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貴様ら、声が小さいぞっ!! そんな声でした宣誓など、覚悟が伝わるかっ!! もっと腹から声を出せっ!!
なんだか、その様子が語り種になっているらしい。親友のミラルカが教えてくれた。
元婚約者とその恋人は互いに家を勘当と除籍処分を下され、浮浪者となって我が家へ集りに来ていたそうだ。故に、煩わしいので母が奴へ仕事を紹介してやったらしい。
その仕事は、指定の食材で作った食事を三食摂るという楽な仕事で……ある意味、楽して稼ぎたいという人種には好評な仕事だ。飲む、打つ、買うを病的にしている者など。身内を売ったり、犯罪を犯してでも金や酒、女、その他が欲しいという風な者へ優先的に回している、我が領独自の仕事。
まだ、安全性の確認されていない農薬を使って育てた農作物を食べるという、とても簡単で……ある意味では恐ろしくリスクの高い、人体実験とでも言うべき仕事。
ぶっちゃけ、普通に人体実験なので、高額報酬なのは間違いない。ちなみに、体調の変化を報告すると、報告の詳細具合に応じて報酬が上乗せされるシステムだ。
なにげに、割と好評だという。仕事で報酬を得る本人。そして、そんな者を身内や恋人に持って、相当な苦労を掛けられて来た……アイツ早く死ねと、内心で願っている者達。そして、農薬の実験結果を得られる者達。
最初は、国境を越えてやって来る略奪者達に罠として作った農薬実験農場だったのだが……「害悪にしかならない寄生虫共にも使えるのではありませんか?」と、母が提案して、現在の高額報酬(新農薬での人体実験)という仕事を構築した。
なんでも、母の友人が身内に飲む、打つ、買うというクズがいる人で、相当苦労したのを見て来て、なにもできることがなくてずっと立腹していたらしい。
母は……なにげに、元婚約者にブチ切れていたのだな。
元婚約者よ、その恋人諸共強く生きろ。長く生きて、体調異変に見舞われればその分……貴重なデータが多く取れるからな。
まあ、そんなことより帝国へ留学だ。
準備をして、帝国へ渡り――――
我が家は辺境伯家なので、ユニーク且つかなりの効果を期待できるという帝国の入国管理の様子を見学したいと言うと、簡単に許可が出た。なんでも、世界で犯罪が一つでも減るのはいいことだと、皇帝陛下は仰って。帝国式の入国管理の方法が広まることに鷹揚なのだとか。
なんというか、かなり懐が深い方なのだろう。まだ、十代に入ったばかりの少年の言葉とはとても思えない。やはり、人生何周かしているのかもしれない。
まず、犯罪歴のある無しの確認。そして、貴族や富裕層などは好色家であれば、とある言葉の宣誓と書き取りを千回して提出するとのこと。
その言葉が――――『イエス、ショタコンノータッチ! イエス、ロリコンノータッチ!』だというのだから、最初に聞いたときには思わず大爆笑してしまったぞ。
前世ではある種、ギャグ扱いの言葉だったからな!
とは言え、この世界でこの言葉の扱いは……
「「「「「イエス、ショタコンノータッチ! イエス、ロリコンノータッチ!」」」」」
入国管理局所有の講堂から、大きな声が響いて来る。
「貴様ら、声が小さいぞっ!! そんな声でした宣誓など、覚悟が伝わるかっ!! もっと腹から声を出せっ!!」
どこぞのスパルタな軍隊のようなセリフだ。
「「「「「イエス、ショタコンノータッチっ!! イエス、ロリコンノータッチっ!!」」」」」
そして、先程よりも声が大きく響いた。
「よし! その調子だ! 本日は、あと百回! 腹から声を出せっ!!」
『イエス、ショタコンノータッチ! イエス、ロリコンノータッチ!』を千回書き取りする合間に、ああして大声での宣誓もさせるそうだ。
なにせ、書き取り千回。割と長丁場だから、どうせならああして実際声に出して自分の耳と脳に叩き込ませるのだとか。
前世で聞いたことがあるのだが……夢を実現したいなら、それを口に出せ。そして、手書きで文字に起こせ。そうすれば、夢が実現する確率が高くなる、と。それは心理学的に、正しいのだという。ある種の自己暗示。
自分が口に出した言葉を一番身近で聞くのは自分自身。そして、手書きをすると脳裏に言葉が、記憶に刻まれる。言葉の意味を理解して、なにかをしようとしたときに、その言葉がふと甦る。
そして、その言葉を意識し、夢を実現させるための行動へ結び付けるのだとか。
故に、訓戒の自己暗示ともなり得る。
『イエス、ショタコンノータッチ! イエス、ロリコンノータッチ!』の言葉の解釈としては・・・
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