虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
597 / 673

番外。俺はシスコンじゃねぇ! 6

しおりを挟む


 騎士科に通って、友達もできて。その合間に、スピカの出るイベントやお茶会やらには父上の命令でエスコートをして、アイツがまたアホをやらかさないか見張る――――

 と、割と忙しく過ごしていたら、同級生の貴族子息がどこどこの令嬢と婚約したという話をちらほら聞くようになった。

 ふーん……なんて思っていたら、いつの間にかよくつるんでいる連中の貴族子息達の中で、婚約者がいないのは俺だけとなっていた。

 まぁ、うちは少々特殊な事情があるから、婚約者選びは父上も母上も慎重になってるんだろう。と、そう気楽に思っていた。

 しかし、俺は聞いてしまった・・・

 貴族のお嬢さん達が、男共に付いて批評しているところを。

 誰それは顔はいいけど、頭が残念。○○は顔はいいけど、家が面倒。○○は顔はいいのに、性格に難あり。○○は顔も性格もいいけど、嫡男じゃないからいずれ平民になる。○○は騎士科に通っているのに、弱そう……などなど。

 案外ズケズケものを言うなぁ、と思っていたら・・・

「クロシェン様は……顔は並みの上ね」
「美形の出る家にしては、少し残念かも」
「あら、わたくしは自分よりお綺麗な殿方は嫌ですわ」
「そうね。それに、クロシェン様は性格も、口調が少し雑ですけど、女性には優しいわ」
「そうそう、女の子に優しいのにチャラくないのよね」
「伯爵家嫡男で、婚約者無しの優良物件! と思いきや……」
「あの方、シスコンで有名だものね」
「嫌だわシスコンなんて」
「残念よね。自分より妹君を優先させられたら、即冷めるわね」
「ええ、政略なら我慢するけど……常に妹君を優先されたら、本当に最悪だわ」
「シスコンは無いわ」
「無いですね」
「そうそう、そう言えばわたくし。この間、病気の妹ばかりを優先する婚約者に愛想を尽かして婚約破棄をするってお話を読んだのよ」
「まあ、わたくしもその話、読みましたわ。主人公が不憫で不憫で……」
「ええ、あれだけ婚約者に尽くしていたのに……」

 と、お嬢さん達の話は、小説やら季節のファッションへとどんどん移行して別の話になって行った。絶妙に、俺の心を傷付けて――――

「ぐっ……」

 もしかして、俺に婚約者がいないのは、父上と母上が吟味しているからじゃなくて、そもそも俺と婚約したいって言うお嬢さんがいないからかっ!?!?

 そんな風にショックを受けて・・・気付いたら、週末だった。

 おかしい。ちょっと、ここ二日分くらいの記憶が飛んでいる。

 俺、色々と条件なんかは悪くないのにモテないんだ・・・なんて思いながらうちに帰ると、スピカのエスコートをすることに。

 そして、毎度のことながら微笑ましいという視線が。

「兄様、わたしはもう小さくないので一人でも大丈夫なんですけど? 他の子でお兄様が付いてる子はいないし」

 なんて、生意気言いやがる。

 確かに付き添いには、姉や妹が多いお茶会。男の子の参加は少ない。

「うるせぇ。お前がやらかさないかっていう見張りだ」
「もうっ、いつまでも小さい頃のことばっかり!」
「お前はな、それくらいのやらかしをしたんだっての」

 ぷぅとむくれるスピカ。

「兄様も、わたしにばっかり構ってると婚約者さんができないですよ」
「あ゛?」
「え? 兄様? その、ちょっとお顔が怖い……です、よ?」

 引き攣った顔が俺を見上げる。

「誰のせいだと思ってんだ? このアホが~っ!?」
「ええっ!? きゃっ、ちょっ、に、兄様! あ、頭掴まないでぇ~っ!?」

 亜麻色の頭をぐっと掴み、わしゃわしゃと掻き混ぜてやる。

「嫌~っ!? ぐしゃぐしゃやめて~っ!!」
「ふんっ、これくらいで勘弁してやる。感謝しろ」

 少しだけすっきりしたので、ぼさぼさにしてやった頭を放す。

「ぅう、兄様のイジワル! うわ~ん、ミリア様~、兄様が~っ!?」

 と、スピカはお友達のところへ走って行った。

 ミリアというのは、以前にスピカが誘拐されそうになったときに、庭に出て行ったと教えてくれた女の子だ。確か、ミリアが愛称でミリアリアって名前だったはず。

 アイツと違って落ち着きのある子で、性格も違うというのにあのアホと仲良くしてくれて感謝している。

 スピカはクスクス笑うミリアリア嬢にぼさぼさの頭を直してもらいながら、俺が酷いのだと訴えている。

 ったく、呑気なもんだぜ。こっちは、一人暇しながらも不審人物が現れないかってずっと気ぃ張ってるってのによ。

 ちなみに、俺の参加するお茶会では誘拐事件が起きたことは無い。未遂は何度かあったけど、バッチリ防いでやったぜ。主催や、誘拐され掛けた子の家にはめっちゃ感謝されている。

 けど・・・それがまたシスコンの噂に拍車を掛けていたとはっ!?

 スピカ以外も助けてんのに、「よっぽど妹さんが大事なのね」とか言われんの、絶対おかしいだろっ!? 誰か子供や女性が誘拐されそうなら、普通に阻止するっての! 人としてな!

 この状況、どうすりゃいいんだ・・・?

 俺はシスコンじゃねぇってのっ!?

✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰⋆。:゚・*☽:゚・⋆。✰

しおりを挟む
感想 176

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】私から全てを奪った妹は、地獄を見るようです。

凛 伊緒
恋愛
「サリーエ。すまないが、君との婚約を破棄させてもらう!」 リデイトリア公爵家が開催した、パーティー。 その最中、私の婚約者ガイディアス・リデイトリア様が他の貴族の方々の前でそう宣言した。 当然、注目は私達に向く。 ガイディアス様の隣には、私の実の妹がいた── 「私はシファナと共にありたい。」 「分かりました……どうぞお幸せに。私は先に帰らせていただきますわ。…失礼致します。」 (私からどれだけ奪えば、気が済むのだろう……。) 妹に宝石類を、服を、婚約者を……全てを奪われたサリーエ。 しかし彼女は、妹を最後まで責めなかった。 そんな地獄のような日々を送ってきたサリーエは、とある人との出会いにより、運命が大きく変わっていく。 それとは逆に、妹は── ※全11話構成です。 ※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、ネタバレの嫌な方はコメント欄を見ないようにしていただければと思います……。

【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪

山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。 「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」 そうですか…。 私は離婚届にサインをする。 私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。 使用人が出掛けるのを確認してから 「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

白い結婚で結構ですわ。殿下より、私の自由のほうが大事ですので

鍛高譚
恋愛
「第二王子との婚約? でも殿下には平民の恋人がいるらしいんですけど? ――なら、私たち“白い結婚”で結構ですわ。お好きになさってくださいな、殿下」 自由気ままに読書とお茶を楽しむのがモットーの侯爵令嬢・ルージュ。 ある日、突然“第二王子リオネルとの政略結婚”を押しつけられてしまう。 ところが当の殿下は平民の恋人に夢中で、 「形式上の夫婦だから干渉しないでほしい」などと言い出す始末。 むしろ好都合とばかりに、ルージュは優雅な“独身気分”を満喫するはずが…… いつしか、リナという愛人と妙に仲良くなり、 彼女を巡る宮廷スキャンダルに巻き込まれ、 しまいには婚約が白紙になってしまって――!? けれどこれは、ルージュが本当の幸せを掴む始まりにすぎなかった。 自分を心から大切にしてくれる“新しい旦那様”候補が現れて、 さあ、思い切り自由に愛されましょう! ……そして、かの王子様の結末は“ざまぁ”なのか“自業自得”なのか? 自由気ままな侯爵令嬢が切り開く、 “白い結婚破談”からの痛快ざまぁ&本当の恋愛譚、はじまります。

あなたの姿をもう追う事はありません

彩華(あやはな)
恋愛
幼馴染で二つ年上のカイルと婚約していたわたしは、彼のために頑張っていた。 王立学園に先に入ってカイルは最初は手紙をくれていたのに、次第に少なくなっていった。二年になってからはまったくこなくなる。でも、信じていた。だから、わたしはわたしなりに頑張っていた。  なのに、彼は恋人を作っていた。わたしは婚約を解消したがらない悪役令嬢?どう言うこと?  わたしはカイルの姿を見て追っていく。  ずっと、ずっと・・・。  でも、もういいのかもしれない。

結婚したけど夫の不倫が発覚して兄に相談した。相手は親友で2児の母に慰謝料を請求した。

佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のアメリアは幼馴染のジェームズと結婚して公爵夫人になった。 結婚して半年が経過したよく晴れたある日、アメリアはジェームズとのすれ違いの生活に悩んでいた。そんな時、机の脇に置き忘れたような手紙を発見して中身を確かめた。 アメリアは手紙を読んで衝撃を受けた。夫のジェームズは不倫をしていた。しかも相手はアメリアの親しい友人のエリー。彼女は既婚者で2児の母でもある。ジェームズの不倫相手は他にもいました。 アメリアは信頼する兄のニコラスの元を訪ね相談して意見を求めた。

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

処理中です...