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3.お泊り①
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ビダルは動きを止め、かたまりみたいな唾を飲み込んだあと慎重に返事をした。
「いい」
「ありがと。サンダル壊れちゃったし」
「……ああ」
落胆が返事に混じった。そういうつもりは自分だけなのかという寂しさは、次に出たロラの言葉で吹き飛ぶ。
「悪いんだけどさ、体拭く水もらっていい?」
「ああ」
飛び跳ねたい。なんなら尻尾は跳ねていた。
急いで用意してロラの前に桶と手ぬぐいを置く。お礼を言ったロラが服を脱ぎだしてぎょっとし、慌てて目をそらした。「ビダルも拭く?」と言われて自分も拭かなきゃと気づき、後ろを見ないように用意して服を脱いだ。
必要だったけど、でもそんな、まだ早い。裸なんて。
ゾクリとして背中が波打った。水を絞ってひんやりする布を体に当ててるのに頭が冷えない。ロラのほうから水音が聞こえる。布を絞って体を拭いているんだと思う。裸の体を。このあとのために。
期待で膨らんできた股のものが恥ずかしくて、落ち着くために仕事のことを考えようとした。なのにぱしゃぱしゃと跳ねる水音が。布が擦れるにぶい音と。それはロラの体を這っている。直接肌を重ねたらどんなふうだろう。ロラの暖かい体がじんわりと移る熱。それから、ああ、中もやっぱり温かいのだろうか。
ビダルの妄想はどんどん膨らんですっかり臨戦態勢になっていた。なさけないと思うのに頭の中は止まらない。
「ねえ、尻尾って拭き辛くない? 拭こうか?」
ビダルはハッとして妄想から抜け出した。ぜんぜん拭けてない。拭かないと進めない。ビダルは今までにない素早い動きで体を拭きあげる。尻尾を拭いてもらいたかったけれど、さっさと終わらせてベッドの上で抱きしめるほうを選んだ。
ロラから見たらちゃんと拭いたのか疑うほどの速さ、ビダルの心情的にはようやく、振り向く。椅子に座っているロラの白い裸体が浮かび上がって見え、ビダルは導かれるようにそばへ行った。何も言わずにいるのは目を奪われてるから。
ビダルの凝視による沈黙は言葉より雄弁だった。すでに立ち上がった二又のものも後押ししている。気を良くしたロラは二ッと笑ってビダルに向かって両手を伸ばした。
ロラの体もとっくに疼いてる。ビダルの数々の態度から甘えてもいいだろうと判断し、イチャイチャしたい欲そのままにふるまった。
またもや妄想に取りつかれていたビダルはその仕草で我に返り、抱き上げるためにかがんだ。ロラが腕を首に回そうとしているのに合わせてもっと近づく。肌が触れる。しっとりしたロラの皮膚はビダルのすべすべした腹側の鱗にピタリと貼りついた。お尻を腕で支えて縦に抱き上げると、すぐ目の前でロラの目が輝いてる。綺麗だ。ビダルは無意識に眼球へ舌を伸ばした。
「わっ、え、なに、え、鱗人って目を舐めるの?」
びっくりして目をつぶったロラの問いに、ビダルは動揺する。自分がそういうことをするなんて思わなかった。
「あ、いや、自分の目はたまに」
「へえー丈夫なんだ」
観察するロラの目の中に自分をみつけたビダルはそわりと尻尾を振る。抱き上げて触れている肌の熱でビダルの血は湧きたっているのに、好奇心でキラキラする目に見つめられたらたまらない。
ロラに回した腕に力が入る。狭い部屋を三歩で横切りベッドまで。ロラをそっと横たえて覆いかぶされば、ロラが声を立てて笑った。
その性急さは悪くない。ううん、すごくいい。ロラはビダルの口先に鼻をすり寄せて甘くささやく。
「したい?」
「ああ」
「ふふ、私も。期待してた」
「俺も」の返事はできなかった。ロラの唇へ舌を這わせるのを待てなくて。
ロラは微笑んだまま、せわしなく動く舌へ応える。
ビダルは信じられないような気持ちで唇の柔らかさを味わった。なんでこんなに柔らかいものが傷もつかずにいられるのか。ロラの肩から腕をまさぐって、やっぱり柔らかいと思う。腹の下にあるモゾモゾ動く足もあたかかくて腰が揺れてしまう。
もっとぎゅっと抱きしめて隙間がないくらいくっつきたい。そうなるとロラの唇から離れなきゃいけなくなる。自分の突き出た顎が邪魔でどうしたらいいかと考えて同族相手のときはどうだったかと頭をめぐらせる。いや、そもそもこんなことしなかった。挿入して相手がイクのを待って自分も出す、最初から終わりを待ってる行為。なんで自分は今、こんなふうに求めているのか。
ビダルは答えを持ち合わせていなかった。今は必要もなかった。求める先にロラがいて、ロラも応えてくれる、それだけでいい。
喘いでるロラが口が開いてビダルの舌を挟んだ。ビダルは尻尾が跳ねさせ、たちまちそれだけで頭をいっぱいにした。ちゅっちゅと吸われる知らない感覚にゾクゾクしてビダルも喘ぐ。
暖かくヌルついた口内に招かれて鼻息も荒くビダルは口を開けた。もっと中へ入りたいと、大きく開いた顎でロラの頬を挟むように合わせ、舌を全部突っ込む。口内はどこもかしこもぬめって柔らかい。デコボコした歯と上顎をなぞり、軟体動物みたいに蠢く舌へまた絡みつけた。ぬめぬめと動いて捕まえきれない。息を荒げるビダルから滴り落ちた唾液をロラが飲み込む。それに気づいたビダルのペニスは硬さをました。
もっともっと中へ入りたい。
ビダルの伸ばした舌が喉のほうへいく。途端、ロラが勢いよくむせてビダルを押し返した。
「あっ、ごめん、わるい、ごめん」
むせてセキを繰り返す苦しそうなロラにおろおろと謝る。シーツの上で丸まるロラの小ささと、それを見下ろす自分との大きさの違いに罪悪感が膨らんだ。
もっと気をつけなきゃいけなかったのに。
「ごめん」
「ゲホッ、……はぁ、ホントに。ケホッ、ふっ、はー。人間の口の中はビダルより浅いから気をつけて」
「うん、ごめん、もうしない」
セキがおさまったロラは大きく息を吐いて、おろおろしてるビダルの鼻先を撫でた。
「人間としたことないの?」
「ない」
「ふーん。私も人間しか知らない」
それなら仕方ないのかもしれないとロラは思う。なんせ作りが違う。なんかすごいしょんぼりしてるし。このまま盛り下がりたくないし。
「私の師匠、人間なんだけど他の種族も研究しててさ、そこまで習ってないけど話は聞いてるんだよね。ドワーフは体温高いとか、鱗人は寒さに弱くてここが二又だとか」
「うっ」
少々しょんぼりしたペニスをいきなりつつかれて、びっくりしたビダルの腰が逃げた。
「アハハ、仕返し」
ニヤと笑うロラにビダルが肩の力を抜く。気を遣ってくれたとわかった。自分が気にしないように。
ビダルは喉がぎゅっとした気がした。
「いい」
「ありがと。サンダル壊れちゃったし」
「……ああ」
落胆が返事に混じった。そういうつもりは自分だけなのかという寂しさは、次に出たロラの言葉で吹き飛ぶ。
「悪いんだけどさ、体拭く水もらっていい?」
「ああ」
飛び跳ねたい。なんなら尻尾は跳ねていた。
急いで用意してロラの前に桶と手ぬぐいを置く。お礼を言ったロラが服を脱ぎだしてぎょっとし、慌てて目をそらした。「ビダルも拭く?」と言われて自分も拭かなきゃと気づき、後ろを見ないように用意して服を脱いだ。
必要だったけど、でもそんな、まだ早い。裸なんて。
ゾクリとして背中が波打った。水を絞ってひんやりする布を体に当ててるのに頭が冷えない。ロラのほうから水音が聞こえる。布を絞って体を拭いているんだと思う。裸の体を。このあとのために。
期待で膨らんできた股のものが恥ずかしくて、落ち着くために仕事のことを考えようとした。なのにぱしゃぱしゃと跳ねる水音が。布が擦れるにぶい音と。それはロラの体を這っている。直接肌を重ねたらどんなふうだろう。ロラの暖かい体がじんわりと移る熱。それから、ああ、中もやっぱり温かいのだろうか。
ビダルの妄想はどんどん膨らんですっかり臨戦態勢になっていた。なさけないと思うのに頭の中は止まらない。
「ねえ、尻尾って拭き辛くない? 拭こうか?」
ビダルはハッとして妄想から抜け出した。ぜんぜん拭けてない。拭かないと進めない。ビダルは今までにない素早い動きで体を拭きあげる。尻尾を拭いてもらいたかったけれど、さっさと終わらせてベッドの上で抱きしめるほうを選んだ。
ロラから見たらちゃんと拭いたのか疑うほどの速さ、ビダルの心情的にはようやく、振り向く。椅子に座っているロラの白い裸体が浮かび上がって見え、ビダルは導かれるようにそばへ行った。何も言わずにいるのは目を奪われてるから。
ビダルの凝視による沈黙は言葉より雄弁だった。すでに立ち上がった二又のものも後押ししている。気を良くしたロラは二ッと笑ってビダルに向かって両手を伸ばした。
ロラの体もとっくに疼いてる。ビダルの数々の態度から甘えてもいいだろうと判断し、イチャイチャしたい欲そのままにふるまった。
またもや妄想に取りつかれていたビダルはその仕草で我に返り、抱き上げるためにかがんだ。ロラが腕を首に回そうとしているのに合わせてもっと近づく。肌が触れる。しっとりしたロラの皮膚はビダルのすべすべした腹側の鱗にピタリと貼りついた。お尻を腕で支えて縦に抱き上げると、すぐ目の前でロラの目が輝いてる。綺麗だ。ビダルは無意識に眼球へ舌を伸ばした。
「わっ、え、なに、え、鱗人って目を舐めるの?」
びっくりして目をつぶったロラの問いに、ビダルは動揺する。自分がそういうことをするなんて思わなかった。
「あ、いや、自分の目はたまに」
「へえー丈夫なんだ」
観察するロラの目の中に自分をみつけたビダルはそわりと尻尾を振る。抱き上げて触れている肌の熱でビダルの血は湧きたっているのに、好奇心でキラキラする目に見つめられたらたまらない。
ロラに回した腕に力が入る。狭い部屋を三歩で横切りベッドまで。ロラをそっと横たえて覆いかぶされば、ロラが声を立てて笑った。
その性急さは悪くない。ううん、すごくいい。ロラはビダルの口先に鼻をすり寄せて甘くささやく。
「したい?」
「ああ」
「ふふ、私も。期待してた」
「俺も」の返事はできなかった。ロラの唇へ舌を這わせるのを待てなくて。
ロラは微笑んだまま、せわしなく動く舌へ応える。
ビダルは信じられないような気持ちで唇の柔らかさを味わった。なんでこんなに柔らかいものが傷もつかずにいられるのか。ロラの肩から腕をまさぐって、やっぱり柔らかいと思う。腹の下にあるモゾモゾ動く足もあたかかくて腰が揺れてしまう。
もっとぎゅっと抱きしめて隙間がないくらいくっつきたい。そうなるとロラの唇から離れなきゃいけなくなる。自分の突き出た顎が邪魔でどうしたらいいかと考えて同族相手のときはどうだったかと頭をめぐらせる。いや、そもそもこんなことしなかった。挿入して相手がイクのを待って自分も出す、最初から終わりを待ってる行為。なんで自分は今、こんなふうに求めているのか。
ビダルは答えを持ち合わせていなかった。今は必要もなかった。求める先にロラがいて、ロラも応えてくれる、それだけでいい。
喘いでるロラが口が開いてビダルの舌を挟んだ。ビダルは尻尾が跳ねさせ、たちまちそれだけで頭をいっぱいにした。ちゅっちゅと吸われる知らない感覚にゾクゾクしてビダルも喘ぐ。
暖かくヌルついた口内に招かれて鼻息も荒くビダルは口を開けた。もっと中へ入りたいと、大きく開いた顎でロラの頬を挟むように合わせ、舌を全部突っ込む。口内はどこもかしこもぬめって柔らかい。デコボコした歯と上顎をなぞり、軟体動物みたいに蠢く舌へまた絡みつけた。ぬめぬめと動いて捕まえきれない。息を荒げるビダルから滴り落ちた唾液をロラが飲み込む。それに気づいたビダルのペニスは硬さをました。
もっともっと中へ入りたい。
ビダルの伸ばした舌が喉のほうへいく。途端、ロラが勢いよくむせてビダルを押し返した。
「あっ、ごめん、わるい、ごめん」
むせてセキを繰り返す苦しそうなロラにおろおろと謝る。シーツの上で丸まるロラの小ささと、それを見下ろす自分との大きさの違いに罪悪感が膨らんだ。
もっと気をつけなきゃいけなかったのに。
「ごめん」
「ゲホッ、……はぁ、ホントに。ケホッ、ふっ、はー。人間の口の中はビダルより浅いから気をつけて」
「うん、ごめん、もうしない」
セキがおさまったロラは大きく息を吐いて、おろおろしてるビダルの鼻先を撫でた。
「人間としたことないの?」
「ない」
「ふーん。私も人間しか知らない」
それなら仕方ないのかもしれないとロラは思う。なんせ作りが違う。なんかすごいしょんぼりしてるし。このまま盛り下がりたくないし。
「私の師匠、人間なんだけど他の種族も研究しててさ、そこまで習ってないけど話は聞いてるんだよね。ドワーフは体温高いとか、鱗人は寒さに弱くてここが二又だとか」
「うっ」
少々しょんぼりしたペニスをいきなりつつかれて、びっくりしたビダルの腰が逃げた。
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ビダルは喉がぎゅっとした気がした。
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