかしを育てているのに芽がでなくて落ち込んでいると事情を説明したら・・・
『ぷはっっっ!? ま、マジかよっ!! アハハハハハハハハハハハハハハハっ!! 火ぃ通って死んだもんが芽吹くワケねぇだろ! アホだっ、アホ共がいるっ!? アハハハハハハハハハハハハハハハ……』
と、ちょー大爆笑された。
われらはそのとき、笑われる屈辱と共に、この世界の残酷な理を知った。
『うわ~ん! かぜのにぃにがわらった~っ!!』
『う、ぅぅ……おかし、そだたないって……』
『ひっく……せかいが、かくもざんこくだとは……』
そして、むせび泣いた。おかしが芽吹かないことと、風のにぃにに大爆笑された屈辱に、心より慟哭した。
そして、埋めたのがクッキーだから駄目だったのかと、飴玉やキャラメル、シフォンケーキ、ブラウニー、アップルパイ、ビスコッティ、ガレット、ババロアなどなど。ろまんしすと一緒に作ったおかしを一通り埋めてみたが、全て、全て芽吹かなかったっ!!
あるとき、パンの木というパンの実る木があると知り、パンを埋めた。全然駄目だった!
パンはパンでも、パンという植物の木で、ロールパンなどは埋めても木にはならないと知り、またもや絶望した!
それならと、果物の飴掛けを埋めた。芽吹かなかった! 絶望した!
果物のチョコレート掛けを埋めた。芽吹いた! が、普通の果物に育っただけだった。チョコレートなど、どこにも掛かっていなかった。ちょっぴり残念で悲しかった。
その度、わざわざ見に来た風のにぃにに大爆笑された。風のにぃに、赦すまじ!
そんなことを思い出してちょっぴり涙目になりながら、きらきらした瞳でおかしをうめて水を掛ける人間の幼子に目を向ける。
『ふぅ……ざんこくなせかいのことわりをしらぬおさなごよ。おかしは、うめてもめぶかぬし、きにそだつことはないのだ』
そう、動物に掘り返されて食べられたり、土に住む虫に食べられたり、微生物に分解されるだけ。
『というワケで、たべてよし!』
『『『おー!』』』
けど、あの幼子が憐れなので、代わりにわれの全力の加護を与えることにした。
『はぁっ!!』
『あ、かごあげてるー』
『てつだうー』
と、数名で幼子へとわれらの全力の加護を与えた。
『ふっ、おさなごよ。いずれしるだろう、ざんこくなせかいのことわりを。げんきだせ』
ぽんと、背中を撫でてあげた。
こうして、本日の教会内おかしパトロールはちょっとアンニュイな気分で終了した。
翌日、われの全力の加護を与えし幼子は……危険な転び方したとき、一回だけふわっと転ぶというわれの全力の加護が切れていた。
なんてことだ。斯くも世界とは、人間の幼子にとって危険に満ちているとは……
『あ、あのこまたおかしうめてる~』
『たべてよし!』
『きゃー♡』
仕方ないから、もうしばらくこの幼子を見守ってやろうではないか。
おかしうま~♡
✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧
今回は、精霊視点。多分、よく号令掛けてる子。2~3歳児の中にいる5歳児くらいの賢さでしょうか。世話焼きさんになる予感がひしひしと漂っている。(*´艸`*)
全部ひらがなカタカナだと絶対読み難いので、こんな感じ。ꉂ(ˊᗜˋ*)
精霊視点書くのめっちゃ楽しかったので、また書くかも。風のにぃに襲撃とか読みたい方いますかね?(*>∀<*)
祝福の味ってどんなの? という質問を別サイトで頂いたので、精霊視点で『祝福の味』がどんな感じというのがわかるかな? と。
短編の方でロマ爺が言っていた、「誰かの息災や無事を祈り、願うこと自体が祝福である」という感じですね。ロマ爺は無意識ですが。
精霊は、お菓子に籠められて祝福となっている『想い』を食べています。なので、お菓子そのものの味を気にするグルメな精霊以外は黒焦げだろうが、砂糖と塩を間違おうが美味しく食べます。
若かりし頃のシス君が魔術でのお菓子作りに失敗して、そのお菓子に精霊や妖精が群がっていたのも、リッカを想う願いや祈りの『祝福』を食べていたからです。
ざんこくなせかいのことわり。
精霊『ふぅ……ざんこくなせかいのことわりをしらぬおさなごよ。おかしは、うめてもめぶかぬし、きにそだつことはないのだ』(つд;*)
という事実に、むせび泣いたことのある方はいらっしゃるでしょうか?(*´ー`*)
173
あなたにおすすめの小説
『これも「ざまぁ」というのかな?』完結 - どうぞ「ざまぁ」を続けてくださいな・他
こうやさい
ファンタジー
短い話を投稿するのが推奨されないということで、既存のものに足して投稿することにしました。
タイトルの固定部分は『どうぞ「ざまぁ」を続けてくださいな・他』となります。
タイトルやあらすじのみ更新されている場合がありますが、本文は近いうちに予約投稿されるはずです。
逆にタイトルの変更等が遅れる場合もあります。
こちらは現状
・追放要素っぽいものは一応あり
・当人は満喫している
類いのシロモノを主に足していくつもりの短編集ですが次があるかは謎です。
各話タイトル横の[]内は投稿時に共通でない本来はタグに入れるのものや簡単な補足となります。主観ですし、必ず付けるとは限りません。些細な事に付いているかと思えば大きなことを付け忘れたりもします。どちらかといえば注意するため要素です。期待していると肩透かしを食う可能性が高いです。
あらすじやもう少し細かい注意書き等は公開30分後から『ぐだぐだ。(他称)』(https://www.alphapolis.co.jp/novel/628331665/878859379)で投稿されている可能性があります。よろしければどうぞ。
URL of this novel:https://www.alphapolis.co.jp/novel/628331665/750518948
水しか操れない無能と言われて虐げられてきた令嬢に転生していたようです。ところで皆さん。人体の殆どが水分から出来ているって知ってました?
ラララキヲ
ファンタジー
わたくしは出来損ない。
誰もが5属性の魔力を持って生まれてくるこの世界で、水の魔力だけしか持っていなかった欠陥品。
それでも、そんなわたくしでも侯爵家の血と伯爵家の血を引いている『血だけは価値のある女』。
水の魔力しかないわたくしは皆から無能と呼ばれた。平民さえもわたくしの事を馬鹿にする。
そんなわたくしでも期待されている事がある。
それは『子を生むこと』。
血は良いのだから次はまともな者が生まれてくるだろう、と期待されている。わたくしにはそれしか価値がないから……
政略結婚で決められた婚約者。
そんな婚約者と親しくする御令嬢。二人が愛し合っているのならわたくしはむしろ邪魔だと思い、わたくしは父に相談した。
婚約者の為にもわたくしが身を引くべきではないかと……
しかし……──
そんなわたくしはある日突然……本当に突然、前世の記憶を思い出した。
前世の記憶、前世の知識……
わたくしの頭は霧が晴れたかのように世界が突然広がった……
水魔法しか使えない出来損ない……
でも水は使える……
水……水分……液体…………
あら? なんだかなんでもできる気がするわ……?
そしてわたくしは、前世の雑な知識でわたくしを虐げた人たちに仕返しを始める……──
【※女性蔑視な発言が多々出てきますので嫌な方は注意して下さい】
【※知識の無い者がフワッとした知識で書いてますので『これは違う!』が許せない人は読まない方が良いです】
【※ファンタジーに現実を引き合いに出してあれこれ考えてしまう人にも合わないと思います】
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
婚約破棄を目撃したら国家運営が破綻しました
ダイスケ
ファンタジー
「もう遅い」テンプレが流行っているので書いてみました。
王子の婚約破棄と醜聞を目撃した魔術師ビギナは王国から追放されてしまいます。
しかし王国首脳陣も本人も自覚はなかったのですが、彼女は王国の国家運営を左右する存在であったのです。
断罪イベントの夢を見たから、逆ざまあしてみた
七地潮
ファンタジー
学園のパーティーで、断罪されている夢を見たので、登場人物になりきって【ざまぁ】してみた、よくあるお話。
真剣に考えたら負けです。
ノリと勢いで読んでください。
独自の世界観で、ゆるふわもなにもない設定です。
なろう様でもアップしています。
もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる