6人の夫と巫女になった私が精霊作りにはげむ1年間の話【R18】

象の居る

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第二章 精霊産みといろいろ

100.安心できるから Side ラルフ ※

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 Side ラルフ

 サヤカのお腹から大きな透明の玉が、虹色の光をチカチカさせながら出てきた。今までと違い過ぎて精霊王だとすぐわかったが、あまりの想定外に呆気にとられたままぼんやり眺めた。
 あんまり動かないと思ったら、サヤカのお腹からもう1個出てきて口が開いた。ポワンポワンとゆっくりした動きで、もう1個、また1個……全部で5個。天窓から消える前、今までになくまばゆく光った。虹色の光が部屋中に溢れて眩しくて目をつむり、まぶたの裏にもしばらく残像がはりついた。
 やっと目が開いてサヤカを見る。疲れて眠ったかと上掛けで体を包んだ。頬に口付けをしようとして違和感に気付く。ピクリとも動かない。冷や汗が噴き出した手を口元に添える。息がない。ない?
 急いで耳を近付けても呼吸音がしない。上掛けを剥がして心臓を確かめても動かない。

「どけっ! ……サヤカっ!」

 ヴェルナーがオレを突き飛ばして確かめてる。

「っあ、なんで、なんで……、あ、サヤカ」

 目の前の景色が色を失う。ヴェルナーの嘆きが芝居みたいに見える。自分の息だけが空っぽの体に響く。
 なんでなんだ?
 好きだったと言った。諦めたと笑った。甘い声でオレの名前を呼んだ。甘く甘く、オレを。あの胸の震え。あの痺れ。腕の中にいた柔らかな体。

「ま、魔力をっ、……早くっ」

 ヴェルナーに腕を引っ張られて腹の石に手を当てた。そうだ、あのときもこれで戻ってきた。そうだ、戻って来る。
 走り出したヴェルナーが下からヨアヒムたちを呼んできた。そうだった、全員分の魔力が必要なんだった。

 ダラダラと流れる額の汗を拭きながら待った。
 随分と長く待って息が苦しくなった頃、ヴェルナーが勢いよくサヤカに抱き付いた。慰めるサヤカの声が聞こえて体の力が抜け、長い長いため息が出た。
 立ち上がってしがみ付くヴェルナーと宥めてるサヤカを見る。笑って動く姿を見てホッとした。

 ハハッ、力が抜ける。精霊王のことを『玉』呼ばわりして。まったく、とんでもねぇ巫女だな。

 またオレの中が満たされる。今度は溢れてこぼれるくらい。こぼれたものが口からポロリと出た。

「結婚する」
「え」
「オレはサヤカと結婚する」

 うん、これだ。言葉になったら、これ以上ないくらい納まりがイイ。
 サヤカは戻ってくるからオレは空っぽになんなくて済む。オレはもう怖がる必要ねぇんだ。前も今も戻ってきたんだから、これからだって大丈夫。なんせ精霊王の石で出来てんだ。暴風雨に掻っ攫われたって暴風雨より力のある奴が付いてんだから、奪えるわけねぇ。

「お前、何を勝手に」
「いいだろ。オレの魔力だって必要なんだから」
「自分で脅しとかなんだとか言っておいて」
「脅しじゃねぇ。サヤカはオレのこと好きなんだから。なぁ?」
「え? あ、え、うん」
「は? ……本当か? 私は?」
「ええと、うん、みんな好きだよ。うん、みんな」

 ヴェルナーの迫力に目をキョトキョトさせながら答えるサヤカを笑った。


 疲れたサヤカが眠ってから全員で部屋を出た。ヴェルナーが仏頂面でオレを見る。

「お前、冒険者は辞めろ」
「あー、冒険者はだいたい早死にするからなぁ。辞めて何すりゃいいんだ?」
「うちの荷運びの護衛か、行商の護衛しますか?」
「そういや、そういう依頼やったことあるわ」
「お前程度で護衛をやってたらすぐ死ぬ。警備隊に入れ」
「オマエと同じとこか。そっちだって似たような仕事だろ?」
「腕前によって仕事が割り振られるし、警備隊には回復役が常駐している」
「そんならそっちのほうがいいか。稼ぎ悪くなるな」
「宿代がかからなくなるのだからいいだろう」
「まあな」

 オレの入隊を上司に打診すると言ってヴェルナーは仕事に行った。警備隊に入るなら剣の腕も上げねぇとな。午前中は産屋棟の警備についてるヤツに訓練を手伝ってもらった。

 昼メシのあと、ヴェルナーが仕事に消えてからサヤカの腕を取って部屋に連れ込んだ。ベッドに座って膝の上に横抱きにする。

「嬉しいよな?」
「え、なに、結婚の話? ……うん。どうしたの急に」
「オレ、いきなり死なれるのイヤなんだよ」
「うん、大抵の人は好きじゃないと思うけど」
「サヤカは死んでも戻ってくるから、安心して結婚できる」
「あ、えっと、まあ、そうみたいだね」
「サヤカは好きだけど結婚したあとで死なれるのイヤだったんだよ。でも死なねぇってわかったから、安心して可愛がれるし惚れられる。匂いも腰にクルし最高だな」
「なんか、最後が……。……好きなの?」
「ああ」

 耳たぶと首筋を舐めながら返事をしたら、照れたのを誤魔化すように口をすぼめて俯いた。

「カワイイ」

 おっぱいを揉みながら胸元の匂いを吸い込んだ。体の中がフワフワする甘酸っぱい香り。服の上から乳首を摘まんで捏ねると体を揺らす。
 オレのモンにしたい。今すぐ。

「っぁ、あ、ダメ」
「今日の予定は?」
「お休みの予定」
「じゃあ、丁度いいな」

 長いスカートをめくり上げて内腿を撫で、下着の上から割れ目を沿って指を動かした。

「ぁ、なんで、っ」
「サヤカと結婚できて嬉しいから」
「っ、……うー」
「嬉しいだろ?」
「……嬉しいけど、みんなの前で言うとかはナシでしょ。やめてよ」
「クッ、あのときのサヤカの顔……クハッ」
「ラルフのせいでしょ!」
「そうだなぁ、サヤカに惚れられたオレが悪い。ククッ」
「……」

 オレの手を剥がしてムスッとしてるサヤカの頬を舐める。可愛いなぁ。これからは思い切り可愛がったっていいんだもんな。

「オレのカワイイ婚約者殿」
「なにそれ」
「どうやって食ってほしい?」
「食わなくていいです」
「そうか、スキにしていいってことだな」
「違う」
「なぁ、……サヤカと結婚できてすげぇ嬉しい」
「……うん」
「嬉しいからサヤカを今すぐ抱きてぇのはおかしいか?」
「え、いや、えーと、おかしくはない、と思う」
「じゃあ、オレのものになって。今すぐ。なぁ、サヤカ」

 鼻を突き合わせてそう言ったら、みるみる顔を赤くした。せわしなく瞬きをしてギュッとつぶる。

「サヤカがそっけなくなったとき、オレが必要なくなったと思って寂しかった。泣いてるのにオレの手を避けるから辛かった。他のヤツらと結婚するって盛り上がってんのにオレは入れねぇし」
「……ごめんね。でもそのあとは好き勝手にしてたよね?」
「好きだって言われたら嬉しいだろ。でも結婚は怖いし、サヤカはずっとこっちにいるって言ったけど、なんか確信がもてねぇっていうか」

 サヤカの手が優しくオレの頬を撫でる。

「でも戻ってきた。だから安心したんだ。サヤカはオレを置いていかねぇって。なぁ、だから抱かせて。戻ってきたってオレに教えてくれよ」
「……うん」

 サヤカがオレの首に腕を回して口付けをする。小さな舌が牙を舐める。口付けしながら抱き上げてベッドに寝かせた。
 小さな舌に口の中を這い回られると焦らされてるような、たまらない気持ちになる。
 スカートを捲り上げて下着を剥ぎ取った。我慢なんかできなかった。今すぐオレのモノにしたい。欲しくてたまらない。もう距離を取らなくたっていい。どんだけ嵌まったっていいんだ。いなくなんねぇんだから。
 ズボンから取り出したモノはガチガチに硬くなって涎を垂らしてた。オレを飲み込む穴もたっぷりの蜜でぬめってる。
 温かく蠢く肉の中に押し込んで繋がった。気持ち良過ぎる。おっぱいも見たくて、服をずり上げた。今すぐ見たいのにシャツのボタンがめんどくせぇ。

「サヤカ、ボタン外しておっぱい出して見せて」
「っあ、……ん、ぁ」

 腰を振りながら、サヤカが自分でボタンを外すのを眺める。

「おっぱい取り出して、オレに見せてよ。……っは、サヤカ」

 従順に下着をずらし、両手でおっぱいを掴んでオレに向かって突き出した。腰を打ち付けるたびに揺れる先で乳首が硬くしこってるのがわかった。

「ふっ、硬くなってんの? ……っぅ、は、興奮してる?」
「……っぁ、んん」

 恥ずかしがって顔を背けるのに律儀におっぱいは突き出したままだから可愛い。

「舐めろってことか?」
「あっ、あ、や、……っぁ、んぁあっ、あアアアっあ」

 腰の振りをゆっくりにして、おっぱいに牙を立てて乳首をしごくように舐めた。サヤカが自分から押し付けて揺らしてる。

「サヤカ、オレをもっと欲しがって」
「っあ、ラルフ、……ラルフ、っぁ、好き、ラルフ」

 オレの頭を抱えて切ない吐息と一緒に吐き出したサヤカの言葉に毛が逆立った。

「オレも。サヤカ、好きだ」
「っ、……ホント?」
「ホント」
「……ラルフ、っぁ、ラルフ、ちょうだい、欲しい」
「ぁあ、好きなだけ。はっ、オレの女はたまんねぇな」

 サヤカがオレの頭を抱えて背中を仰け反らせる。絶頂の締め付けでオレもイク。

 出しても出しても震えるような何かが湧き上がる。夢中になって気が付くと、夕方の色が部屋の中を満たしてた。2人で抱き合って静かな時間を過ごす幸せに胸が疼く。

 一息ついてサヤカに服を着せ、抱き上げて二階まで運んだ。体を洗い合って笑い、服を着せて笑う。全部の時間が幸せで満ち足りて、ひっそりと影のように付き纏っていた不安はなくなった。
 訪れる春に心がはやる。やっとねぐらを見つけた、そんな気分だ。


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