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しおりを挟む「にしても、よかったなー? ネイサン」
屋敷に向かう途中、ロイがニヤリと笑って言った。
「なにが?」
「お前が弱かったら、父上が『スピカを守れる力の無い奴との結婚は認めん!』とか言い出しそうだったし」
「・・・それ、本当?」
再会したときにスピカを抱き締めたり、キスをしたことで怒っていたトルナードさんなら、あり得そうではあるけど・・・
「マジだな。弱かったら、もっと鍛え直して出直して来い! 的な?」
「・・・鍛えててよかったっ!!」
いや~……最近、ちょっと書類仕事とかが多くてちょっとサボり気味だったんだけど。レザンの言う通り、鍛錬は続けておかないといけないみたいだ。
よし、もっとがんばろう!
決意を新たに、セディーを起こしに部屋へ向かうと・・・
案の定、セディーは筋肉痛に苦しんでいた。
「ぅ、腕がぷるぷるする……」
と、他にもちょっとカクカクした動きで朝食。ちなみに、昨日セディーと一緒に射撃訓練をしていたケイトさんは、いつも通り元気そうです。
「セディーは運動不足ねぇ。普段からもう少し動いていた方がいいわよ?」
クスクスと笑うおばあ様。
それから、ぱたぱたと食堂にやって来たスピカはちょっと恥ずかしそうな顔で挨拶してくれた。
和やかな朝食の席で、
「ああ、そうだ。ロイ、フィールズ公爵令嬢とのお見合いはおそらくこの二、三日中になりそうだから心しておくように」
トルナードさんが言った。
「え? マジ?」
「ああ、場所はフィールズ公爵令嬢方の泊まっているホテルになるだろう」
「直前で言うのって、どうなんだ? 父上……」
はぁ~と、深い溜め息を吐くロイ。
「前々から言っているから、直前という程でもないだろう?」
「ふふっ、ごめんなさいねぇ? フィールズ公爵夫人が、昨日こっちに着いたみたいなの。それで、多分そろそろだろうって思ったのよ」
疑問に答えたのはおばあ様。
「ああ、本当にこっちに来ていたのはエリオットとレイラ嬢だけだったんですか」
「そうみたい。ああでも、誤解しないでちょうだいね? フィールズ公爵がこちらに来ていないのは、ロイ君がお断りしてもいいようにって言う先方のお気遣いですからね」
「え? 俺が……その、お断りしてもいいんですか?」
「ええ。勿論よ。ロイ君がお断りしたら、アナスタシア様は少し残念がるとは思いますけど……ご本人のレイラさんとフィールズ公爵はあまり気にしないと思いますからね」
「あ、あの、兄様がお断りしたら、レイラ様はお困りにならないのですか?」
スピカが心配そうに口を開く。
「どうかしらねぇ? フィールズ公爵家はエリオット君が婿入りする予定で、伯爵位を公爵家に戻す予定みたいですし。伯爵位の他にも男爵位など、複数の爵位があったと思いますからね。レイラさん本人が望まないのであれば、余っている爵位を継がせるという手もあるそうですよ」
「そうですね。ルリアさんもエリオット君も、レイラさんとの仲は良好ですからね。余程のことがない限りは、レイラさんのことを蔑ろにはしないでしょうからね。ロイ君がお断りしても、レイラさんは気にしないと思いますよ?」
おばあ様の言葉を引き継ぎ、答えるセディー。
まぁ、ルリア嬢と一番接することが多いのはセディーだ。フィールズ公爵家の事情はセディーの方が詳しいだろう。そして、二人の仲がこのまま良好であり続けるのであれば、レイラ嬢は無理に結婚する必要もないということか。
「まぁ、向こうでは爵位持ちの女性は少し珍しくはありますが、全くいないというワケでもないですし。公爵令嬢に表立って文句を言えるような輩もいないでしょうからね。この縁談が成立しなくても、レイラさんの立場が悪くなることはないと思いますよ。レイラさんの性格的にも」
「ああ……確かに」
ここ数日でレイラ嬢の、ちょっとぶっ飛んだ性格を少しは見聞きしたロイが、納得したように頷く。
まぁ……レイラ嬢の立場は色々やらかした学園生時代から悪くなっているので、これ以上は悪くなりようがない、と言ったところではあるけど。
エリオットとの婚約解消に加え、乗馬クラブでの『暴君』という評判は・・・ある意味、わたしが直接関わっているので、ちょっとだけ責任を感じないでもない。
やっぱり、ある程度はレイラ嬢の暴走を止めるべきだったのかな? でも、わたしが止めたところで、レイラ嬢は聞いてくれたかは疑問だけど・・・
そんな風に話をしながら朝食を食べ終わり、午後になる前にエリオットとレイラ嬢がやって来た。
「お邪魔します!」
「どうぞ、お土産ですわ」
わたし達の国のお土産を沢山持って。
「宜しいのですか? こんなに沢山頂いて」
「ふふっ、お気になさらず。わたくし達が入り浸っている迷惑料代わりと思ってくださいな」
「はいっ、レイラのお母様もそう言ってましたからね!」
「自分で迷惑料って言っちゃうんですか」
「一応、わたくしには自覚がありましてよ? エリオットと違って」
「えぇっ? め、迷惑だったんですかっ!?」
「当然でしょう。ネイサン様とセディック様とネヴィラ様、ケイト様とリヒャルト君が滞在していらしても、こちらはハウウェル侯爵邸ではありませんもの」
「ハッ! そ、そうでした!」
小さく落ちた呟きに、小さく返す。
偶に、レイラ嬢の方がまともに見えることもある。
「それで、今日はなにを致します?」
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