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俺と彼女の婚約は破綻した。
しおりを挟む親父が、丁度いいと思った婚約は・・・
伯爵が、商人は後継ぎには相応しくないと考え。お嬢様も、商人は自分の結婚相手には相応しくないと考え。屋敷の使用人達も、商人は自分達が仕えるのに相応しくないと考えた。
そして、護衛騎士は自分が貴族の家を継ぐチャンスだと考え。伯爵は護衛騎士の父親を頼れると考え、後継ぎには貴族の血を引く者が相応しいと考え。お嬢様も、護衛騎士の方が自分の結婚相手に相応しいと考え。使用人達も、自分達が仕えるのは高位貴族の血を引く護衛騎士が相応しいと考え・・・
俺と彼女の婚約は破綻した。
まぁ、穏便な解消だったとは言える。
まさしく、彼らは互いに自分への相応しさを相手へと求めたカップルだったのだろう。打算塗れの……
それから――――
数ヶ月が経ったが、元婚約者と恋仲だったというあの護衛騎士との結婚の報せが届くことはなかった。もう式を挙げてないと、お腹が目立つ頃だろうに。
更に数ヶ月が経ち――――
護衛騎士は、偶にパーティーなどでちらほらと顔を見掛けることがある。
かなり年配のマダムの取り巻きの一人として。気に入られようと必死にご機嫌伺いをしたようだから、ツバメだか愛人に身を窶したということなのだろう。
一方、元婚約者だった彼女の方は・・・病気療養という名目での極秘出産をした模様。生まれた子は、どこぞの孤児院に出されたようだ。
そして――――経産婦を求めているという、貴族家に嫁いだのだとか。
通常、貴族令嬢の純潔は貴ばれるが・・・
文字通りに相手を選ばなければ、結婚すること自体はそう難しいことではない。
仮令没落して持参金が皆無でも、莫大な借金を抱えていようとも、『元』が付こうとも、貴族令嬢というブランドを欲しがる輩はいる。相手が初婚でなくバツが幾つもあったり、娶った相手が不審死をしたなどなど、曰く付きの相手でも厭わなければ、ではあるが。
中には、自身の男性不妊を疑い、それを調べるために経産婦を求めるという比較的まともな理由の男もいるというが・・・彼女が嫁いだ相手のことは、よく知らない。
もう、そこまで彼女に関心は無い。ただ、商人として働いていると、ちらほらと噂が聞こえて来るだけだ。
それに、父がまた没落寸前の貴族令嬢との縁談を俺に持って来た。
「やはり、あの家は駄目だったな。もう持ち直すのは無理だろう。いずれ爵位も返上か、売りに出されるかもな。まぁ、あそこの土地は安くで手に入れられたからいいだろう。喜べ、次の縁談を用意したぞ。ワーカホリックなお前には、恋人や好きな相手はいないだろう?」
なんて笑いながら。やっぱり、父は狸な商人だ。
とりあえず……今度の女性とは、いい関係を築けるといいなぁ。
さすがに、数年間冷遇の後、不貞するような女は、そうそういないと思いたい。
――おしまい――
__________
別作品の【『それ』って愛なのかしら?】の男バージョンを書こうとしたら、なぜか違う感じの話になっちゃいましたねー。(੭ ᐕ))?
なので、出だしが【『それ』って愛なのかしら?】と、少し似ています。(笑)
成金商人に買われるように婚約させられた没落貴族令嬢が、護衛騎士やら自分家の使用人と恋仲になってハッピーエンドになる話はよくありますが、「それ、没落中の家的にはどうなん?」と、途中で思ってしまったので、こんな話になりました。
やっぱ、お嬢様のお相手に隠された地位やら権力が無いと、綺麗に成立しない話だよなぁ……と。ꉂ(ˊᗜˋ*)
以上、最後まで読んでくださりありがとうございました♪
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さごはちジュレさん。感想をありがとうございます♪
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