歳時記カフェ

青西瓜

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【20 1月19日 大根】

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・【20 1月19日 大根】


 大根は冬が旬、というわけで今日は主な歳時記もあまり無かったので、大根料理を多くカフェに出した。
 その大根が余ったので、今日の夕ご飯は大根となった。
 また、今日はのど自慢の日ということもあり、テレビゲームでカラオケをすることにした。
 メインの料理は雪見鍋。
 醤油ベースで鍋を作って、その上にこれでもかってほどに大根おろしを乗せたら完成だ。
 私がいつも作る鍋にはゴボウとしらたきは必需品。
 食感が楽しいし、出汁も美味しくなると思っている。
 大根にはビタミンCが多く入っているので、この時期、乾燥するお肌のために良いし、胃腸の働きを助けるジアスターゼもあるので、大根は体にすごく良いのだ。
 というわけで今日の夕ご飯は本当にまったりパーティといった感じだ。
 クラが流行りのJ-POPを歌い終えたところで、
「ちょっと張り切り過ぎて喉がっ」
 と言ったので、私はカフェで出した大根飴を取り出して、
「はい、クラ、これを優しく舌で転がすように食べていて」
「これは何だっけ?」
「大根飴といってカットした大根と蜂蜜を一晩瓶に入れて、水分を出したモノだよ。それぞれの効能で喉に良いんだってさ」
「ありがとう、寧! 大好き!」
 クラもテイも感謝をハッキリ口にしてくれるので、正直嬉しい。
 私もどこかでお返しを言いたいけども、言い始めるとキリが無いので、ここは黙っておいた。
 次は、といったところでテイが童謡の特集から”ちいさいあき見つけた”を選択したので、
「ちょうど小さい秋からかなり遠い時期だけどもっ」
 と私がツッコむように言うと、
「じゃあ優しい寧を見つけたと替え歌する?」
「カラオケの替え歌はただただダサいから止めたほうがいいよ」
「そっか、寧は見つけるものじゃなくて、既にここに居てくれている存在だからか」
「全然そういうことじゃないけども」
 と言ったところで前奏が終わって、テイが歌い出した。
 ……さっきからテイって何か唱歌ばっかり歌っているなぁ。
 いや別に良いんだけども、そんな唱歌ばっかり歌うカラオケってあるぅ?
 まあテイが歌っていると、クラが歌詞に合わせて変身して、豪華なセットみたいになるから、飽きはしないけども。
 テイが歌い終えたところで私は聞いてみることにした。
「何でテイは日本の唱歌ばかり歌うの?」
 するとテイは当たり前だけどもみたいな顔をしながら、
「そりゃ憧れの日本だからね、日本の歌を歌うことは当然だよ」
「憧れの日本って、そう言えばどうやって日本のことを知ったの? 異世界から来たんでしょ」
 と、つい何の気なしにそう言ってしまうと、急にテイが慌て始めて、
「い! いや! 異世界とか! そういうことじゃないよ!」
 と言ったので、あっ、ヤバっ、ついこう言ってしまったとむしろ私が焦って、
「いやいや! 全然良いんだけども! どんな理由でも全然良いよ!」
 テイは焦ってしまった私を見て、なおあわあわして、額から汗を出しながら、
「そんな! 寧が気を遣う必要は無いんだよ! えっと! とにかく日本が憧れで!」
 と言ったところで、クラが割って入って来て、こう言った。
「テイ、別に言ってもいいじゃん。そりゃ言うと疑問が雪だるま式に増えてきて、あの変なお姫様の話もしないといけなくなるかもしれな……」
「クラ! しぃっ!」
 と声を荒らげたテイ。
 変なお姫様? 何か前に本当のお姫様がとか言っていたし、同意ではない許嫁とかいたのかな……?
 まあとにかく、
「私は過去の恋愛とか気にしないから大丈夫だよ、聞いたりしないしっ」
 となんとか焦りを抑えながらそう言うと、テイも一回深呼吸して、逆にこのタイミングでしっかりとした深呼吸はダメだろと思ったけども、それは口にしないで待っていると、テイが、
「まっ、まあ、何も危ないことはない、から、ね……」
 と腕を組んで、何だか偉そうにそう言ったテイは続ける。
「でもまあその、何か、そういう子の話をし過ぎるのは危険だから、ね……」
 危なくないと言いつつ、話過ぎることは危険ってどういうことなんだろうか。
 というか分かる、全然テイの気持ちが分かる、危なくないが嘘だ、多分何かそのお姫様というヤツの話をテイがすることは危険なのかもしれない。
 危険だということをクラに伝えることさえ、もはや危険みたいな感じがする。そのお姫様のことを口にしただけで、否、考えただけで何かが起こりそうな感じ。
 相変わらずテイは腕を組んで、何か偉そうに自分でうむうむと頷いている。
 というか多分、偉そうじゃなくて、威厳を出そうとしているんだろうなぁ。
 でもその姿は幼稚園児のお遊戯くらい滑稽で、あぁ、こういうのを大根役者って言うんだなぁ、と思った。
 話を切り替えるため、私はすぐに曲を入れて、流行りの曲を歌った。
 そのおかげもあったのか、なんなのか、この話はうやむやになった。
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