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7.大人になったら
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十数年後。
ユイちゃんは大人になって、都会に就職をしました。
都会では、牛乳が紙パックに入ってとても安い値段で売られています。
ある時世界中で感染症が流行って、仕事以外では家から出られない日々が続いたある日。
「牛乳の需要が減って、牛乳が廃棄されています」
「みなさん、コップ一杯の牛乳を飲もう」
聞きなれないCMが、ユイちゃんの目に飛び込んできました。
テレビからは、
「毎日数万トンの牛乳を廃棄する酪農家」
そんなニュースが連日流れました。
感染症が流行ったことにより、給食が無くなったり、外食をする人が減ってしまったことが、牛乳が余っている原因だとニュースでは報道していました。
『そんなに余ってるなら、絞らなければいいのにね』
都会のある子連れのママさんが、ある時ユイちゃんの前でそんなことを言いました。
牛乳は水道の蛇口から出てくる訳ではありません。
牛は乳を絞らなければ乳房炎になってしまうのに……。
「人間だって赤ちゃんがお乳を吸ってくれないと乳腺炎になって辛いのに、どうして牛なら絞らなくても平気だって思うのかな?」
納得できないユイちゃんは、つい友人にこう愚痴りました。彼女は2児のママで、子供を産んだ時母乳を出した経験がありました。
「子供の頃はみんな、給食で毎日牛乳を飲んでるのにさ。牛に対して無関心過ぎるよ」
「うーん。多分都会はきっと、みんなそんなものだよ。けど、余ってるならチーズやバターにでもすればいいのにね」
「…………」
友人はユイちゃんにそう言いました。
友人に、悪気はありませんでした。
大人になって更にユイちゃんが知ったこと。
本来牛の寿命は20年。
ですが、乳を絞るために何度も妊娠出産を繰り返し、搾乳され続けた乳牛は、4~5年しか生きることができません。
ユイちゃんはずっと、本来の牛の寿命を知りませんでした。そんなユイちゃんに、友人を責めることは出来ませんでした。
牛達が命を削って出した牛乳を廃棄する酪農家の人達は、一体どんな気持ちだろう?
きっと、すっごく辛いんだろうな。
ユイちゃんの心は、ジクジクと痛みました。
余った牛乳をバターやチーズに加工するのは、実はもうしてくれているんです。乳製品を扱う企業だって、みすみす大切な牛乳を捨てたりはしません。
けど牛乳を加工品として売るには、加工設備や手間暇にもっと沢山のお金がかかり、酪農家の収入は減ってしまうのです。
そんな中、今度は戦争の影響で牛の飼料が高騰しました。
そして、ついに国は『まだ乳が絞れる牛を肉用として殺したら、15万円の補助金を出す』という通達を北海道に出したのです。
国は外国から安いチーズやバターを大量に輸入しているのに、一方で自国の酪農家には牛乳を捨てろ、牛を殺せと言ったということです。
きっとそこには、国同士の付き合いや、大人の事情があるのでしょう。
けれど、乳製品を海外から輸入することで牛乳が余ったから、牛を殺そうという判断をした国に対して、ユイちゃんはとてもとても悲しい気持ちになりました。
ちゃーちゃんが初めて子牛を産んだのは、確か2歳の時です。
4~5年しか生きられない乳牛が牛乳を絞れる期間は、ほんの2~3年という計算になってしまいます。
その2~3年の命すら、生きさせて貰えないのか……。
その日からユイちゃんは、朝と晩に毎日牛乳を飲み、おやつにチーズやヨーグルトを必ず食べるようになりました。
ユイちゃんは大人になって、都会に就職をしました。
都会では、牛乳が紙パックに入ってとても安い値段で売られています。
ある時世界中で感染症が流行って、仕事以外では家から出られない日々が続いたある日。
「牛乳の需要が減って、牛乳が廃棄されています」
「みなさん、コップ一杯の牛乳を飲もう」
聞きなれないCMが、ユイちゃんの目に飛び込んできました。
テレビからは、
「毎日数万トンの牛乳を廃棄する酪農家」
そんなニュースが連日流れました。
感染症が流行ったことにより、給食が無くなったり、外食をする人が減ってしまったことが、牛乳が余っている原因だとニュースでは報道していました。
『そんなに余ってるなら、絞らなければいいのにね』
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牛乳は水道の蛇口から出てくる訳ではありません。
牛は乳を絞らなければ乳房炎になってしまうのに……。
「人間だって赤ちゃんがお乳を吸ってくれないと乳腺炎になって辛いのに、どうして牛なら絞らなくても平気だって思うのかな?」
納得できないユイちゃんは、つい友人にこう愚痴りました。彼女は2児のママで、子供を産んだ時母乳を出した経験がありました。
「子供の頃はみんな、給食で毎日牛乳を飲んでるのにさ。牛に対して無関心過ぎるよ」
「うーん。多分都会はきっと、みんなそんなものだよ。けど、余ってるならチーズやバターにでもすればいいのにね」
「…………」
友人はユイちゃんにそう言いました。
友人に、悪気はありませんでした。
大人になって更にユイちゃんが知ったこと。
本来牛の寿命は20年。
ですが、乳を絞るために何度も妊娠出産を繰り返し、搾乳され続けた乳牛は、4~5年しか生きることができません。
ユイちゃんはずっと、本来の牛の寿命を知りませんでした。そんなユイちゃんに、友人を責めることは出来ませんでした。
牛達が命を削って出した牛乳を廃棄する酪農家の人達は、一体どんな気持ちだろう?
きっと、すっごく辛いんだろうな。
ユイちゃんの心は、ジクジクと痛みました。
余った牛乳をバターやチーズに加工するのは、実はもうしてくれているんです。乳製品を扱う企業だって、みすみす大切な牛乳を捨てたりはしません。
けど牛乳を加工品として売るには、加工設備や手間暇にもっと沢山のお金がかかり、酪農家の収入は減ってしまうのです。
そんな中、今度は戦争の影響で牛の飼料が高騰しました。
そして、ついに国は『まだ乳が絞れる牛を肉用として殺したら、15万円の補助金を出す』という通達を北海道に出したのです。
国は外国から安いチーズやバターを大量に輸入しているのに、一方で自国の酪農家には牛乳を捨てろ、牛を殺せと言ったということです。
きっとそこには、国同士の付き合いや、大人の事情があるのでしょう。
けれど、乳製品を海外から輸入することで牛乳が余ったから、牛を殺そうという判断をした国に対して、ユイちゃんはとてもとても悲しい気持ちになりました。
ちゃーちゃんが初めて子牛を産んだのは、確か2歳の時です。
4~5年しか生きられない乳牛が牛乳を絞れる期間は、ほんの2~3年という計算になってしまいます。
その2~3年の命すら、生きさせて貰えないのか……。
その日からユイちゃんは、朝と晩に毎日牛乳を飲み、おやつにチーズやヨーグルトを必ず食べるようになりました。
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