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あなたが、あなたで在る限り。アタシはきっとあなたを愛し続けるわ♡
視点変更。
――――――――
そう、あなたはアタシの愛し子。
最初は小さな幼子が、屋根裏の月明りで本を読んでいるのが気になった。
春の花冷えの夜も。夏の短い夜も。秋の肌寒い夜も。冬の雪の日には、さすがに凍死しちゃうじゃないのっ!? って、思わずエルフを模した姿を象って声を掛けちゃったのよねー。「あ、なた……は誰、です……か?」って掠れた小さな声で質問されて、「魔女よ」って答えたんだっけ。
な~んか、よくある感じに母親が死んだあとに入った後妻と連れ子に邪険にされて。父親も全然庇ってくれないとかで家庭環境が悪くて、屋根裏に追いやられて……死なない程度の食事は与えられるけど、それ以外は放置。けれど、全く泣く様子もなく、屋根裏に仕舞われていた本をひたすら読んでいたという。
アタシが見付けたときにはもう、こういう子だった。元々こういう気質だったのか、放置され続けた諦念がこういう気質に育んだのかは不明ね。
あまりにも誰とも話してなくて、出難くなっていた掠れ声でぽつぽつと事情を聞いて――――よし、要らないなら攫っちゃいましょう! と、誘拐を決行した。「アタシは悪~い魔女だから、気に入った子供を攫って弟子にするの」な~んて適当なことを言って、別の国の魔女の住み家だった空き家を拝借。『気に入った子供』とアタシが言ったときに、泣きそうな笑顔を見せられて、思わずぎゅっとしちゃったわ。
それから、「弟子……なら、ししょーって呼ぶ? それともせんせ?」なんて聞かれて、好きに呼びなさいって答えたら「じゃあ、せんせにする」って、先生って呼ばれることになった。可愛いから善し!
あの子の実家? 全く興味無いわね。まあ、探されるのも面倒だから何度か見に行ったけど……探されてる様子は無かったから、もう知らないわ。
一応、アタシも子離れ、って言うの? してみようとは思ったのよ? それで、人間の幼体が通う学校に通わせてみたの。そしたら、この子ってばかなり優秀で……ちょっと目を離した隙に、いいように国に囲われて使われそうだったから。思わず口出しというか……ぶっちゃけ、隷属とかされそうだったからブチ切れて研究所乗っ取っちゃた♪洗脳とも言うわね。ちなみにアタシは名ばかり所長。本当は副所長が責任者よ。
というか、アタシが職員洗脳して乗っ取った方が職場環境が良くなるって、ヒト族の研究者ってヤバくない? なんで、短命種ってこんなに欲深いのかしら?
なんかもう、ホントこの子って放っとけない子なのよね。
鈍感で、いろんなことに無頓着で、恋愛感情を理解しないところも。狂気を孕んだ、その研究者気質ですらも……全てが愛おしい。
生殖器の一つや二つ無くしたところで、両手足が無くなったところで、寝たきりになろうとも、アタシが惹かれているのはあなたの魂だから――――
どこぞの獣のように生殖できないからってだけで、あんなに簡単に諦めてあなたの傍を離れないわよ。
うふふっ……アタシの種族は基本的には、他種族に無関心だけど。愛し子は別。ちょっと目を離すことはあるけど、完全に手を放すことはない。
生殖を必要としない精霊の執着の方が、『番』なんかよりよっぽど深くて強いと思うの。だって、性行為しなくてもず~っと好きでいられる。子孫なんていなくても全っ然気にしない。互いを結び付けたり、縛り付けるものなんて、アタシには必要無い。
ある意味では、愛し子からの気持ちも要らない。
無論、愛し子から好意を返してもらえれば嬉しいわ。まあ、中には愛し子が愛し返してくれないから見限るって短気な奴もいるけど。
でもアタシは、気持ちを返してもらえなくても気にせず、愛し続けられる。あなたという存在があれば、それでいいの。
ある意味、酷く一方的な愛情ね。
あなたが、あなたで在る限り。アタシはきっとあなたを愛し続けるわ♡
――おしまい――
✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧
読んでくださり、ありがとうございました。
番ものを書いたらこんなんなりました。不快に思った方がいたらすみません。
ある意味、番からは逃げ切りエンド。まあ、先生に囲い込まれてますが。(*`艸´)
主人公ちゃん……生物学上は女性ではあるけど、その前に研究者。子供要らんし、女って面倒だわー。と、これを機に子宮摘出。自分の身体で人体実験をする程度にはマッドなやべぇ人間。多分、あんまり親になっちゃいけないタイプ。先生に拾われなかったら早死にしてるか、歴史に残る悪のマッドサイエンティストになってた可能性あり。
エルフの魔女を装っているオネェっぽい先生……実は夜の上位精霊。ヒト族にモテてもしょうもないわー。と、現状は性別無し。本当は部位欠損なんぞ簡単に治せるけど、主人公ちゃんが望まないっぽいから治さない。世話焼きおかん気質。精霊なので、偶に時間の感覚がおかしい。
自称番の獣人君……主人公ちゃんを番だと認識してしまったのが運の尽き。傲慢で横柄な性格だったのが、見る影もなく意気消沈。多分犬系の獣人。
おまけ1。
先生「魔術に錬金術、呪術……他にも色々と、身体を傷付けないで番解消する方法はあるのに。よりにもよって、なんでこんな方法選んだのよ……」(ノω・`|||)
主人公「魔術や呪術が永続的に続くとは限りませんし、錬金術に関しても、貴重な触媒や素材が必要不可欠だと思いましたので。特別な才能や神秘的事象に頼らず、普通の人でも努力如何で身に付けられる医術でどうにかならないか? と、思ったのです」( ・`д・´)
「なので、あまり悲しまないでください。先生」(´・д・`)
先生「ああんもうっ、この子ったら!」♡(*>ω<)’ᵕ’*c)ギュ~ッ♡
おまけ2。
先生「まあ、下手に治してもまた『ツガイダーツガイダー』鳴き喚く獣が寄って来ても嫌じゃない? 勿論、あの子が望むなら全力で治すつもりだけど♪」ꉂ(ˊᗜˋ*)
主人公「先生、どうかしましたか?」(੭ ᐕ))?
先生「ん~ん、なんでもないわ。それより、生殖機能を失った獣人の検体って要るかしら?」( ◜◡◝ )
主人公「そのような方が被検体になってくれるのですか?」o(*゜∀゜*)o
先生「うふっ、ええ。番を亡くして意気消沈して、後追い自殺をしようとしている獣人のご家族に許可を頂けないかしら? って思って」(*`艸´)
主人公「成る程。さすが先生ですね」(*^▽^*)
先生「それじゃあ、ちょっとタマ……じゃなくて、許可を取りに行って来るわね。いい子で待ってるのよ♡」(*´∇`*)
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