6人の夫と巫女になった私が精霊作りにはげむ1年間の話【R18】

象の居る

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第一章 巫女ってなんなんですか

47.今さら、やっと Side ゲルト

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 Side ゲルト

 巫女が俺に仕返しをしたいらしいとラルフから聞いて頷いた。それが償いになるならいくらでも。娼館と同じように締め出されて二度と会えなくなるかもと思っていた。

「もう、会えないかと」
「オレはそれでいいって言ったんだけどな。真面目なんだよ。オレたちと上手くやってかなきゃいけねぇと思ってる。精霊を産まなきゃいけねぇってさ。自分に関係ねぇのに」
「そうですね」

 助けてもらってるのに俺の勝手で傷つけた。投げ出したっていいのになんとか頑張ろうとしてる。怖い思いをしてもなお。
 巫女の怯えた顔を思い出して泣きそうになり、顔をこすった。


 閉じこもった巫女が出てきた日、告げられていた通り裸の状態で縛られて床に転がった。この状態なのに、ベッドに腰掛けている巫女から漂う香りで血が騒ぐ。副作用の影響をラルフから聞いていたが、ここまで引き摺られるとは思わなかった。見上げた巫女の目の奥に揺らめく炎が見え、呼応するように体が甘酸っぱく震えた。

 差し出された足先にゆっくり舌を這わせる。体を動かすたびに匂い立つ香りに煽られて思考が麻痺していく。巫女に触れられるならなんでもいい。もっと滅茶苦茶にされてもかまわない。
 少し汗ばんだ足の指のあいだも余すところなく舌で辿った。巫女の服に鼻を埋めて密かに嗅いだ香りを直接味わえる喜びに、欲望が燃え上がる。口の中でピクリと動く小さな指が可愛らしい。巫女の香りが移った唾液を夢中で吸い取った。巫女、ああ、熱い。

 ペニスを刺激され意識が戻る。怒った巫女が足で踏みつけているが力が弱いせいで痛みじゃなく、ただ快感が走った。足が動くたびにパジャマの裾から漏れ出る香りが興奮に追い打ちをかける。ガチガチになったペニスには柔らかな足の裏が愛撫のようで。ちがう、愛撫じゃない。ちがう。
 こめかみが脈打ち、頭がしびれる。巫女、もっと。巫女の香りを。

 突然、なめらかな肌が消えた。巫女の怒った声で我に返る。謝った。これは償いじゃない、俺が楽しんだだけだ。情けなくなって俯いた俺を庇うようなことをラルフが言い、目の前で巫女に手を出した。
 ラルフの手で開かれた巫女の足のあいだから目が離せない。濃密な香りが漂い、動く指が立てた粘りのある水音に唾液が湧く。巫女の甘く切ない声を初めて知った。充血した花びらと指先に伸びる透明な糸が喜びを教えてくれる。
 鼻にかかったくぐもった声に気を引かれて顔を上げると、口付けしていた。深くかみ合った唇の奥で交わされる熱に胸が痛む。ラルフの指のあいだから乳房の肉が盛り上がり、揺れる乳首はプクリとたち上がっていた。巫女の甘い声は挿入で熱を帯びる。

 体の中で欲望が暴れる。欲しい。俺も欲しい。

 巫女とラルフの体が動き肉のぶつかる音がするのに、肝心な部分は床から見えない。前かがみになっている巫女の乳房がラルフに打ち付けられて揺れ、巫女が悶えて体を捩っては揺れた。一度も触っていないのに、その柔らかさに心が魅かれる。

 触れたことのない体、聞いたことのない声、見たことのない顔。

 沸騰した頭にヒヤリと記憶が差し込んだ。

 熱のない硬い体しか知らない。俺と寝たのはただの義務だった。当然だ。俺は寝転がったまま巫女が動いてくれるのを待つだけ。自分だけ気持ち良くなってすぐ出して終わり。おかしくならないように自分のことだけしか考えてなかった。どんな顔をしていたのかもわからない。巫女は今までどんな気持ちで俺と寝てたんだろう。
 冷や水を浴びたように頭が冷めた。今さらそこに思い至った自分に失望する。会えなくたっていい。当然だから。顔を合わせる資格なんてない。

 絶頂の声に胸が締め付けられる。喜びの声も知らない。ラルフが褒めているのを聞き、褒め言葉一つ言ってない自分に気付いた。2人が抱き合って笑い愛しそうに唇でふれる。

 俺が欲しかったもの。愛し愛されたかった。おかしくなるせいで手に入らないと思っていた。勘違いも甚だしい。手に入るはずがない。相手のことを考えず、見もしない、いつも自分のことだけだった。何が『俺のもの』だ。なにが『俺の日』だ。こんな馬鹿な主張で巫女に謝らせた。
 あまりにも馬鹿で申し訳なく涙がこみ上げる。

 いつの間にか巫女が俺の前に膝をついていた。

 軽蔑して当たり前です。見捨てて当然です。ごめんなさい。
 巫女の質問に正直に答えた。馬鹿でみっともなくて恥ずかしくても、俺ができる唯一のことだから。

 寂しいかと聞かれ正直に答えると抱きしめられた。柔らかな巫女に包まれてまた涙がこぼれる。なんで、巫女。もっと酷い目に遭わせていいのに。
 寝たいかと聞かれて頷くと、巫女が真っ直ぐ俺を見て口付けた。優しい唇に誘われるまま口を開けて舌を触れ合わせる。柔らかで暖かい舌が俺を迎えてくれた。ヌルリとして思ったより硬くて俺よりだいぶ短い。
 胸が震える。頭の中はバラバラだった。切なくて嬉しくて苦しいのに、チラリチラリと火が瞬く。頭の中で何度も巫女を呼んだ。

 巫女、巫女、みこ。つぐないたい。つぐなえるならなんでもします。


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