6人の夫と巫女になった私が精霊作りにはげむ1年間の話【R18】

象の居る

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第一章 巫女ってなんなんですか

54.甘い罰 Side リーリエ

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Side リーリエ

今朝の精霊産みの光景は夢のようで足取りもフワフワと地につかない。
巫女はいつも通り昼近くまで眠るのかもしれないが、私は浮かれて眠れず本殿へ祈りを捧げに行った。

「ルグラン様、お勤めご苦労様です。素晴らしい精霊でしたね」
「ありがとうございます」

神官達がお祝いの言葉を掛けてくれ、精霊があまり産まれない私を心配していたのだと知った。今日は今までになく産まれたから、これからもずっと好きでいてくれると言われたから、きっとこれからもたくさん産まれるはず。だから大丈夫。私はお勤めをこなせるから、できそこないだと思われることはない。

「ご無理なさったのでは?」
「いいえ、巫女が私を受け入れてくださったからです」
「文献の通りに巫女の精神状態で変わるのですね」
「はい、そのようです」

私は心配してくれる神官に、目くらまし魔法で整った顔を向けて微笑んだ。

昼前に巫女を起こしに行くともう目覚めていたらしく、浴室から水音がした。私の手で巫女を洗うことができたらいいのに。昨日ふれた巫女の体を思い出して頭に血が昇った。一晩中まぐわったのにこれだけで胸がうるさく騒いでしまう。欲深い自分が嫌になり、ため息が出た。

巫女のシーツを替えるときに昨日の行いが頭に蘇って硬くなり始めた陰茎を、頬を叩くことで抑えた。
湯浴みから上がった巫女の髪をいつも通り乾かすと、いつも通りお礼を言われた。私は恥ずかしくて巫女の顔を見ることもできないのに、巫女の態度は変わらない。私には大きな出来事だけれど、巫女にとってはたいしたことないのだろうと考えたら、胸が痛む気がした。巫女は他の夫とたくさん精霊を産んでいる。いつも昨日のようにまぐわうのだろう。ゲルトと名前を呼び合っていたように、他の夫にも好きだというのだろうか。
……それは精霊を産むために良いことなのだから、私が気にするようなことではない。むしろ喜ぶべきことなのだと奥歯を噛み締めた。

昼食を取る巫女の隣に座り様子を窺う。巫女がフォークを持つ、私にふれてくれた手で。巫女がお茶を飲む、私に口付けた唇で。
痛みを与えないと、こんなことばかり考えておかしくなってしまう。でも巫女はダメだと、自分が与えると言った。

巫女の部屋で、どんな罰を?

夕食のあともいつも通り浴槽にお湯をため、お手洗い用の水を桶に用意する。飲み水を水差しに用意してお茶を入れた。
夜の用意が終わったことを巫女に告げる。いつもならすぐに自分の部屋に戻る私が立ち尽くしているのを巫女がじっと見た。

「……巫女、罰を、与えてください」
「ひざまずいて」

ソファに座った巫女の前で床にひざまずく。冷たく聞こえる声に不安が膨らんだ。巫女、ずっと好きだと、言ってくれた、のに。怖くて巫女の顔を見ることができない。

「懺悔して」
「……巫女を見ると、思い出して、体が、熱くなり、ました」
「熱く。……まぐわいたくなったの?」
「はい」
「ふーん」

関心の薄そうな声に怖ろしさが湧き出した。呆れられてしまったのだろうか。私が欲にまみれているから。うっとうしいのかもしれない。いつもそんなことを考えるなんておかしいから。
冷や汗がにじみ出した私に巫女の手がふれた。指先で顎をくすぐられると、それだけでゾクゾクと鳥肌が立ち呼吸が乱れる。

「何を思い出したの?」
「巫女の、唇が、私の唇に、指が体に、ふれたのを」
「指がどこにふれた?」
「首に、胸に、い、いん、けい、に」
「そんなこと考えてたの? 悪い子リーリエ」

くすぐる指で顎をすくわれ目をあげると、悪戯するような笑みを浮かべていた。頭に血がのぼり心臓がドキドキとうるさい。不安はいつの間にか期待へ変わっている。

「罰を与えなきゃね。リーリエは欲が嫌い?」
「怖いのです」
「そう。じゃあ欲に飲み込まれてごらん」
「巫女、それは」
「罰だよ。リーリエ、陰茎を出して」

欲に飲み込まれる? 私のおかしな欲に?
不安がまたぶり返したのに、ズボンから取り出した陰茎はなぜか硬く反り返っている。

「思い出した通りに、自分の指でさわって」
「……はい」

巫女の目の前で陰茎にふれると、背徳感に鳥肌が立った。巫女の指を思い出して、ゆるゆるこすれば下腹に快感が広がる。
こんなことをするなんておかしいのに。おかしいのに、気持ち良いなんて。

「巫女、こんな、こと」
「罰だよ、リーリエ。欲に抵抗しないで気持ち良いことだけ考えて」

ソファを降りて隣にきた巫女の手が私の足の間に入り込み、肛門から陰嚢のあいだを優しく撫でる。下腹から腰に痺れるような快感が昇って声を抑えることができない。
巫女、気持ち良くて、ああ、おかしくなってしまいます。罰だから、巫女、気持ち良い。

「っあ、あぁ、みこ、みこ、あぁっあ、ああぁ」
「きもちいい?」
「あぁ、きもち、いいです、みこ、っあぁ」

巫女に頭を抱き寄せられて唇が触れた。巫女の唇が私を優しく啄んでその先を期待させる。暖かで柔らかな舌に絡みつき、とろけるような刺激を貪った。陰茎を擦る手を止めることはできずに貪欲に快感を追う。下腹に充足した快感が陰茎の先から迸り自分の手を汚した。

息を切らし出し切ったところで罰を思い出した。

「……巫女、罰が」
「気持ち良かった?」
「はい」
「じゃあ罰はおしまい。よくできました」

巫女は私を抱きしめて頭を撫で、両方のまぶたに口付けをくれた。罪悪感が安心に変わり、胸が喜びに満たされる。


「お休みなさい、巫女」
「また明日。お休み、リーリエ」

身支度を整えて就寝の挨拶をする私に、巫女が優しく笑い頬に口付けをくれた。階段を下りて振り返ると、私を見ていてくれた巫女が手を振った。この気持ちをなんと言って良いのかわからない。フワフワする足で自分の部屋に戻る途中リヒターとすれ違って挨拶をした。これから巫女の部屋に向かうのだろう。それがわかっても気持ちは穏やかなままだった。
部屋の扉を閉めて一人きりになり、巫女が口付けをくれた頬を押さえた。嬉しくてくすぐったい幸せな気持ちで胸がいっぱいになる。撫でてもらったことを思い出すと口元がゆるんだ。
湯浴みと身支度を終え布団に入る。いつもは疼く体を持て余してウンザリするのに今日は違った。巫女に触れられたことを思い出すと少し疼くのに、幸福で暖かい気持ちになる。

また明日、と言った巫女の声を思い出して幸せなまま眠りについた。


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