おっす、わしロマ爺。ぴっちぴちの新米教皇~もう辞めさせとくれっ!?~

月白ヤトヒコ

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そりゃ、アルメリアに冤罪引っ被せて処刑してもおかしくないかー。

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「ふっ、これで捨てられてもアルメリアの許に戻って来れるぜ!」

 ふふんと胸を張って、アルメリア嬢を見上げる小さなドラゴン。

「ま、稼働時間が短くなるがしょうがない。捨てられるよかマシだ。あ、この俺を捨ててもまた風のに新しい鱗届けさせるからな? 諦めろ、アルメリア」

 手の平から動いてアルメリア嬢の腕を登り、よじよじとその頭へ上がってぽんぽんと叩く小さなドラゴン。

「チッ……風の兄貴め、わたしを裏切りやがったな!」

 舌打ちをしながら凶悪な目付きで虚空を睨むアルメリア嬢。おそらく、その視線の先に風の精霊がいるのでしょう。元戦災孤児とのことなので、多少仕方ない部分があるにしても……アルメリア嬢は、聖女にしては口が悪いように感じますね。

「アルメリア。さっき、そこの聖者のじいさんと話が付いた。アルメリアが、国に戻りたくないのはわかった。で、聖者のじいさん達……っつーか、教会へ頼むことにした」

 小さなドラゴンは、アルメリア嬢の頭上でロマンシス猊下へ視線を向ける。

「え? えっと、その……おじいちゃん、いいの?」

 先程とは打って変わって、どこか不安そうな表情で猊下を見上げるアルメリア嬢。

「うむ。まあ、教会と神殿は現状反目し合っていると言うても過言ではないがの。スタンピードが起こると判っておって、無辜の民が犠牲になるのを見てはおれぬでの。大丈夫じゃよ。これまで、よう耐えてがんばって来たのぅ。アルメリアちゃんは偉いぞ」

 にこにこと、安心させるような声音でロマンシス様はアルメリア嬢の肩へ手を置かれました。

 そう、だったのですね……アルメリア嬢は、教会に認定された聖女ではなく、神殿に認定された聖女でしたか。

「っ!?」
『あるめりあ、いいこー♪』
『ふっ、あるめりあをなでなでしてやろう!』
『アルメリア、タッチー』
『よしよしー、なでなでー』

 下位精霊達がアルメリア嬢の周囲へ集まって、擦り寄ったり、ちょんちょんとつついているような動きを見せます。

「ま、そういうワケだから。無理にアルメリアを向こうに連れては行かないから安心しろ。とは言え、アルメリアの気が変わって、向こうへ行ってもいいと思ったら、いつでも歓迎するけどな?」
「や、それはないから」

 泣きそうなのを我慢するように潤んでいたアルメリア嬢の瞳が……一瞬で、それはそれは昏い色を宿して小さなドラゴンの言葉を拒絶しました。そのような表情になる程に、嫌ということですか。

 まあ、アルメリア嬢のこれまでの……酷い虐待を受けていたと思しき境遇を考えれば、国許へ帰りたくないというのは当然でしょう。

「ちなみに、スタンピードが起こるのは今から二、三年後の予測だ。無論、その間にアルメリアの気が変わる可能性も十分あるだろ?」
「や、それはない」
「手強いなー。ま、いいけど。というワケで、そこのじいさん騎士もスタンピードまで身体が動く現役だったら参加してくれ」
「ふっ、腕が鳴るぜ……」

 初めてトマス様の満面の笑みを見ましたが……ニタリと、得物を前にした肉食獣のような笑顔は子供が見たら泣かれること間違いなしの、少々恐ろしげなお顔でした。

「あの、失礼ですが……神殿の管轄地域に起こる予定のスタンピードを、我が教会に治めさるということなのでしょうか? それって、大丈夫なのですか?」
「まあ、神殿と教会が仲悪いのは知ってるけど、その辺りのいざこざは俺的にどうでもいいし。スタンピードをどうにか防げればそれでいい。あとは人間に任すわ」

 小さなドラゴンは、アルメリア嬢の頭上で小さな手をパタパタと振って無責任なことを言います。

「あの、それは……その、後程大問題に発展したりとかは?」
「言われてもなー? ほら? 見ての通り、俺ドラゴンだから。人間の宗教とか知らんしー」

 それは、その通りではありますが……

「つか、向こうの神殿の連中。アルメリアを使い潰す気満々だからなー。ま、アルメリアは侵略された国の孤児の聖女で、新しい聖女候補が征服した側の国の貴族の娘だし。そりゃ、アルメリアに冤罪引っ被せて処刑してもおかしくないかー」
「おお、成る程。道理で神殿のクソ共はわたしに当たりが強かったワケか。そりゃ、敗戦国側の孤児が聖女なんてやってりゃ、侵略した側は政治的に面白くないもんねー。幼少期からの理不尽なあれこれや冤罪被せられる謎が、ようやく解けたわ。っつっても、絶対赦さねぇけど」

 戦災孤児、敗戦国の聖女、神殿の聖女……

「って、あなたもしかして、神竜の微睡む国の聖女ですかっ!?」
「わたし聖女じゃありませんからっ!! もう辞めて来ましたのでっ!!」
「うん? まだ話してなかったのか?」
『くれめんす、いまきづいたの~?』
『クレメンスにぶ~い』
『にぶにぶ~』
『われら、しってた!』
『アルメリアのまわり、しゅくふくのけはいする!』
『ろまんしすやまりっさたちとにたけはい~』
『まりょくおいし~♪』
『ね?』
『ねー?』

 驚愕するわたしに、強く否定するアルメリア嬢。首を傾げる小さなドラゴン。えっへんと言いたげにピカピカと主張する下位精霊達。

 アルメリア嬢が、高位の治癒に攻撃力、浄化、結界も行使できる才能溢れる聖女なのだと気付いてなかったのは、わたしだけみたいですね……

 それにしても、アルメリア嬢は政治的にかなり危険な立場だったのですね。本当に、こちらへ逃げて来て正解だったようです。

✰⋆。:゜・*☽:゜・⋆。✰⋆。:゜・*☽:゜・⋆。✰


 アルムちゃん冤罪引っ被せから処刑までの裏事情。一応、アルムちゃんの短編書いたときから神竜の不貞寝してる場所とか、国が侵略されててーみたいな、ぼや~っとした裏設定はあったけど、あの頃には書ける技量が無かった感じですねー。ꉂ(ˊᗜˋ*)

 ようやく出せたあれこれです。(*ノω・*)テヘ

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