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しおりを挟む「ハウウェル様は、本日は踊られないのでしょうか? わたくしとの勝負はまだついておりませんことよ?」
「おおっ、前にハウウェルにライバル宣言をした『フロアクイーン』!」
キリっとした、挑むような表情でわたしを見据えるのは、交流会で毎度『フロアクイーン』賞を取っているので有名な、王室のダンス講師を目指しているという同級生の女子生徒。
以前、なにを間違ったか、不本意にもわたしが交流会で一度『フロアクイーン』賞を取ってしまい、そのときになぜかライバル宣言をして去っていた彼女。
「ネイト兄さまとしょうぶ……? なんのしょうぶですか?」
「あら、そちらはケイト・セルビア様の弟君でしょうか?」
「はいっ、リヒャルト・セルビアです」
「ケイト様にそっくりなお顔をされていますね」
「ありがとうございます♪」
ケイトさんにそっくりと言われ、リヒャルト君が嬉しそうに笑う。
「それで、本日はハウウェル様は踊られないのでしょうか? 正々堂々と勝負をして、わたくしはトロフィーと、クイーンの座を取り戻したいのですが」
「ハッ! このまえ、セディー兄さまとネイト兄さまのおうちでみせてもらったトロフィーのことですか?」
「ええ、そうですが……トロフィーを家に飾っているのですね」
「いえ、仕舞ってありますが」
おばあ様が面白がって飾ろうとしていたのを阻止して、倉庫に突っ込んでおいた。
「そうですか。大切に仕舞ってあるのですね」
なんかこう、この人とは微妙に噛み合わない気がするなぁ。
「それで、本日のパートナーは前回同様クロフト様でしょうか?」
「いえ、今日は特に踊る予定はないのですが……」
「なんですってっ!?」
「というか、前回の賞はまぐれだと思いますので。わたしに構わず、どうぞダンスを楽しんでください」
「わたくし如きの腕では、ハウウェル様のライバルとは認められないと仰るのですね!」
「いえ、そうではなくて」
本当に話が噛み合わない……
「えっとですね、ハウウェル先輩は、女子生徒にダンスのお誘いをされるのを避ける為に女性パートを踊ったので、もう女性パートを学園で踊る必要が無いんですよ」
と、エリオットが答えた。
「成る程、ご自分が女子生徒よりも美しく踊れることを証明し、あなた達如きでは自分のパートナーには相応しくない、と。そう学園の女子生徒達へと広く知らしめたというワケですか」
わたしの言動がやたら攻撃的に取られてるっ!?
「え? いや、そんな上から目線なことは全く思ってないですけどっ? というか、前回のは本当にハプニングのようなもので、本来ならわたしにあの賞を取れるような実力は無いんですよ」
「行き過ぎた謙遜はイヤミにしか聞こえませんわよ」
「いえ、本当に前回のはまぐれです。前のは単に、レザンの足を踏んでやろうと思って踊っていただけですので。また同じように踊るのは、難しいと思います」
「え? クロフト様の足を踏もうとなさっていたんですか?」
「ええ。全部避けられましたが」
「成る程、あれは決闘のようなワルツではなく、ある意味本当に戦いだったということですのね! ではまたクロフト様とペアを組んで、足を踏んでやろうという気迫で踊ればいいのですわ!」
「え? 嫌ですけど」
「どうしてですのっ!?」
「それは勿論」
「勿論、なんですの?」
「恥ずかしいからに決まってるじゃないですか。それに」
「前回!」
言い掛けた言葉が彼女に遮られる。
「あんな見事なダンスを披露しておいて! 今更恥ずかしいは通りませんわ! わたくしがっ、納得致しません!」
「いえ、前回は保護者の方々がいなかったじゃないですか。生徒達だけでの悪ふざけを、保護者の前でまでしたくありません。わたし達はもう、学生を卒業しましたし」
「くっ……確かに、大人の中には頭の固い方もいらっしゃいますがっ……」
「それに、レザンの家は軍人の家系です。おうちの方の前であまり悪ふざけを見せると、レザンの立場が悪くなるかもしれないじゃないですか」
「せ、正論ですわね。わかりました」
ふぅ……わかってもらえたようだ。よかった。
「では、別の殿方を用意致しますわ!」
「ええっ!? わかってくれてないっ!?」
__________
すみません。体調不良と話が全然まとまらなくて……(´ε`;)ゞ
先週に『『それ』って愛なのかしら?』という短編を書き上げてから、ダウンしてました。
内容は、『愛があればそれでいい!』とかのたまう不貞したバカップル共に、冷や水どころかブリザードな現実を示唆するという話です。
興味のある方は、『月白ヤトヒコ』の作品リンクから飛べるので覗いてやってください。
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