実妹と恋愛するのは間違っているだろうか!?

明日録

文字の大きさ
4 / 37
第一章 変わる関係

3話 生徒会長

しおりを挟む
 由衣と一緒に通学路を歩いていると、後ろからチリンチリンと自転車のベルの音が聞こえた。
 振り返ってみると自転車に乗っていたのは見知った顔だ。

「おはよう、澄谷君」

 朝の挨拶をしてきたのは生徒会長の新庄しんじょう綾香あやかだ。

「先輩、おはようございます」

 俺が挨拶を返すと、隣にいた由衣も「おはようございます」と返した。
 先輩は自転車から降りて、俺たちのそばに寄ってくる。

 由衣は先輩との直接の面識はないだろうが、先輩は生徒会長をやっているし顔くらいは知っているはずだ。
 妹がうちの高校に通っていることは、先輩にも話したことがあるから分かっているだろう。

「ええと、そちらは妹さんかな?」
「はい、妹の澄谷由衣です。よろしくお願いします」
「私は新庄綾香、よろしくね」

 お互いに自己紹介をする。
 珍しい事に由衣が少し緊張しているように見えた。
 こいつは人見知りとかするタイプじゃないんだがな。
 相手が生徒会長だからだろうか?

「私いちおう生徒会長やってるから、何か困ったことがあったら気軽に相談してね」

 先輩はそう言うと微笑みを由衣に向けた。

「生徒会長として出来る事なんてほとんど無いじゃないですか」

 そう俺が横やりを入れると由衣が俺の横腹を小突いてきた。

「お兄ちゃん失礼でしょ」

 由衣は横目で俺をけん制しつつ、先輩に「うちの兄がすみません」と謝っている。

「仲良いんだね」

 そんな俺たちの様子を見て、先輩の口から出た感想がそれだ。
 今の会話のどこに仲の良い要素があるのか……
 まあきっと俺たちの兄妹愛オーラが溢れていたんだろう。

「ええ超仲良いですよ。な?、由衣」
「そうでもないです」

 先輩の言葉に乗っかって仲の良いアピールを試みるも、見事にかわされる。
 いつもゲーム一緒にやってるじゃん!仲良いじゃん!

「またまた~照れちゃって~」

 ふざけながらそう言って由衣のほっぺを人差し指でプニプニとつつく。
 
「照れてないし、やめて」

 するとマジトーンで拒否られた。
 ちょっと悲しい。

「後ろから見たら仲良く会話してるカップルに見えたけどな~」

 先輩はクスクスと笑いながら、なんだか凄い事を言い始めた。

「澄谷君から妹さんがいるって話を聞いていなかったら、彼女さんと間違えちゃってたかも」
 
 先輩の発言をどう受け止めたのかは分からないが、由衣は口を真一文字に閉め、何とも言えない表情をしている。
 生徒会長にからかわれ、どう反応していいか困っているようだ。
 しょうがないので助け舟を出す。

「ちょっ!ちょっとお兄ちゃん!?」

 俺は由衣とぎゅっと手を繋いだ。

「こうすればもっとカップルっぽく見えるだろ」

 胸をはって自信満々に俺はそう言った。
 
 由衣はポカンとして俺の顔を見つめていたが、すぐに我に返り、勢いよく手を振り払った。

「……お兄ちゃん、キモい」

 由衣は眉間にしわを寄せて、不快感をあらわにする。
 やばい、ちょっと調子に乗りすぎた。また怒らせちまう。

「す、すまん」

 俺がしょんぼりしながら由衣に謝ると、それを見ていた先輩がケラケラと笑いだす。

「カップルの邪魔をしちゃ悪いから、私はもう行くね」
「カ、カップルじゃありません……」

 由衣はボソボソと反論するが、先輩はそれに構うことなく自転車にまたがった。

「澄谷君、今日は生徒会無いから、部室には来なくても大丈夫よ」

 去り際にそう言い残し、先輩は颯爽と行ってしまった。


―――


「綺麗な人だね」

 先輩の小さくなる後姿を見ながら、由衣はそう呟いた。

 確かに先輩は綺麗だ。まず何と言っても顔が良い。
男を魅了する女ヴァンパイアごとき美しさがある。
 
 そしてスタイルも良い。
身長は俺より少し高いくらいで、なおかつ足も俺より長い。
体つきは出るべきところが出ているエッチな身体だ。
 
 長くてサラサラの黒髪に透き通るような肌。

 男の好きな要素をふんだんに盛り込んだような人だ。
 完璧と言っても過言ではない。

「美人だよな、クラスでも先輩のファンが多くてな」

 実際、告白して玉砕した……なんて話はよく聞く。

「…………お兄ちゃんも?」

 由衣は小さな声で聞いてきた。

「俺か?……まあ、あんな彼女が出来たら自慢になるよなあ」

 とは言ったものの、正直な話、ああいうタイプは俺の好みではない。
 なんか完璧すぎて逆に怖いというかね……

「……そっか」

 由衣は遠くに視線をそらした。
 
「先輩とは良く話したりするの?」
「生徒会で集まった時に、それなりにはな」

 集まったはいいが、やっぱり暇で喋ってばかりなんて事がよくある。
 
「生徒会って他にも誰かいるの?」
「いや俺と新庄先輩だけだよ」

 うちのやる気のない生徒会は現在、会長と副会長の二名しかいない。
 つまりは俺と先輩だけである。

「……そうなんだ」

 由衣は消え入るような声を出し、静かに歩き始めた。

「でも一年生が役員で入るって先輩は言ってたけどな」

 俺はそう付け加えておいた。

「そっか……」

 由衣は視線を遠くに置いたまま、歩を進める。

「…………」

 由衣は口を閉ざしたまま歩き続ける。
 二人の間には長い沈黙が流れていく。
 
 残りの通学路の距離は、いつもより長く感じた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

処理中です...