カラフル*レイヴン♪~アホの相手は面倒ですね~

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
27 / 50
赤い瞳の姫君

冴えてるってことなんだからねっ!

しおりを挟む
「いいよね~♪黄色の薔薇とはまた違って、レモンイエローって感じ?」
「・・・いいですよね。マスターは能天気で」
「ヤだなぁ。そんなに誉めないでよ?」

 ヴァンの皮肉に本気で照れるフィン。

「嫌ですね。マスター。全く誉めてませんよ?」
「ええ~! 脳天気って、頭が晴れてるってことでしょ? クリアなんだよ? 冴えてるってことなんだからねっ!」

 えへんと胸を張るフィン。

「・・・今のマスターは、能天気というより、頭の中がお花畑でしたね」
「お花畑? ね、ヴァン。それって、どんな色の花が咲いているのかなっ?」

 ワクワクと訊ねるフィンに、

「・・・マスターの頭の中のことは、私にはわかり兼ねます」

 ヴァンは呆れて首を振った。

「あ、そっかー。・・・あれ? でも、ヴァンはどうしてボクの頭の中がお花畑だってわかったの?」

 フィンはきょとんと首を傾げる。

「・・・そうですね。マスターみたいな方は、昔から頭の中がお花畑だと決まっているのですよ。知りませんでしたか?」
「そうなの? ボク、初めて知ったよ」
「はぁ・・・」

 全く、幼児並みの頭じゃないか・・・という言葉を飲み込んで、ヴァンは深い溜息を吐く。

「マスター。早く頭の中身を成長させて頂きませんか? 幼児レベルと会話をするのは疲れます。せめて、見た目通りの年齢まで引き上げてください」

 フィンの見た目は十二、三歳程なのに、その中身は幼児レベル。残念だ。

「ボクそんなに子供っぽくないも~ん」

 も~んと言って口を尖らせる様子の、どこが子供っぽくないのか、ヴァンにはわからない。

「・・・・・・とりあえず、マスター。昨日のことを聞いてください」
「昨日? なんかあったっけ?」
「中庭を散策しながら話しますよ・・・」

 中庭へ降り、歩きながら昨夜の村の子供…クラン行方不明事件の顛末をフィンへと語る。

「吸血鬼ぃ? バカみたいなこと言うんだねー。あ、でも、そんなこと言ってるのって、え~と?」
「ゴロツキ未満Aですか?」
「そうそう、それそれ。ソイツだけー?」
「どうでしょうね……一応、疑われるにしても、馬鹿馬鹿しい理由は潰しておきましたけど」
「さすがヴァン♪ご苦労様~」

 誰々の体調が悪い、調子が悪いなどの理由のことだ。怪しげな噂を鵜呑みにするより、医者にかかるべき。立派な正論だ。
 良識のある大人は戯言を妄言をやめろというヴァンの言葉はつまり、いたずらに騒ぐような人間には良識が無いと皮肉っている。
 そう思われたくない。自分には良識がある。と、思っている人達は、騒ぐのをやめるだろう。

 新たな火種が出て来ない限りは・・・

「マスター。明日は、雨が降るようです」

 晴れ渡る空を見上げ、ヴァンが言う。

「雨かぁ……う~ん。屋根があるって、ホント素晴らしいことだよねっ♪ヴァン」

「そうですね。マスター」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

皇后マルティナの復讐が幕を開ける時[完]

風龍佳乃
恋愛
マルティナには初恋の人がいたが 王命により皇太子の元に嫁ぎ 無能と言われた夫を支えていた ある日突然 皇帝になった夫が自分の元婚約者令嬢を 第2夫人迎えたのだった マルティナは初恋の人である 第2皇子であった彼を新皇帝にするべく 動き出したのだった マルティナは時間をかけながら じっくりと王家を牛耳り 自分を蔑ろにした夫に三行半を突き付け 理想の人生を作り上げていく

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

処理中です...