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第一章 巫女ってなんなんですか
48.甘い痛み Side ゲルト ※
しおりを挟むSide ゲルト
口付けが終わり、巫女がラルフのほうへ戻る。幸せな夢はこれで終わりかとぼんやりしていたら、巫女の言葉に驚いた。
「ラルフ、ゲルトの縄を解いてくれる?」
「いいのか?」
「うん、もしものときはよろしく」
「わかった」
ラルフに縄を解かれ、混乱したまま巫女がポンポンと叩いたベッドの上に座った。
「布団被るなよ、巻き付いたの見えなかったら困るから」
「うん」
「オレが気になるなら3人でしてもいいぞ」
「ラルフは見張りをお願いします。ゲルト、緊張するけど」
ベッドのそばに立ちニヤニヤ笑うラルフに巫女がそっけなく返し、俺に向き合った。緊張するのに向き合ってくれてると思えば、優しくする決意がますます固まる。でも何から始めたらいいんだろう?
シーツの上にある巫女の手に、おそるおそる手を乗せた。手を握り返してくれた巫女が俺に微笑む。
「何したい?」
「……普通に、巫女がいつもしてる、普通のことを」
普通に、ラルフとみたいに、恋人同士みたいにしてほしい。愛し合うって、どうやって? 恋人同士みたいな触れ合いの俺もその中に入れてほしい。
恥ずかしくて声が小さくなった。自分のことしか考えてない俺が、愛し合うってそんな資格ないのに。
うつむいた俺の顎を指先で撫でた巫女が、唇で口のふちにふれた。柔らかい唇が優しく口の端を辿る。口の合わせ目を温かい舌になぞられてゾクゾクした。巫女の手が俺の首から腕を何度も優しく撫でるから呼吸が乱れてしまう。
俺も触っていい?
巫女の顎から首に指でそっと触れる。息がこぼれて、俺に反応してるんだってわかったら体の熱が上がった。口の中に入ってきた巫女の舌を舐める。人族の口は小さくてあまり開かない。俺が大きく開いて口を重ねたら頬まで届くし、顎に噛み付いてるみたいだ。今度は俺の長い舌を巫女の口の中へ入れて隅々まで舐める。頭を押さえて奥歯まで舌で確かめた。上顎をニュルニュル擦ったら体をよじって後ろに倒れた。
「くすぐったい」
巫女が俺を見上げて笑う。
ああ、飲み込みたい。巫女、食べたい。頭が熱くて息がきれる。こめかみで脈打つ音が聞こえた。
ダメだ、繰り返さないように落ち着け。
仰向けになった巫女の首を舐める。うっすら香る巫女の汗。俺の舌が巫女の体に這う眺めは、ゾクリと腰を震わせた。裸の肌が触れ合う。ずっと欲しかった感触。巫女の手に頭を撫でられて何かを赦されたような気になった。
巫女、こんな胸を突き出して、乳首を膨らませて、俺に向かって揺らしてる。両手で掴んで口に咥えた。もう片方は硬い乳首をのせたまま手の中で形を変えている。口の中に入った乳首から乳房まで舌を巻きつけて扱くと巫女の体が跳ねた。
「あぁ、アアっ、あ」
高くて細い声が聞こえた。嬉しい。喜んでる? ウロコにかかる甘い吐息に胸が震えた。気持ち良い? もっと良くなってほしい。
ラルフの指を思い出して乳首をなでながら、もう片方を舌でチュルチュルしごく。巫女が体をよじるたびに強くなる匂いで、頭がぼうっとし始めた。
巫女、みこ。たまらない。俺もほしい。出したくてたまらない。蠢く肉の中に。考えただけでズクズクと脈打った。
太ももを押し広げ、中心部のヌルつきにペニスを擦りつける。巫女の体が俺に反応している。こんなに潤って。ラルフのときみたいに熱い? リヒターにされたときみたく柔らかい? でも今は俺のだ。
乳首から口を離し、ヌルヌルする割れ目を広げる。充血したような花びらとヒクつく穴。汁まみれで光ってる。欲しい? 俺も、俺もほしい。先端を当てて押し込むと熱い中に迎え入れられた。
「うっぐぁっああ、っうぅ」
熱い。巫女、熱い。俺も。耐えられない。全部出したのに、全然変わらない。ああ、俺の種と混じって酷くぐちゃぐちゃだ。巫女。
「っあ、あぁっ、んんっぁ、ゲルト」
俺を呼んで俺を抱きしめる、巫女。俺も抱きしめる。もっと、ギュッと強く抱きたい。巫女、離したくない。ああ、巫女、中がきつい。そんなに締め付けるほど俺が欲しい? 俺も、俺もだ。腰が痺れる。背中がゾクゾクしてたまらない。擦りつけてたら巫女の体が跳ねた。跳ねて俺を咥えて飲み込んだ。俺は飲み込まれて体の中身をぶちまける。
熱が背中を駆け上がって俺を燃え立たせる。俺を締め付けて動くから、たまらない。もっとこのままで、俺と絡まって。1つになって。離さない、巫女。
「っガハッ、……ゲフッ、ク」
息が。
酷く咽る。苦しい。呼吸をするのに精一杯な俺の中から巫女が離れた。散々咽てから落ち着き、涙が滲む目を開けたら巫女が隣に座って俺を見下ろしてた。体の感覚で自分が獣化しているのに気付く。
まただ、また同じ。おかしくなる自分がみじめで苦しい。
「……ア、ケガ、ハ?」
「大丈夫。ヘビ族の獣化ってホントにヘビで面白いね」
そう言って笑うから、申し訳なさと安心とよくわからないもので、胸がいっぱいになった。頭を撫でられて涙がこぼれた。
「スュゥ、マセ、ュン」
「いいよ、こういうことになるって想定だったし。それより、獣化したままでいてくれる?」
「ハィ」
なんだろう。よくわからないままジッとしてたら、巫女が獣化して伸びた口先に口付けをした。何度も優しくされて許されたのかとホッとする。伸びた喉を指先でくすぐられ、またすぐ体が反応してしまう。巫女の口の中に舌を入れて夢中で絡めた。唾液を舐めとりながら、俺に触れている巫女の足に尻尾を緩やかに巻き付ける。
巫女が俺の口の中に手を入れて舌を掴んだ。指でくにゃくにゃ揉まれる未知の感覚にゾクゾクして喘いだ。なんだこれ、こんなの知らない。指の腹で舌を挟まれて揉まれるたび、焦らされて悶える。もどかしい刺激に体がのたうつのを止められない。
巫女、たまらない。俺にちょうだい、あなたが欲しい。
突然の痛みと違和感に意識が戻る。巫女が俺の下あごを噛んでいた。少しの痛みが痺れを呼んで背中が震える。喉を、胴体を噛まれ、だんだんと痛みが甘くなっていく。噛まれる少しの痛みがゾクリとウロコを波立たせ、噛み跡を舐められると甘い刺激に変わる。ヘビ族のウロコも筋肉も強いから、弱すぎる巫女の口でそんなふうに噛まれても傷つかないし気持ち良いだけ。齧りつかれると巫女に食べられてるようで幸福にしびれた。俺が求められてるみたいで喜びが快感に変わる。
獣化した二又のペニスを両方掴まれ、手の中で揉み込まれて腰が震えた。敏感な部分をさらして、弱みを握られているのに優しく扱われる、その喜びに頭がとろけた。快感にとけて力が入らない尻尾を巫女の足に巻き付けたまま摺り寄せる。
ドロドロのペニスを弄る指が根元を柔らかく刺激して体がビクついた。指先で円を描くように優しく揉まれて、自分にも穴があることに気付く。そこは、巫女、違う。でも、変な感じなのに逃げられない。揉まれたらなんでヒクついて期待するんだ。体が次の刺激を待ってる。指先で穴を嬲られ、ペニスをしごかれる快感で動けない。欲しくて欲しくておかしくなりそうだ。ヌルリと指先が入る。ゆっくり奥まで。違和感とゾクゾクする背徳感に体がのたうった。
俺の穴に指が、穴の奥に指が。震える下腹は動かせない。どうしても巫女のそばにいきたくて上体をグルリと丸め、頭を巫女に擦り付けた。息が切れて口を閉じれず舌がぶら下がった。巫女、巫女、助けて。どうにかして。もっとなにかちょうだい。
「っア、アァァッ、…………ッアァ」
上顎を甘噛みされる刺激が意識を揺らす。ふと戻るのに、穴の中を掻きまわされて、また飛んだ。
巫女、みこ、もっと、もっと欲しい。あ、あ、こすって、みこ。苦しいのに気持ち良い、みこ、ああ、ねぇ、みこ。
「グァッ、――――――――アッンんぁ、グゥッうあガぁアッ」
何かが弾けた。真っ白でぼんやりする。ビクつきが治まらない。体中ジンジンして動かない。フワフワする。巫女の手が離れて、寂しいのにまだ体がきもちいい。巫女、みこ。
傍に戻って来た巫女が頭を抱き寄せてくれるから、ゆっくり巻き付いた。
「ミ、コ」
ぼんやりする甘い気持ちだ。少し口を開いて巫女の唇に合わせる。舌を差し込んで舌を舐めると俺を撫でながら応えてくれる。力が抜けて目を閉じたまま、巫女の肌に体をすりつけて甘える。だるい体が心地いい。みこ、気持ち良かった。
「サヤカ」
ラルフが巫女を呼んだ。俺も名前で呼んでみたい。そうしたら、恋人同士みたいに見えるかもしれない。いつか、いつか許してくれるだろうか。
巻き付いてる巫女の体が俺から離れる。寂しいのに、手はずっと撫でてくれてるから、なんだか安心する。甘い気持ちのまま幸せな暗闇に溶けた。
目覚めたら巫女から精霊が産まれ始めていた。赤い光。火の精霊。俺の種。見たことのない量に驚いて天窓から消えるまで見送った。緑が混じってたのはラルフだ。意識を失う前に聞いたラルフの声を思い出す。俺も名前で呼びたい。巫女を見たら目が合って笑った。昨日のことを思い出してドキドキする。俺を噛んで、俺の穴を……。ものすごく気持ち良かったけど恥ずかしい。あんなことされて感じてたなんて。
でも巫女がしてくれたから。口付けも。またしてもいいのだろうか。俺から? いいのかな。
もう少し眠ると言った巫女が俺を誘ってくれた。そして手に口付けをくれた。俺がしたいと思ったことがバレたんだろうか。恥ずかしいけど巫女からしてくれて嬉しい。すぐ眠ってしまった巫女の穏やかな寝顔を眺める。
ありがとう、巫女。俺に優しくしてくれて。
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『おやすみなさい、お兄さま』という短編を投稿しました。
タグ注意ですが読んでいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。
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