虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

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「副部長はクール系の美人さんなんで、一緒に踊れたら一生自慢できます!」
「ふふっ、お世辞でも嬉しいですね。ですが、エスコートのパートナーより先にダンスに誘うのはマナー違反ですよ? メルンさん」

 クスリと笑うセルビア嬢。

「えー、お世辞じゃないですって! 副部長は絶対美人さんだって、な?」

 お世辞だとさらっと流されたテッドが、わたし達へと同意を求める。

「ええ。セルビア嬢はお綺麗だと思いますよ?」

 「っ! わたし よりも綺麗な 顔した子に 綺麗だなんて 言われても……」

「?」

 さっと頬を染めるセルビア嬢。もしかして、あまり誉められ慣れていないのでしょうか?

「うむ。セルビア副部長は美人です」
「……き、綺麗、です……」
「というワケで、ハウウェル。俺が副部長と踊りたいから、副部長と踊って来てくれ!」

 と、ガシっとテッドに両肩を掴まれた。

「あのね、勝手に決めないの。こういうのは、セルビア嬢の承諾が先でしょ。全くもう・・・セルビア嬢。このアホの言葉は無視して構いませんので。ですが、もしよろしければ、わたしと踊って頂けますか?」

 ぺいっとテッドの手を外し、セルビア嬢へと手を差し出す。まぁ、『先程の馬鹿のことは気にしてません』そして、『わたし達は悪くないので』というアピールにもなると思いますし。

 あれだよね。気にしないで楽しむことが、ある意味意あの馬鹿には趣返しになると思う。

「ふふっ、皆さんは仲が良いのですね。ええ」

 クスクスと笑いながら、差し出した手にセルビア嬢の手が重ねられる。

「ではハウウェル様と踊った後で宜しければご一緒して頂けますか? メルンさん」
「よっしゃー! もちろんです!」
「では、行きましょうか」

 と、飲食コーナーからダンスフロアの方へ移動。

「……実はわたし、あまり殿方と踊ったことはないのですけど……」
「ああ、わたしもです。あまり同年代の女性と踊ったことはないですね。なので、リードが下手でもご容赦ください」
「わたしの方こそ、足を踏んでしまったらごめんなさいね?」

 おばあ様とダンスの練習をするくらいですかねぇ。靴擦れに気付かない鈍感男はヒールで足を踏んでやりたくなると言われてからは、確りと女性に気を配ろうと肝に銘じています。

 今日のセルビア嬢の靴は踵が高くはないし、歩き方にも特に異常は見られません。足を踏まれても大丈夫そうですね。と、若干緊張しながら一曲が終了。

「ありがとうございました。楽しかったです」
「いえ、こちらこそ」
「次は俺の番ですね!」

 と、張り切っているテッドだけど・・・

「ところで、テッド」
「おう、なんだハウウェル」
「君、踊れるの?」
「ふっ、気合は十分だ!」
「気合って・・・セルビア嬢、フォローをお願いします」

 まぁ、テッドがダメダメでも、きっとセルビア嬢がリードしてくれることでしょう。多分、踊っているようには見えると思う。セルビア嬢は、男性とあまり踊ったことがないと言っていましたが、お上手でしたし。

「ふふっ、ではメルンさん。楽しみましょうか?」
「はいっ!」

 と、テッドと交代。

 それから飲食コーナーに戻ると、レザンが乗馬クラブ所属の男子生徒の面々に囲まれていた。それで若干、クラブに所属していないリールの居心地が悪そうだった。
 けど、そこにセルビア嬢とテッドが戻ると、乗馬クラブの女子生徒達もちらほらと集まって来て、和気藹々わきあいあいと過ごしているうちに交流会が終了。


 明日から長期休暇です!

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