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しおりを挟む「は?」
「たのんだ、ぜ……」
「任せてください! さあ、行きましょうハウウェル先輩っ!」
「え? ヤだ」
「ええっ!? あんな苦しそうなメルン先輩の頼みですよっ、聞いてあげないんですかっ?」
「……ハウウェルが男パートでも、いいんだぜ?」
「は? なに? 君、わたしに女性パートを踊らせるつもりだったの?」
思わず出た低い声に、びくっとして目を逸らすテッド。
「ぇ~……ほ、ほらっ、お、女の子より女の子パートが上手いと、ダンスに誘われないって、去年お嬢様が話してたからさ!」
「め、メルン先輩っ、自分が気分悪くて大変なのに、ハウウェル先輩のことをそこまで考えて・・・」
「……いや、単に面白がっているだけだろう。それか、自分にパートナーがいないことへの腹いせだな」
「もう、グレイ先輩! メルン先輩がそんなこと思ってるワケないじゃないですか!」
「や、絶対、騙されてるから。そんなこと、でしょ。ねえ? テッド」
「い、いや、そ、そんなことは、ない」
顔を背けながらの怪しい答え。
「うん? なにがそんなことはないんだ?」
「あ! レザン! この裏切り者め! 副部長ちゃんと踊るだなんていい思いしやがって、うらやましいじゃねーかこの野郎!」
「えっと、つまりメルン先輩はわたくしと踊りたい、ということでしょうか?」
レザンの横から顔を覗かせるアンダーソン嬢。
「ふ、副部長ちゃんっ!?」
「ミシェイラ。それは少し難しいと思うわよ?」
「レイラ様、どうしてでしょうか?」
「テーブルを見てごらんなさい」
「空のお皿が沢山ありますが……」
「メルン先輩が空にしたお皿よ。それで、ついさっきエリオットと踊っている途中で気分が悪くなったとリタイヤして来たところなの」
「まあ、それは大変ですね。無理はなさらない方が宜しいですわ」
「そ、それはそのっ……」
断られ? そうな気配に萎むテッドの声。
「ふむ……それで、なにを揉めていたんだ?」
「や、テッドがアホなこと言うから」
「メルン先輩は、ハウウェル先輩のことを心配して。女の子避けとして僕にハウウェル先輩と踊って来てほしい、って」
「そ、そうなんだよ。ハウウェルが女の子達に追い掛けられて難儀してっからさ。ほら? 去年お嬢様が言ってたじゃん? 女の子より女の子のパート踊るの上手かったら、女の子がお誘いするハードルが上がるってさ?」
「成る程。しかし、フィールズとでは身長差が少し厳しいのではないか?」
「ふぇ?」
「うん? その言い分だと、女性パートを踊るのはハウウェルなのだろう? フィールズと踊って上手く見せるのは、ハウウェルが大変ではないか?」
「は?」
思わず、エリオットと見つめ合う。
エリオットの目線は、わたしよりも低い。踊れないことはない……というか、去年はセディーの練習の為に男女のパート両方を踊ったけど、エリオットとの身長差でわたしが女性パートを何度も踊るのは、少しキツかった。
「なるほど、わかりましたわ! ネイサン様がエリオットと踊るのを渋っていたのは、エリオットの方が身長が低いため、女性パートを美しく踊ることが難しいと判断したからだったのですね!」
「え? いや、レイラ嬢?」
「それなら、エリオットより断然長身のクロフト様と踊ればいいのですわ!」
「うむ。いいだろう、行くぞハウウェル」
「え? は? ちょっ、レザン!」
と、レザンに引き摺られるようにしてフロアへ。
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