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【25 1月24日 初地蔵】
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・【25 1月24日 初地蔵】
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カフェも閉店の札を出して、片付けをしている時に居間からやって来たクラがこう言った。
「そう言えば今日は何の日だったの? 何か特別なメニューとかも作らなかったけども」
最近、クラが歳時記のこと気にするなぁ、と思いつつ、それはそれで日本のことに興味を持ってくれることは嬉しいことなので、素直に答えることにした。
「今日は初地蔵と言って、お地蔵様とのご縁を深める今年最初の日なんだ」
「お地蔵様ってそう言えばいっぱいあるけども、みんな一緒なの?」
「お地蔵様にはいろんな種類があって、特に育児や健康との結びつきが深くて、子育て地蔵や身代わり地蔵とか、とにかくいろんな種類のお地蔵様がいるんだよ」
するとテイが挙手しながら、
「じゃあ俺は寧の子育て地蔵になる!」
と言ったんだけども、
「別に私はテイの子供じゃないし」
「じゃあ何でも身代わり地蔵だ!」
「まあそれならまだしもね。痛いこととかは身代わりしてほしいけども、でもテイが痛がるのも嫌だしなぁ」
「いいや! 寧が苦しんでいたら俺が身代わりになる!」
そう高らかと宣言するように言ったテイ。
テイは一度何かを思うとそればっかりになるからなぁ、と思っていると、テイが、
「皿を床に落とした時、足に当たったとしても俺が身代わりになる!」
「そうできたらいいけどね」
「いいや魔法があっ……いやまあなった時、なった時何がか起こるかもしれませんよっ」
「いや急にストーリーテラーみたいな言い方になった、というかできるの、本当に」
「いやまあ、なんというか、そういう意気込みみたいな所存です」
「テイって誤魔化す時、語尾がおかしくなるね」
「何も誤魔化していないよ!」
と目を見開いて言ったんだけども、さすがに”そう”過ぎるだろ、と思ってしまった。
まあいいや、そんなミスしないし。とにかくテイを痛がるところを見ることも嫌だし。
ふと、クラのほうを見ると、すごくニコニコしていた。
微笑ましい会話ですな、じゃぁないんだよ。いや別に良いけども。
テイは食器を拭きながら、こう言った。
「あとはそうだな、食器が急にフリスビーみたいに飛んで寧に当たっても身代わりになるよ!」
「それはもうテイがフリスビーみたいに飛ばしてるじゃん、それがならないようにそっちで頑張ってよ」
「でも手が滑る可能性もあるし、あっ! 俺にはいくら飛ばしてもいいよ!」
「飛ばさないよ、そんなコミカルなミス無いよ」
とちょっと楽し気にツッコんでいるつもりなんだけども、何故か私は妙に冷たく言い放ってしまって。
あれ、おかしいな、何かさっきから、ちょっと無表情というか、一緒に会話で遊んでいる感じが口から出てこない。
テイは気にせず、いつも通り喋ってくれている。クラもやたらニコニコしていて。
というかクラが本当に満面の笑みって感じで、それが何か私との対比みたいになって、何なら腹が立って、いやこない。
何か今、何にも感じないかも。
私、一体どうしてしまったんだろうと、怖くなって、も、こない、不安になりそうで、ならない。
完全な無。
ヤバイ、急に私壊れてしまったかも、と言葉では浮かぶけども、ヤバイという感情にも芯からはならないと思っていると、急にクラが辛そうな顔をし始めた。
それを見たテイがクラへ、
「どうしたんだ、クラ」
と言うと、クラは大丈夫って感じに手のひらを前に出した。
まあクラが大丈夫ならと思って、ホッとすると、何だかクラも落ち着いたようで、優しく息をついた。
テイはまた私のほうを見てから、
「とにかく俺は何でも身代わりをするからな! 重い荷物とかも持つし!」
「それはまあ普通だけども。普通の関係だけども。でもありがとうね、そういうことしてくれることも普通に感謝しているよ」
と笑ったつもりなんだけども、それも上手くいかず。
そもそも今テイが言ってくれたことも響かない。普通過ぎたから?
でも、テイの言葉はいつだって楽しいはずなのに、と思ったところで私は気付いてしまった。クラを改めて見た時に。
「もしかするとクラ! 私の感情を身代わりしているでしょ!」
目を丸くしたテイ。クラは当たり前のように頷いて、
「そうだよ、身代わりしてほしいと言っていたからね」
「感情を身代わりしてほしいとは言っていなかったよ!」
テイは私とクラを交互に見てから、
「じゃあさっきのクラのニコニコは寧の感情で……寧ってそんなに俺の言葉を喜んでいてくれていたのか!」
「ちょっとクラぁ! 恥ずかしいからあんまり顔に出さないようにしているのに、バラさないでよ!」
クラはてへへっと後ろ頭を掻いた。
テイは嬉しそうにバンザイしているので、まあもうちょっと顔に出してもいいのかなとは思った。でもちょっと恥ずかしい……。
・【25 1月24日 初地蔵】
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カフェも閉店の札を出して、片付けをしている時に居間からやって来たクラがこう言った。
「そう言えば今日は何の日だったの? 何か特別なメニューとかも作らなかったけども」
最近、クラが歳時記のこと気にするなぁ、と思いつつ、それはそれで日本のことに興味を持ってくれることは嬉しいことなので、素直に答えることにした。
「今日は初地蔵と言って、お地蔵様とのご縁を深める今年最初の日なんだ」
「お地蔵様ってそう言えばいっぱいあるけども、みんな一緒なの?」
「お地蔵様にはいろんな種類があって、特に育児や健康との結びつきが深くて、子育て地蔵や身代わり地蔵とか、とにかくいろんな種類のお地蔵様がいるんだよ」
するとテイが挙手しながら、
「じゃあ俺は寧の子育て地蔵になる!」
と言ったんだけども、
「別に私はテイの子供じゃないし」
「じゃあ何でも身代わり地蔵だ!」
「まあそれならまだしもね。痛いこととかは身代わりしてほしいけども、でもテイが痛がるのも嫌だしなぁ」
「いいや! 寧が苦しんでいたら俺が身代わりになる!」
そう高らかと宣言するように言ったテイ。
テイは一度何かを思うとそればっかりになるからなぁ、と思っていると、テイが、
「皿を床に落とした時、足に当たったとしても俺が身代わりになる!」
「そうできたらいいけどね」
「いいや魔法があっ……いやまあなった時、なった時何がか起こるかもしれませんよっ」
「いや急にストーリーテラーみたいな言い方になった、というかできるの、本当に」
「いやまあ、なんというか、そういう意気込みみたいな所存です」
「テイって誤魔化す時、語尾がおかしくなるね」
「何も誤魔化していないよ!」
と目を見開いて言ったんだけども、さすがに”そう”過ぎるだろ、と思ってしまった。
まあいいや、そんなミスしないし。とにかくテイを痛がるところを見ることも嫌だし。
ふと、クラのほうを見ると、すごくニコニコしていた。
微笑ましい会話ですな、じゃぁないんだよ。いや別に良いけども。
テイは食器を拭きながら、こう言った。
「あとはそうだな、食器が急にフリスビーみたいに飛んで寧に当たっても身代わりになるよ!」
「それはもうテイがフリスビーみたいに飛ばしてるじゃん、それがならないようにそっちで頑張ってよ」
「でも手が滑る可能性もあるし、あっ! 俺にはいくら飛ばしてもいいよ!」
「飛ばさないよ、そんなコミカルなミス無いよ」
とちょっと楽し気にツッコんでいるつもりなんだけども、何故か私は妙に冷たく言い放ってしまって。
あれ、おかしいな、何かさっきから、ちょっと無表情というか、一緒に会話で遊んでいる感じが口から出てこない。
テイは気にせず、いつも通り喋ってくれている。クラもやたらニコニコしていて。
というかクラが本当に満面の笑みって感じで、それが何か私との対比みたいになって、何なら腹が立って、いやこない。
何か今、何にも感じないかも。
私、一体どうしてしまったんだろうと、怖くなって、も、こない、不安になりそうで、ならない。
完全な無。
ヤバイ、急に私壊れてしまったかも、と言葉では浮かぶけども、ヤバイという感情にも芯からはならないと思っていると、急にクラが辛そうな顔をし始めた。
それを見たテイがクラへ、
「どうしたんだ、クラ」
と言うと、クラは大丈夫って感じに手のひらを前に出した。
まあクラが大丈夫ならと思って、ホッとすると、何だかクラも落ち着いたようで、優しく息をついた。
テイはまた私のほうを見てから、
「とにかく俺は何でも身代わりをするからな! 重い荷物とかも持つし!」
「それはまあ普通だけども。普通の関係だけども。でもありがとうね、そういうことしてくれることも普通に感謝しているよ」
と笑ったつもりなんだけども、それも上手くいかず。
そもそも今テイが言ってくれたことも響かない。普通過ぎたから?
でも、テイの言葉はいつだって楽しいはずなのに、と思ったところで私は気付いてしまった。クラを改めて見た時に。
「もしかするとクラ! 私の感情を身代わりしているでしょ!」
目を丸くしたテイ。クラは当たり前のように頷いて、
「そうだよ、身代わりしてほしいと言っていたからね」
「感情を身代わりしてほしいとは言っていなかったよ!」
テイは私とクラを交互に見てから、
「じゃあさっきのクラのニコニコは寧の感情で……寧ってそんなに俺の言葉を喜んでいてくれていたのか!」
「ちょっとクラぁ! 恥ずかしいからあんまり顔に出さないようにしているのに、バラさないでよ!」
クラはてへへっと後ろ頭を掻いた。
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