歳時記カフェ

青西瓜

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【21 1月20日 二十日正月】

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・【21 1月20日 二十日正月】


 今日は一年で一番寒い日、大寒でもあり、二十日正月でもある。
 お正月の祝い収めなので、カフェに飾った正月飾りをテイが片付けてくれた。
 私とクラはこたつの中にいたんだけども、それでも寒くて、クラは体全体こたつの中に入れて、潜ってしまっている。
「いやぁ! やってきたよ!」
 居間に戻って来たテイの声が妙に大きくて、何なんだと思っていると、どうやら正月飾りを急いで片付けたので、体がアツアツらしい。
 何か手で顔のあたりを仰いでいる。
 前もこんな感じのことあったなと思いつつ、買っていて残った蕎麦の乾麺を茹でることにした。
 居間とキッチンは繋がっているけども、ストーブは居間のほうを向いているので、キッチンは微妙に寒い。
 うちの居住区のキッチンはIHなので、火を使ってもあんまり熱くならない。夏は良いんだけども。
 でもまあお湯を沸騰させていけば、徐々に暖かくなってきて、正直助かった。
 私とクラは蕎麦を温かい味で、テイには冷たいほうがいいと思ったんだけども、水で軽く締めるのも水道水が冷たくて嫌なので、大きめの器に水と氷を入れて、食べる時にセルフで締めてもらうことにした。
「はい、テイ。あとクラも温かい蕎麦できたから食べてっ」
 と言うと、クラが体を出して、テーブルの上に立って、蕎麦を食べ始めた。
 こういう時、クラは若干大きくなって、箸を持ちやすいサイズになって、食べるのだ。本当にクラって謎が多いなぁ。改めて認識するといっぱい変なところがあるなぁ。
 テイは嬉しそうに、冷たい蕎麦をめんゆつで食べながら、
「蕎麦は温かくても冷たくても、いつもずっと傍に居れるからいいなぁ」
 と言ってきたので、
「その言葉遊びは日本ではありきたりと言われているよ」
 と返すと、テイはショックを受けた風の顔をしてから、
「そんな、日本ってこういうの多いねっ」
「まあね、日本ってそもそも駄洒落文化だから」
「負けられないね!」
 そう笑ったテイ。
 いや、
「全然負けてもらっていいけども。駄洒落ってそんな面白いものじゃないし」
「いやでも言葉がちゃんと使えて偉い感じがするじゃん」
「自分の子供がそれやったら褒めてあげるけども、大人はもうダサいだけだよ」
「そっかぁ、俺と寧は対等だから子供じゃないなぁ」
 そう溜息をついたテイ。
「まあ子供みたいに甘えられたら困るし」
「でも俺にはいくら甘えてもらっていいよっ」
「テイにはもうさっき、正月飾りの片付けをしてって甘えちゃったからなぁ。これ以上はできないよ」
「いやもう全然、肩車くらいするよ」
「膝枕であれよ、天井に頭付きそうじゃぁないんだよ」
 とツッコむように言うと、テイがフフっと微笑んでから、
「俺の意図していることを察してくれて、本当に寧と俺の相性は抜群だなっ」
「そんなところでそれを感じないでよ、まあいいけどさ」
「やっぱり蕎麦と俺には、つーゆー、そう、to youが必要だな」
「つーゆーって何、蕎麦のほうが滑稽過ぎるよ」
「でも俺はいわゆる英語も使えるんだってところを見せたかった」
 とテイが言ったんだけども、テイって『異世界から来たのにすごいね』を言わそうとしている? と思った。
 言ったらめっちゃ慌てるのに、何でそんな引き出すような言葉を言っちゃうんだ。
 まあそこは深く掘らないように、
「でもテイってすごいね、順応力があるね」
 と言っておくと、テイは嬉しそうに後ろ頭を掻いて照れた。
 そのタイミングでクラがこう言った。
「やっぱり翻訳魔法が得意なテイは違うなぁ」
「ちょっ!」
 と叫んだテイ。
 いやいや、言わそうとしている文面だったからクラがそう言ったって不思議ではないけども。
 まあいいや、このくだり何回もしてもしょうがないから、
「でもテイの地頭の良さあってだよ」
 と軌道修正すると、クラはそっかぁという顔をして、なんとか収まったみたいで良かった。
 テイも落ち着いたみたいで、冷たい蕎麦を美味しくツルツル食べている。
 今日は簡単にめんつゆで済ませてしまったけども、今度は美味しいつけ汁を作ってあげたいな、と思った時に『テイのメンツ』という言葉が思いついて、それと同時に『めんつゆ旨い』と『メンツ……言(ゆ)うまい』という駄洒落が浮かんで、まあ駄洒落って浮かぶと面白いのか、と思った。
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