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両者、想定外。2

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髪からポタポタと赤いワインが滴った。

「お嬢様!!!!」

スーリンが、この世の終わりという顔をして駆け寄ってくる。

しばらく状況を理解できず、口を半開きにして、ボケっとしていた。

ワインをぶっかけてきた、目の前の女の子の顔色も、みるみるうちに青くなっていく。

「……え…?」

何故か、ワインぶっかけ女の口から、疑問の声が漏れた。

スーリンが、私の髪に覆い隠すように、何処から取り出したか分からないタオルをかけた。


(※マリアナ視点)

ワインをかけられた女は、口を半開きにしたまま、硬直していた。

なんてアホ面なんだ…!

いい気味ね。

後悔に歯向かって、心の中でそう叫んでやった。

しかし。

「……え…?」

私の口からも、マヌケな声が漏れた。

けれど、私は口を塞ぐことをしなかった。

誰が見ても、この状況は、マヌケな声が漏れても仕方ない。


彼女の髪が、赤く、ワインのように染まっていったのだ。

…髪が、赤く染まる…?

いや、そんなことはあり得ないハズだ。

考えられる可能性はひとつ。

彼女の髪が、ニセモノだった場合だけなのだ。
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