【完結】護衛騎士と令嬢の恋物語は美しい・・・傍から見ている分には

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
7 / 8

使用人の為人で、主の程度も知れるというもの。

しおりを挟む


 ここまで教えてやっても、出て来る言葉がそれか。

「ハッ……むしろ、割高でも生活必需品をあんた達に売ってやっていた商人は親切だろうに? 嫌がらせだとしても、付き合いがあるだけまだマシだ。商人達が本気を出せば、この領地全体を干上がらせることだってできたんだよ」

 事実、うちの商会が方々から商品を手に入れ、正規の値段で商品を卸しただけで、屋敷は持ち直した。まぁ、その分俺があちこち方々の商会に頭を下げたりしたワケだが。

 この家の使用人に不快な思いをさせられた商人達が結託すれば、干上がらせることは容易くできた。とは言え、領主家の使用人が気に食わないからと、領地丸ごと干上がらせるには、商人の方とてそれなりの損害を出す覚悟や、他の貴族や……最悪だと、王家を敵に回す覚悟が必要となる。

 故に、できるけれどやらなかった。けれど、領主家にだけ狙いを絞った報復としての、没落手前の困窮だった、というワケだ。

 俺がこの家に婿入りしたら融通するから、と。そう言って、適正価格で商品を卸してもらっていたが・・・

 その話がご破算となったからには、また以前のように適正価格よりも大分割高で吹っ掛けられることだろう。

「そして、この領地はもううちの商会が買った土地となったから、伯爵家は土地を持たない貴族となる」
「そん、なっ……」
「お前達……貴族の使用人が、変なプライドを持たずに真摯に客人に対応していれば、そもそもこの家はここまで困窮していない。つまり、お嬢様が俺みたいな成金の商人に買われるようにしての婚約も、してはいなかっただろうよ」

 まぁ? この使用人達の客に対する態度の悪さに気づかなかった……もしくは、気付いていたのに放置していた、または咎める気が全く無かった伯爵の監督責任とも言える。

 使用人の為人ひととなりで、主の程度も知れるというもの。この家の使用人達の態度が悪いことは有名だったから、高位貴族はこの家と縁を結ぼうとは思わなかった。下位貴族達は、婿入りしても使用人達に冷遇されると判って、縁を結ぼうとは思わなかった。

 遅かれ早かれ、この家は没落待ったなしの状況にはなっていただろう。

「さて、一体誰が、この家を追い詰め、大切なお嬢様を苦境に立たせたんだろうな?」

 そう言った俺の言葉にがっくりと項垂れた執事を置いて、屋敷を出ようとして……

「危ない。忘れるところだった」

 うちがこの家に貸していた使用人達に声を掛け、引き揚げる手配をさせた。

 数時間後には、みんなうちに戻って来るだろう。他に忘れものは無いはず。

 よし、帰るか。

―-✃―――-✃―――-✃―-―-

しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約者に改めてプロポーズしたら、「生理的に無理です」と泣かれた。俺の方が泣きたい……

月白ヤトヒコ
恋愛
 良好な関係を築いていた婚約者の彼女へ、 「どうか、俺と結婚してください!」  と自分のデザインした渾身の指輪を渡して、正式にプロポーズをした。  しかし、彼女は悲しそうな顔をして―――― 「とても、素敵な指輪だと思います、が……ごめん、なさい……わたくしは……が……生理的に無理、なんですっ……」  そう絞り出すような泣きそうな声で言った。 「わたくし達のこの婚約が、政略だということは十二分に判っております。つきましては、親族の中よりこの婚約に相応しい女性を複数名お選び致しますので、あなた様がお決めになってください。この数年間、とても楽しく過ごさせて頂きました。あなた様のご健勝を、心よりお祈り致しております。それでは」  そう言うと彼女は、ぽかんとする俺を置いて、悲壮な顔で去って行った。  俺は、真っ白になった。  あぁ・・・泣きたい・・・  そして――――彼女の家から、正式に婚約者の交代を申し入れられたと両親に告げられた。  俺は、絶対に嫌だと、ごねにごねた。  だって、数年間一緒に過ごして、いい感じだと思っていた相手に、「生理的に無理なんです」と涙目で言われて振られた男だ。  そんな男が、嬉々として新しい婚約者を探せると思うか? そんなの、俺には無理だ。  俺は今、ハートブレイク……というか、絶賛ハートクラッシュ中だっ!!  それに、俺はまだ――――彼女のことが好きなんだ。  という感じのラブコメ。ハッピーエンドで終わります。(笑) 設定はふわっと。 表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

「いいよな。女は着飾ってにこにこしてりゃそれでいいなんて、羨ましい限りだ」と、言われましたので・・・

月白ヤトヒコ
恋愛
今日は、旦那様が数週間振りに帰って来る日。 旦那様に綺麗だって思ってもらいたいという女心で、久々に着飾って旦那様をお迎えしました。 今か今かと玄関先で旦那様を待って、帰って来た! と、満面の笑顔で。 「お帰りなさい、旦那様!」 そう言ったのですが・・・ 「はっ……いいよな。女は着飾ってにこにこしてりゃそれでいいなんて、羨ましい限りだ」  歪めた顔で、不機嫌な様子を隠すことなくわたしへ言いました。 なのでわたしは・・・ から始まる、奥さん達のオムニバス形式なお話。 1.「にこにこ着飾って、なにもしないでいられるくらいに稼いで来いやっ!!」と、ブチギレる。 2.「ごめんなさい……あなたがそんな風に思っていただなんて、知らなかったの……」と、謝る。 3.「では、旦那様の仰る通り。ただ着飾ってにこにこすることに致しましょう」と、にっこり微笑む。 4.「ありがとうございます旦那様! では早速男性の使用人を増やさなきゃ!」と、感謝して使用人の募集を掛ける。 5.「そう、ですか……わかりました! では、わたしもお国のために役立てるような立派な女になります!」と、修行の旅へ。 1話ごとの長さはまちまち。 設定はふわっと。好きなように読んでください。

うちの王族が詰んでると思うので、婚約を解消するか、白い結婚。そうじゃなければ、愛人を認めてくれるかしら?

月白ヤトヒコ
恋愛
「婚約を解消するか、白い結婚。そうじゃなければ、愛人を認めてくれるかしら?」 わたしは、婚約者にそう切り出した。 「どうして、と聞いても?」 「……うちの王族って、詰んでると思うのよねぇ」 わたしは、重い口を開いた。 愛だけでは、どうにもならない問題があるの。お願いだから、わかってちょうだい。 設定はふわっと。

ただずっと側にいてほしかった

アズやっこ
恋愛
ただ貴方にずっと側にいてほしかった…。 伯爵令息の彼と婚約し婚姻した。 騎士だった彼は隣国へ戦に行った。戦が終わっても帰ってこない彼。誰も消息は知らないと言う。 彼の部隊は敵に囲まれ部下の騎士達を逃がす為に囮になったと言われた。 隣国の騎士に捕まり捕虜になったのか、それとも…。 怪我をしたから、記憶を無くしたから戻って来れない、それでも良い。 貴方が生きていてくれれば。 ❈ 作者独自の世界観です。

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

二人まとめてさようなら!

夢草 蝶
恋愛
 妹とその婚約者が婚約破棄をすることになった。  慰謝料で揉めているらしく、その仲介に入ることになった姉は、二人と交わしたある約束について語り出す。

断罪されそうになった侯爵令嬢、頭のおかしい友人のおかげで冤罪だと証明されるが二重の意味で周囲から同情される。

あの時削ぎ落とした欲
恋愛
学園の卒業パーティで婚約者のお気に入りを苛めたと身に覚えの無いことで断罪されかける侯爵令嬢エリス。 その断罪劇に乱入してきたのはエリスの友人である男爵令嬢ニナだった。彼女の片手には骨付き肉が握られていた。

鈍感令嬢は分からない

yukiya
恋愛
 彼が好きな人と結婚したいようだから、私から別れを切り出したのに…どうしてこうなったんだっけ?

処理中です...