ヴァンパイアハーフだが、血統に問題アリっ!?

月白ヤトヒコ

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ヴァンパイア編。

33.ああ、コイツ、炎属性。

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 シーフに寝かされたというアルと、奴が二人で部屋に籠って三日が経った。
 ヒューとカイル、そしてジンが悶々としている。
 特に問題があるとは思わねぇンだがな?

 つか、シーフの行動がガキの頃と大して変わらないことに驚く。奴は、昔からやたらアルにべったりだった。そして突飛な行動を取り、よくアルにシバかれていたような気がする。今もそのようだ。

 ジンが「アルちゃんが~っ!?!?」と煩いので、アマラに聞いてみろと言った。

 後は知らん。

※※※※※※※※※※※※※※※

『だから、何度も言ってンでしょっ!? なんっ、にもありゃしないわよっ!? つか、二人共気配が希薄なのっ。希薄よっ、希薄っ! だ・か・らっ、全く動いてないンだってば! 寝てンじゃないのっ?』

 アマラが言う。船底から引かれた、パイプ越しでのやり取りだ。

「いや、だから、それって大丈夫なの? もう三日だよ?」
『ンなことアタシが知るワケないでしょっ! っていうか、あの小娘半分とはいえ仮にもヴァンパイアなんだから、長期間の睡眠だか冬眠だかしても全っ然おかしかないわよっ!?』
「いや、でも…アマラ」
『ああもうっ、さっきっから煩いわねっ!? 睡眠不足はお肌の大敵なのよっ?わかってンのっ!? つか、イフリートのガキなんて人魚アタシらの天敵になんざ関わりたくないわよっ!? 干からびたらどうしてくれンのっ!!!』

 と、言ったっきり、アマラはうんともすんとも言わなくなった。音が遮断されたようだ。

「ミクリヤーーっ!?!?」

 二人と幼馴染だというミクリヤに、どうにかしてほしいと頼んだ。

「・・・はあ? なんでわざわざ自分が…」
「頼むよミクリヤ!」
「ったく・・・」

 ぶつくさ言いながら、ミクリヤがアルちゃんの部屋へとおもむき、声をかける。

「おーい、起きてンなら出て来ーい。とりあえず飯食えー?アルー、シーフー?」
「・・・」
「応答無し。っつーことで、行くわ」
「ミクリヤ!」

 ミクリヤが行こうとしたとき、アルちゃんの部屋で、誰かの動く気配がした。

「あ?」

 ミクリヤも気付いたようだ。そして、ドアを開けて出て来たのは…

「っ!?」
「・・・アルなら、寝てる…」

 のそりと眠たげなシーフ君っ!? しかも、上半身裸ってどういうことっ!? いや、まあ…足音でアルちゃんじゃないのは判ってたけどさ・・・あと、アマラの言った通り、本当になんにもなさそう。まあ、多分なんだけどね…

「よう、シーフ。久し振りだな」
「? ・・・・・・?」

 挨拶をしたミクリヤを見てコテンと首を傾げ、考えるような素振りの後、また首を傾げるシーフ君。ミクリヤを認識していないようだ。

「ああ、判ンねぇか。雪路だ。御厨雪路。アルに雪君って呼ばれてた猫」
「・・・ゆき…?」
「おう。雪路だ。覚えってっか?」
「…ん。猫の、ヒト…アルの、友達?」
「ああ。ンで、ご飯はー? 一応リクエストは聞くよー?」

 いきなり喋り方を変えたミクリヤに面食らうこともなく、相変わらずの眠たげなテンションでの答え。

「・・・炭…とか?」
「は? え? 炭食べるの君」
「・・・燃やす」
「え?」

 なんというか、一々反応が予想外だなこの子は。

「え~と…木炭とかでいいか? シーフ」
「ん。薪…とかでも、いい…」

 というよくわからないシーフ君の要望により、甲板で火を焚くことになった。

※※※※※※※※※※※※※※※

「えっとさ、なにしてるの?」

 七輪に木炭をセットするミクリヤへ、カイルが質問した。それ、俺も聞きたい。

「さあ? 木炭燃やすとこ、かなー?」

 ミクリヤが、見たままの状況を答える。

「それは見てわかるよ、ミクリヤさん。っていうか、なんでアンタは上裸なの?」

 と、カイルがシーフ君を不審げに見やる。

「・・・服、部屋…着るの、忘れた…から?」
「いや、なんで疑問系なのさ? っていうか、寒いんならちゃんと服着なよ」
「・・・寒く、ない…」

 そう言ったシーフ君がおもむろに、七輪へと手を伸ばして木炭を手に取る。そして、

「っ!?」

 ボッといきなり赤く燃え出す木炭。

「ちょっ、シーフ君っ! 手っ!?」
「ん。平気…」

 淡々とした返事。そして、普通なら長時間掛けてゆっくりと燃える筈の木炭が、一気に燃え上がる。高温の炎が一瞬にして木炭を燃やし尽くした。蜜色の手の中に残ったのは白い灰。それがほろりと崩れ落ち、風に流されて散って行った。燃え上がった木炭を乗せていたシーフ君の手はなめらかで、火傷のあとなど全く感じられない。

「おお、派手に燃えたなー」

 ミクリヤの呑気な言葉。

「ミクリヤっ?」
「ん? ああ、コイツ、炎属性。素手で金属溶かして遊ぶくらい、熱に強ぇンだよ」
「ん。酸素は…友達?」

 この間の、アルちゃんを気絶させた方法に繋がるワケか。酸素濃度の操作。今のはおそらく、アルちゃんにしたこととは真逆。あのときは酸素濃度を低下させたようだが、これは木炭の周囲を高濃度の酸素で覆い、燃焼を一気に加速させたのだろう。※高濃度の酸素に着火すると、爆発する危険があります!

 次々と木炭を、一瞬で灰にして行くシーフ君。それを、すごいと見物するカイル。けど・・・

「・・・ミクリヤ」
「なんだ? ジン」
「今更なんだけど…彼って、俺達が思ってたよりも、物凄~~く危険なんじゃ・・・」
「だろうな。多分、純粋な破壊力…火力で言ったら、スティングさんよりもコイツのが危険だろうよ。なにせ、見ての通りの炎。そして、空気の操作ができンだぜ? 大抵の生き物は、れンだろ」

 ミクリヤの言葉に、ざわりと背筋が粟立つ。アルちゃんとミクリヤは、こんなに危険な子と、よくも普通にやり取りができるものだ。
 ・・・いや、普通というか、アルちゃんはかなり雑…というか、割と手荒く扱…シバいていたけど。

「船だって、簡単…とまでは行かないが、ある程度燃やすことはできるだろうよ」
「・・・」
「ま、それができるっつーことと、実際にするかってこたぁ別の話だろ」
「それは・・・」

 確かにミクリヤの言う通りだ。そういうことを危惧していたらきりがない。だけど・・・

「なにやってンだ? お前ら」

 と、ヒューがやって来てシーフ君へ言った。

「…ご飯?」
「は?」
「え?」

 シーフ君の返事にぽかんとするヒューとカイルの二人。うん…わかる。この子、色々突飛だし。
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