虚弱な兄と比べて蔑ろにして来たクセに、親面してももう遅い

月白ヤトヒコ

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「か、母様酷いっ!?」
「なら、スピカは爵位を持って、自分が矢面に立って、領地や領民を確りと守ることができるという自信があるの?」
「そ、それは……その、ありませんけど……」

 しょんぼりと答えるスピカ。

「で、でもでも、わたしにもサポートはできると思います!」
「そうねぇ……ネイトに覚悟があるなら、別にこのままでもいいんじゃないかしら?」
「ネヴィラ? このままでいい、というのはどういう意味だ?」
「複数の国で爵位を持つ貴族も、いるでしょう? まぁ、そういう貴族は基本的に、領地を持たない人や外交官の方が多いけれど」
「ふむ……確かに。いることはいるが……」
「それに、向こうとこちら。どっちで式を挙げるにしろ、誰かは出席できないじゃない」

「「「っ!?」」」

 おばあ様の言葉にお祖父様、セディー、トルナードさんの三人の間にバチっと緊迫した空気が走った。

「どちらせよ、領地を空けないといけなくなるから。向こうだと、ヒューイかセディーのどちらかはお留守番。こっちなら、トルナードかロイ君のどちらかがお留守番になると思うのだけど」

 さっきまで味方同士だったセディーとお祖父様が、鋭い視線で睨み合う。どちらも、譲るつもりはない、という気迫です。

 そして、さらっと自分は留守番はしないと言ってますね、おばあ様。

「それだったら、こちらと向こうの丁度中間地点で式を挙げた方がいいのではないかしら? それなら、全員参加できるじゃない」

 中間地点なら、確かに。馬車や馬を飛ばせば、一日以上領地を空けることは避けられるだろう。まぁ、とんぼ返りをする人の負担を考えなければ、ではありますが・・・

「さ、さすが大おば様です!」
「そうじゃなかったら、式はどちらかで挙げて、披露宴をあちらとこちら両方でしちゃえばいいのよ。爵位を両方持つなら、披露宴を二回してもおかしくないもの」
「成る程。さすがはネヴィラだな! うむ! その方向で検討してみようではないか!」

 というおばあ様の提案で、喧嘩というか……言い争い? は止まりました。

 今度は地図を広げてああでもない、こうでもないと言い合っています。

 でも、披露宴を二回って・・・どうなんだろ?

「単純計算で、費用が二倍……」

 思わず呟くと、

「大丈夫! ネイトとスピカちゃんの披露宴だから、僕頑張っちゃう!」

 セディーが胸を張って宣言。

「え?」
「ほら、僕結構稼いでるから。資金なら心配しなくても大丈夫!」
「で、でも、セディックお兄様に悪いですよっ」
「スピカちゃん。僕は、ネイトとあなたのことをお祝いしたいんです。むしろ、なにもさせてもらえない方がつらい。それは、ケイトさんも同じですよね?」
「勿論です! 可愛い弟と妹の結婚式! これはもう、全力でバックアップしなきゃ姉としての面目が廃りますわ!」
「そうですよね、ケイトさん!」
「え? け、ケイトお姉様? セディックお兄様?」
「ふふふ……可愛らしいスピカ様のドレス姿! 想像するだけで胸が躍りますわ!」
「ね、ねえ様! ケイトお姉様のテンションがなんか変ですよっ?」

 きらきらの笑顔でテンション爆上がりなケイトさんに、若干引き気味のスピカ。

「ああ、気にしなくて大丈夫だと思うよ? 実はケイトさん、可愛いものを愛でるのが好きな人ですから」
「ええっ!? か、かわっ……」

 そして、なぜかスピカの顔が真っ赤になる。

「そ、そんなっ、美人なケイトお姉様に可愛いって言われるなんてっ……」
「? スピカは可愛いよ?」
「はわっ!?」
「うふふふ……ああ、本当にネイサン様もスピカ様も可愛らしいですわ♪」
「ええ、本当に……」

 似た者同士な二人が笑い合う。

「……ブラコンにシスコンまで加わったってことか。血ぃ繋がってねーのに……」

 と、呆れたような呟きが聴こえた。

 まぁ、スピカの卒業までまだ時間はあるし、どうするかを決める余裕はまだある。

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