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第二章 精霊産みといろいろ
79.我慢くらべ Side ラルフ
しおりを挟むSide ラルフ
サヤカが泣いたあとからヨアヒムとの距離が縮まったようだった。
伸ばした手を避けられてオレは引いたけど、ヨアヒムは引かなかったのかもな。いつだって本気のヤツには敵わねぇ。
どことなくよそよそしくなったサヤカの態度に寂しさを感じる。最初はオレと一番仲が良かったのになぁ。オレが面倒見なくても他のヤツラが大事にするみてぇだからいいけどよ。
そんな関係のままバタバタした精霊祭を終え、神官の繁殖期で2人きりになる機会もなくなった。
精霊の種の作用で体が疼く。ずっと一人だと自分で処理してもいまいちスッキリしない。サヤカの匂いが恋しかった。近くにきたとき、ふと漂う体臭に体が焦れる。
匂いを嗅がせてもらおうかと考えていたら、我慢出来なくなったのかヴェルナーが先に動いた。
ヴェルナーがサヤカを抱きしめて口付けをねだる。一旦頷いたのに、全員の前じゃ恥ずかしいらしくいろいろと言い訳を始めた。段々とサヤカの顔が赤くなるのが面白くて黙って眺める。ヴェルナーの問い詰めにしどろもどろになり、しまいには耳まで赤くして顔を隠した。
なんかこういう恥ずかしがってんのってムラっとくるな。二週間以上寝てねぇし、匂いじゃなくてもクルもんがある。
オレと同じなのかヴェルナーが強引に口付けを始めた。暴れる腕を押さえられて抱きしめられてる。慌ててるのがわかるから可笑しい。しっかしヴェルナーも腰振ってんなよ、こんなトコで。
ヨアヒムが珍しく止める声を掛けた。
驚いたがそれが刺激になったのか、ヴェルナーの大きな手がサヤカのケツを揉みだした。止められたのに盛り上がるとかなんなんだ。オレも止めようかと思ったらサヤカの体が少し跳ねたのがわかった。感じたらしいと気付いて腰に血が集まり出す。まずいな、オレも硬くなりそう。
ヴェルナーの顔をムリヤリ外したサヤカが叫んで走って逃げて行った。恥ずかしいのかオレたちを見ないように俯いて。階段を駆け上がってるつもりだろうに、足が遅いうえにつまずいてる。なんだかなぁ、どこまで可愛いんだか。
「っハハ、ハハハッ、ハハ。あー可愛いな。ああ、くそ、いつまで我慢したらいいんだ」
サヤカの部屋のドアが閉まったあと、ヴェルナーが笑い出して毒づいた。
「あと二週間くらいだ。仕方ねぇだろ」
「わかってる。我慢しているのだから愚痴くらい言わせろ」
「まあな。早く抜いてスッキリしたらどうだ?」
「言われなくても。お前こそ」
言われて半勃ちになってることに気付いた。どうしようもねぇな、オレも。
「あークソ。なんで、口付けくらいで恥ずかしがってんだよ。ムラっとすんだろ」
「ハハハッ、……はー、キツイ。口付けしてもいいなら明日からたっぷり味わってやる」
やや不穏なことを言いつつ紫のドアの中に消えた。
オレもしてぇな。ワキを舐めるだけでもいい。匂いを思い出したらまた硬くなり始めた。
「なんでこんなんで。精霊の種のせいか? 女おぼえたての頃に戻ったみてぇだ」
「おぼえたてはな~。俺も馬鹿みてぇに嵌まったなぁ」
オレの愚痴にサミーが同意する。
「サミーは変わったか?」
「あー、まあ、ヴェルナーほどじゃねぇが溜まりやすい感じになったよな」
「オレも。まったく、もっと楽かと思ったら体が変わるなんてな」
ゲルトとヨアヒムは何も言わず自分たちの部屋へ向かう。からかいたくなり声を掛けた。
「お前らも抜くのか?」
「……あー、ええ、まあ」
ゲルトが振り向いて律儀に答えるから面白い。ヨアヒムは困った顔をして部屋に戻った。
「クッ、ハハッ、頑張れよ。夜にでもサヤカの使用済み肌着、貸してくれって頼もうぜ」
「えっ……あ、……大丈夫でしょうか?」
「お前も変な趣味あんのか」
「獣人はなぁ、匂いが恋しいんだよ。見た目よっか匂いなんだよな。なぁゲルト?」
「ええ、はい」
「ふーん、そんなもんか」
「土妖精はなんかそんなのねぇのか?」
「ねぇな。俺は見た目が気に入ってるし」
「どこらへんだ?」
「背が高ぇのがいい」
「大抵の女は土妖精より背が高いだろ? 同族の女以外ならいいのか?」
「まあな」
サミーと女の好みを話し出したらゲルトも部屋に戻った。喋ってたら治まってきた下半身に安心のため息をつく。
「なんつーか、雑だな。まあ、簡単でいいかもしんねぇけど」
「いんだよ、これで。こまけぇ好みばっかり言ってても仕方ねぇだろ。お前は?」
「オレも匂いが合えばいい。匂いが合わねぇと見た目が良くてもその気になんねぇし。サヤカの匂いはイイんだよ。腰にクル」
「サヤカは匂いねぇだろ」
「鼻が悪いな」
「ああ。夜目は効くんだけどな」
くだらない話をひとしきりして、サミーは仕事の続きをしに部屋に戻った。オレも狩りに出かけるかな。精霊祭が終わってあぶねぇヤツラも静かになったって聞いたし。
夕食になってサヤカが降りてきた。恥ずかしさが残ってるのか目をキョトキョトさせてて笑えた。ヨアヒムにお礼を言ってからあまり喋らねぇまま食事を終わらせる。
神官が後片付けに消えてから肌着を貸してくれと頼んだ。
「二週間我慢してるご褒美にそれくらいイイだろ? 精霊の種のせいで体がちょっとアレなのにまだあと二週間あるだろ?」
「……んん、うーん、わかった。待ってて」
二階に消えてからしばらくしてパジャマに着替えて降りてきた。
「他のは洗濯に出しちゃったから今日着てた服」
「肌着の下は?」
「無理、絶対ダメ」
ゲルトは肌着の上、俺は脇が嗅げるシャツを受け取る。
「それがいいのに。じゃあ口付けてもいいだろ? ヴェルナーだけってことはねぇよな?」
「え、あ、いいけど、ここじゃ」
「オレの部屋に行こう。ゲルトも来いよ。一人だと押し倒さねぇ自信がない」
マジで。ちゃんと抜いてんのに匂いが嗅げると思ったらムラついてしょうがねぇ。
三人で部屋に入りドアを閉めた。サヤカのガウンを脱がすと体を硬くした。
「なんで脱がすの?」
「ワキを舐めるから」
「ヤダ、洗ってないのに」
「それがイイんだよ。サヤカ、頼む。種のせいなんだから同情してくれたっていいだろ」
「脇舐めるだけ?」
「そう。なんでそんなイヤがんの? オレらのことイヤになった?」
「違うっ、違う。でも繁殖期はリーリエだけって約束しちゃったから……」
「わかった。約束は守るから舐めるだけ」
サヤカのよそよそしさが頭をかすめて出た軽口を、強く否定されて驚く。困った顔のサヤカに冗談だと言えなかった。
バカだなぁ。オレらのワガママに付き合わされてんのに気ぃ遣って。
よそよそしさと気遣いの根は同じで、それがサヤカの距離なんだろうと思うともどかしさに少し苛立つ。そんなもんすっ飛ばして組み敷きたかった。ムリヤリでも繋がって触れたいと体の中が渦巻いた。
牙をすり合わせて襲いかかりたい衝動を落ち着かせる。ゲルトもいてよかった。一人だと危ねぇわこれ。
パジャマを脱がせて下の肌着だけになったサヤカをベッドに座らせると、薄い掛布を体に巻いた。
「恥ずかしがってんの?」
「2人は服着てるのに私だけ裸ってなんか嫌だ」
「オレらが裸になったら止まらねぇだろ」
「わかってます。だから布団」
むくれた喋りが恥ずかしさを隠すためだと丸わかりで、なんかもう可愛くてたまんねぇ。なんでこんなあざとい真似されてオレは興奮してんだ。サヤカは誤魔化すのに必死でわかってねぇし、指摘したら余計にオタオタすんだろう。
こういう女ってガキ臭くてめんどくせぇと思ってたんだけどなぁ。やっぱ種のせいで良く見えるってコトなのか。
隣に座って腰を抱き寄せ口付けをする。久々にだからか緊張してんのかぎこちない唇の動きにたまらなく煽られる。舌を捩じ込んで口内を隅々まで味わう。上顎を舐めると鼻にかかった喘ぎを零し、舌を絡め取ったら息を荒くした。
サヤカの片手を取ってペニスを握らせた。ズボンの上から手を重ねて一緒に擦る。これだけで腰に疼きが広がって覚えたての頃を思い出した。毎晩ひっきりなしに扱いてたっけ。最近は抜くための作業でしかなかったのに、こうしてるとたまんなく興奮する。この小さくて柔い手の中にぶちまけて汚してぇ。
そんなこと考えて動かしてたオレの手の下から、サヤカの手が逃げたかと思うとズボン紐を解いた。するりと中に入り、下ばきの隙間から直に触られる。こんなことで呻きが漏れた。
反対の腕を持ち上げてワキに舌を這わせる。捩って揺れる不安定な上半身をベッドに寝かせたらオレを見上げるサヤカと目が合った。潤んで揺れる黒い目に頭まで毛が逆立つ。そんな目で見られてんのに、我慢しなきゃいけねぇオレの身にもなってほしい。
むずがる腕を押さえつけワキに鼻を埋めて匂いを嗅ぐ。洗う前の今日一日の匂い。少しの汗と少しの体臭が暖かい体温をまとってオレの体の中を満たした。血が沸き立つ。欲しかったのはこれだと思った。頭が痺れる。ゆるくしごくサヤカの手の上から握り、衝動のまま動かした。柔い指がオレのヌルつきで汚れてクチュクチュと亀頭を扱きあげる。夢中で快感を貪った。柔いワキに牙を立てて甘噛みをしたらサヤカが小さな声を上げる。
捩った腰から漂った微かな香りで刺激が頭まで突き抜け、熱が飛び出した。サヤカの手の中で大きく脈打ってる。
「……はぁ、オレ、死にそう。サヤカに挿れたくて」
「……二週間後に。ごめんね」
「謝んなよ」
体を起こしてゲルトを見たらサヤカの足の指を舐めながら扱いて、ちょうど出したみたいだった。お仕置きがよっぽど気に入ったらしい。
「我慢するから今日みたいなコト、またしようぜ」
「うん」
サヤカの手を拭いてやり身支度して部屋を出た。サヤカは自分の部屋へ戻りオレも見送りを終えて部屋に戻る。今日も神官だけがサヤカを抱くのかと思うとなんだかイラついた。
オレもかなり欲求不満みてぇだ。一ヶ月くらい簡単だと思ったのに。まいったな。
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