68 / 179
ヴァンパイア編。
61.俺はそろそろお暇しようかな?
しおりを挟む
アルがそろそろ起きる為の支度をするというので、部屋を出て甲板をぶらぶらしていたら、
「・・・で、手前ぇは何時までいやがる気だ」
じろりと不機嫌な猫の目が俺を睨み付け、低くドスの利いた声が言った。
「アルが起きたら、とっとと出てけ」
「全く、ヒドいな? 猫君は」
やれやれと溜息を吐く。
「うっせぇ、危険物。つか、アルもアルだ。なんで手前ぇみたいな危険物を擦り寄らせてンだ」
「そりゃあ勿論、相思相愛だから、かな?」
冗談めかして答える。
「ハッ、どうだかな? 手前ぇの魅了じゃねぇって証拠があンのかよ? クラウド」
「さぁ? どうだろうね。まあ、俺が本気なら、アルをどうにかできるかもしれないけど・・・」
実際、あの子には魅了が効き難い。全力なら、掛けられないことはないと思うけど・・・
「ねぇ、猫君。従順な人形なんて、量産しようと思えば俺には何時でもできるんだ」
にっこりと微笑むと、バッと後ろに跳び退さる猫の子。相変わらず、警戒され捲りだなぁ。
「俺に逆らわず、俺の言うことをなんでも聞いて、俺を全肯定する従順なお人形達。それってさ、酷くつまらないことだと思わない?」
そういうのは全く趣味じゃない。
そして第一、俺達が生かしたいと願ったアルの在り方を踏み躙る行為になる。
そうさせない為に努力しているというのに・・・誰がそんなことするか。
「…」
更に口を開こうとしたら、硬質なアルトがした。
「なにしてんの?」
「起きたのか」
「うん。おはよ。それで?」
俺と猫の子をちらりと見やる翡翠、傾げられる首。サラリと揺れる白金の髪。
「ん~? 見解の違いってやつかな」
「ふぅん・・・ま、雪君とクラウドって、昔から仲悪かったよね? かなり」
「つか、ンな危険物と仲良くできる手前ぇがおかしいンだろうがよ? アル」
不機嫌丸出しの猫の子が言う。
「そう? オレは、オレに殺意や悪意、害意を持たないヒトには好感を持てるよ」
「・・・そうかよ」
ムッとしつつも、アルを否定できない猫の子。
この子もこの子で、結構苦労して来ているからね。悪意や害意、そして殺意には敏感だ。
まあ、それとは別のところで俺を警戒しているんだろうけど・・・例えば、本能なんかで。
「それに、体質もあるんじゃない? オレ、魅了とか支配効き難いからさ。まあ、クラウドの本気なら、わからないけど、ね?」
白皙の面が薄く笑む。ああ、怒ってるな。
「聞いてたのかよ・・・」
ばつが悪そうにアルから目を逸らす猫の子。
「雪君さ。それを言うなら、オレにだってできるんだぜ? 魅了と支配。雪君には、オレに魅了や支配されてる自覚があったりするのか?」
「・・・無ぇよ。悪かったな。お前が魅了されてンじゃねぇかってのは、取り消す」
「ならいいよ。ま、一応、雪君の心配も尤もだと思うしさ?」
渋い顔の猫の子に、アルが苦笑する。
「ヒドいな? アルまでそんなこと言うなんて」
「そう? 貴方が気にしてるなら謝るけど?」
貴方がそんなこと気にするの? と、銀の浮かぶ翡翠が俺へ問い掛ける。
「いいや? 気にしてないよ。けど」
ちょいちょいと指で招いてアルを呼ぶ。
「?」
「ふふっ」
きょとんと首を傾げながら俺へ寄るアルを、ぎゅっと抱き締める。
ほんのりと低い体温。シャワーを浴びたのか、ふんわりといい匂いが漂う。
「クラウドっ!?」
声を荒げる猫の子を無視。
腕に大人しく収まるアルの頬へ口付けを落とす。
「じゃあ、俺はそろそろお暇しようかな? 近いうちに逢いに来るよ。アル」
アルは安定させたし、俺の血の眠り薬も与えた。取り扱いへの注意も話したし・・・
次は、別のことをしようと思う。
「貴方は、来るのも突然だけど去るのも突然だね」
「まあ、俺の目的は君だからね?」
「ふぅん…」
少しだけ低い位置の翡翠が俺を覗き込むように見上げる。その頬へ手を添え、柔らかい唇にそっと触れるだけのキスを落とす。
「愛してるよ、アル」
「ありがと、クラウド」
「ふふっ、またね?」
白い頬を撫で、アルを放す。
そして、蝙蝠のような羽根を出して空へ。
さて、イリヤの動向を探りつつ、ローレルのところにでも行こうかな?
少し、聞きたいこともあるし・・・
※※※※※※※※※※※※※※※
アルが寝ている間の話をして聞かせたが、言っていないことがある。
これは、聞かせる気が無いこと。
俺と人魚ちゃんとで話したことは、アルと他の船の子達には内緒だ。
※※※※※※※※※※※※※※※
「ねぇ、人魚ちゃん。アルの追っ手のことは、できればアル本人には聞かせたくないんだ。特に、トラウマの原因、の辺りは絶対に。黙っていてくれないかな?」
険しくなったアイスブルーを見詰める。
これで人魚ちゃんが頷いてくれなければ、魅了を使ってでも頷かせるつもりだけど、ね?
「・・・わかったわ。約束する」
「ありがとう、人魚ちゃん」
この人魚ちゃんは、とても律義な子だ。
人魚に愛され、その加護を得ているアルを…アルを愛している人魚ちゃんとの約束を、守ろうとしてくれている。
この子は、余程のことがない限り、その約束を違えることは無いだろう。
そういう心をしている。
「あ、それと、俺が夢魔ってことは上の子達には言わないでほしいな」
「子って、ジンは四百くらい行ってる筈よ?」
「ふふっ、俺は君よりもず~っと年上だからね」
「・・・アンタ、一体幾つよ?」
「君よりもず~っと上、かな?」
正確な年齢なんて、俺も覚えていない。ただ、自分がこの子達よりかなり年上なことは判る。
「・・・今回の奴は、明らかに別口よね? 自我や命が危ないだなんて、普通に考えたら、小娘に結婚を迫っている家側のすることじゃないもの」
溜息を吐いた人魚ちゃんが切り出した。
「そうだね」
「なにに追われているの? アルは」
真っ直ぐに俺を見詰めるアイスブルー。
「ヴァンパイア、かな? 純血の」
「・・・それは、どういう意味で?」
「ハーフであるあの子には、敵も多いから」
と、中途半端な情報を聞かせる。
まあ、アルの実兄も、その愛が溢れ過ぎていて割と危ないんだけどねぇ?
イリヤの血ってやつかな? 全く・・・
「・・・アルが命を狙われているだなんて、そんなこと聞いてない」
硬いハスキーな声が言った。
「そう? ヴァンパイアのハーフの死因の、約八割が他者による殺害。そのうちの、六割強が幼少期や乳児期、生まれて間もなく両親や身内に殺される。血に狂うことなく無事に成長できたとしても、存在が公になれば純血至上主義共が殺しに来る。また、まともな職に就ける確率は非常に低い。犯罪を犯したくなければ、真っ当な賞金稼ぎやトレジャーハンターにならざるを得ないという背景もある。人間に比べると身体が頑丈で、身体能力も高いからね。それでなるべく目立たないように生きるか、吸血鬼憎しでハンターになるか・・・そして仕事で、事故死や行方不明になる。で、残り約二割の死因は自殺。平和的に、老衰で死んだハーフの話なんて、なかなか聞いたことが無いよ?」
人魚ちゃんに、一般論で答える。
これがヴァンパイアハーフの事実だ。
まあ、人間との間のハーフの話なんだけどね。
他種族との間のハーフはまた、事情が少し違って来るけど・・・これもまた、数が非常に少ない。
混血の子を三人も持っているローレルは、かなり特異だと言える。
一般的なヴァンパイアハーフでさえ、これだけ過酷な人生だというのに、アルはこれ以上の厄介事を抱えている・・・いや、背負わせた。
あの子の母親が、父親が、アークが、そして俺が。みんなが、それぞれの祈りと願いと思惑とで、あの子を生かした。
そしてあの子は・・・アルは、苦しみながらも足掻いて、懸命に生きている。
「・・・そんなのっ、理不尽じゃないっ!」
絞り出すようなハスキー。アイスブルーの瞳が、やり場のない怒りに燃える。
「そう。非情な程に理不尽で、不条理だ。だからあの子は、とても貴重で珍しい。あの子の周囲が、あの子を生かしたいと願って、懸命に努力した結果が『今のアル』なんだよ」
「っ・・・」
「だから俺は、そんなアルが無条件で愛おしい」
俺は、間違っていなかったのだと思いたい。
あの子・・・アルを生かしたことが、間違っていないのだと、そう思いたい。
だって、みんながアルの生を願ったのだ。
そんなアルがとても大事に、大事に育てられたことを想うと・・・胸が痛くなる程、切なくて愛おしい。
アルが生きていることが、嬉しくて歓ばしい。
・・・アルが思う通り、俺のこの愛情は、母性に近いモノかもしれないな?
まあ、アルが可愛いことに違いはない。
「・・・あたしに、なにをしろって言うの」
「できるだけでいい。アルの味方でいてほしい」
「わかったわ」
こうして、人魚ちゃんの協力を取り付けた。
これが、アルには内緒のことだ。
※※※※※※※※※※※※※※※
・・・おかしい。
あの美女が来ない。
もう、一週間も経っているというのに・・・
待ち合わせ場所はメインストリートの時計台の下、だったか? 戻ってから気付いた。この街にはメインストリートに時計台が無かったことを・・・
「う~ん…聞き間違えたか?」
そうじゃないなら、あの美女がこの街に詳しくないということだ。迷っているとか・・・
「ハッ! もしかして、事故にでも遭ったか? 心配だ・・・」
美女のことは無論、アルゥラのことも心配だ。
額を押さえて苦しそうな顔をしていたアルゥラ。
大丈夫だろうか・・・
心配で胸が張り裂けそうだが・・・
だがしかしっ!?
俺には美女との逢瀬の約束がっ!?
「クッ・・・俺は一体、どうすれば・・・」
とりあえず、もう少し待ってみよう。
「・・・で、手前ぇは何時までいやがる気だ」
じろりと不機嫌な猫の目が俺を睨み付け、低くドスの利いた声が言った。
「アルが起きたら、とっとと出てけ」
「全く、ヒドいな? 猫君は」
やれやれと溜息を吐く。
「うっせぇ、危険物。つか、アルもアルだ。なんで手前ぇみたいな危険物を擦り寄らせてンだ」
「そりゃあ勿論、相思相愛だから、かな?」
冗談めかして答える。
「ハッ、どうだかな? 手前ぇの魅了じゃねぇって証拠があンのかよ? クラウド」
「さぁ? どうだろうね。まあ、俺が本気なら、アルをどうにかできるかもしれないけど・・・」
実際、あの子には魅了が効き難い。全力なら、掛けられないことはないと思うけど・・・
「ねぇ、猫君。従順な人形なんて、量産しようと思えば俺には何時でもできるんだ」
にっこりと微笑むと、バッと後ろに跳び退さる猫の子。相変わらず、警戒され捲りだなぁ。
「俺に逆らわず、俺の言うことをなんでも聞いて、俺を全肯定する従順なお人形達。それってさ、酷くつまらないことだと思わない?」
そういうのは全く趣味じゃない。
そして第一、俺達が生かしたいと願ったアルの在り方を踏み躙る行為になる。
そうさせない為に努力しているというのに・・・誰がそんなことするか。
「…」
更に口を開こうとしたら、硬質なアルトがした。
「なにしてんの?」
「起きたのか」
「うん。おはよ。それで?」
俺と猫の子をちらりと見やる翡翠、傾げられる首。サラリと揺れる白金の髪。
「ん~? 見解の違いってやつかな」
「ふぅん・・・ま、雪君とクラウドって、昔から仲悪かったよね? かなり」
「つか、ンな危険物と仲良くできる手前ぇがおかしいンだろうがよ? アル」
不機嫌丸出しの猫の子が言う。
「そう? オレは、オレに殺意や悪意、害意を持たないヒトには好感を持てるよ」
「・・・そうかよ」
ムッとしつつも、アルを否定できない猫の子。
この子もこの子で、結構苦労して来ているからね。悪意や害意、そして殺意には敏感だ。
まあ、それとは別のところで俺を警戒しているんだろうけど・・・例えば、本能なんかで。
「それに、体質もあるんじゃない? オレ、魅了とか支配効き難いからさ。まあ、クラウドの本気なら、わからないけど、ね?」
白皙の面が薄く笑む。ああ、怒ってるな。
「聞いてたのかよ・・・」
ばつが悪そうにアルから目を逸らす猫の子。
「雪君さ。それを言うなら、オレにだってできるんだぜ? 魅了と支配。雪君には、オレに魅了や支配されてる自覚があったりするのか?」
「・・・無ぇよ。悪かったな。お前が魅了されてンじゃねぇかってのは、取り消す」
「ならいいよ。ま、一応、雪君の心配も尤もだと思うしさ?」
渋い顔の猫の子に、アルが苦笑する。
「ヒドいな? アルまでそんなこと言うなんて」
「そう? 貴方が気にしてるなら謝るけど?」
貴方がそんなこと気にするの? と、銀の浮かぶ翡翠が俺へ問い掛ける。
「いいや? 気にしてないよ。けど」
ちょいちょいと指で招いてアルを呼ぶ。
「?」
「ふふっ」
きょとんと首を傾げながら俺へ寄るアルを、ぎゅっと抱き締める。
ほんのりと低い体温。シャワーを浴びたのか、ふんわりといい匂いが漂う。
「クラウドっ!?」
声を荒げる猫の子を無視。
腕に大人しく収まるアルの頬へ口付けを落とす。
「じゃあ、俺はそろそろお暇しようかな? 近いうちに逢いに来るよ。アル」
アルは安定させたし、俺の血の眠り薬も与えた。取り扱いへの注意も話したし・・・
次は、別のことをしようと思う。
「貴方は、来るのも突然だけど去るのも突然だね」
「まあ、俺の目的は君だからね?」
「ふぅん…」
少しだけ低い位置の翡翠が俺を覗き込むように見上げる。その頬へ手を添え、柔らかい唇にそっと触れるだけのキスを落とす。
「愛してるよ、アル」
「ありがと、クラウド」
「ふふっ、またね?」
白い頬を撫で、アルを放す。
そして、蝙蝠のような羽根を出して空へ。
さて、イリヤの動向を探りつつ、ローレルのところにでも行こうかな?
少し、聞きたいこともあるし・・・
※※※※※※※※※※※※※※※
アルが寝ている間の話をして聞かせたが、言っていないことがある。
これは、聞かせる気が無いこと。
俺と人魚ちゃんとで話したことは、アルと他の船の子達には内緒だ。
※※※※※※※※※※※※※※※
「ねぇ、人魚ちゃん。アルの追っ手のことは、できればアル本人には聞かせたくないんだ。特に、トラウマの原因、の辺りは絶対に。黙っていてくれないかな?」
険しくなったアイスブルーを見詰める。
これで人魚ちゃんが頷いてくれなければ、魅了を使ってでも頷かせるつもりだけど、ね?
「・・・わかったわ。約束する」
「ありがとう、人魚ちゃん」
この人魚ちゃんは、とても律義な子だ。
人魚に愛され、その加護を得ているアルを…アルを愛している人魚ちゃんとの約束を、守ろうとしてくれている。
この子は、余程のことがない限り、その約束を違えることは無いだろう。
そういう心をしている。
「あ、それと、俺が夢魔ってことは上の子達には言わないでほしいな」
「子って、ジンは四百くらい行ってる筈よ?」
「ふふっ、俺は君よりもず~っと年上だからね」
「・・・アンタ、一体幾つよ?」
「君よりもず~っと上、かな?」
正確な年齢なんて、俺も覚えていない。ただ、自分がこの子達よりかなり年上なことは判る。
「・・・今回の奴は、明らかに別口よね? 自我や命が危ないだなんて、普通に考えたら、小娘に結婚を迫っている家側のすることじゃないもの」
溜息を吐いた人魚ちゃんが切り出した。
「そうだね」
「なにに追われているの? アルは」
真っ直ぐに俺を見詰めるアイスブルー。
「ヴァンパイア、かな? 純血の」
「・・・それは、どういう意味で?」
「ハーフであるあの子には、敵も多いから」
と、中途半端な情報を聞かせる。
まあ、アルの実兄も、その愛が溢れ過ぎていて割と危ないんだけどねぇ?
イリヤの血ってやつかな? 全く・・・
「・・・アルが命を狙われているだなんて、そんなこと聞いてない」
硬いハスキーな声が言った。
「そう? ヴァンパイアのハーフの死因の、約八割が他者による殺害。そのうちの、六割強が幼少期や乳児期、生まれて間もなく両親や身内に殺される。血に狂うことなく無事に成長できたとしても、存在が公になれば純血至上主義共が殺しに来る。また、まともな職に就ける確率は非常に低い。犯罪を犯したくなければ、真っ当な賞金稼ぎやトレジャーハンターにならざるを得ないという背景もある。人間に比べると身体が頑丈で、身体能力も高いからね。それでなるべく目立たないように生きるか、吸血鬼憎しでハンターになるか・・・そして仕事で、事故死や行方不明になる。で、残り約二割の死因は自殺。平和的に、老衰で死んだハーフの話なんて、なかなか聞いたことが無いよ?」
人魚ちゃんに、一般論で答える。
これがヴァンパイアハーフの事実だ。
まあ、人間との間のハーフの話なんだけどね。
他種族との間のハーフはまた、事情が少し違って来るけど・・・これもまた、数が非常に少ない。
混血の子を三人も持っているローレルは、かなり特異だと言える。
一般的なヴァンパイアハーフでさえ、これだけ過酷な人生だというのに、アルはこれ以上の厄介事を抱えている・・・いや、背負わせた。
あの子の母親が、父親が、アークが、そして俺が。みんなが、それぞれの祈りと願いと思惑とで、あの子を生かした。
そしてあの子は・・・アルは、苦しみながらも足掻いて、懸命に生きている。
「・・・そんなのっ、理不尽じゃないっ!」
絞り出すようなハスキー。アイスブルーの瞳が、やり場のない怒りに燃える。
「そう。非情な程に理不尽で、不条理だ。だからあの子は、とても貴重で珍しい。あの子の周囲が、あの子を生かしたいと願って、懸命に努力した結果が『今のアル』なんだよ」
「っ・・・」
「だから俺は、そんなアルが無条件で愛おしい」
俺は、間違っていなかったのだと思いたい。
あの子・・・アルを生かしたことが、間違っていないのだと、そう思いたい。
だって、みんながアルの生を願ったのだ。
そんなアルがとても大事に、大事に育てられたことを想うと・・・胸が痛くなる程、切なくて愛おしい。
アルが生きていることが、嬉しくて歓ばしい。
・・・アルが思う通り、俺のこの愛情は、母性に近いモノかもしれないな?
まあ、アルが可愛いことに違いはない。
「・・・あたしに、なにをしろって言うの」
「できるだけでいい。アルの味方でいてほしい」
「わかったわ」
こうして、人魚ちゃんの協力を取り付けた。
これが、アルには内緒のことだ。
※※※※※※※※※※※※※※※
・・・おかしい。
あの美女が来ない。
もう、一週間も経っているというのに・・・
待ち合わせ場所はメインストリートの時計台の下、だったか? 戻ってから気付いた。この街にはメインストリートに時計台が無かったことを・・・
「う~ん…聞き間違えたか?」
そうじゃないなら、あの美女がこの街に詳しくないということだ。迷っているとか・・・
「ハッ! もしかして、事故にでも遭ったか? 心配だ・・・」
美女のことは無論、アルゥラのことも心配だ。
額を押さえて苦しそうな顔をしていたアルゥラ。
大丈夫だろうか・・・
心配で胸が張り裂けそうだが・・・
だがしかしっ!?
俺には美女との逢瀬の約束がっ!?
「クッ・・・俺は一体、どうすれば・・・」
とりあえず、もう少し待ってみよう。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。
あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。
よくある聖女追放ものです。
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる