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後宮3
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(今までこんなにゆっくり過ごしたことがないので何をして良いのかわからない)
マリアは物心ついた頃から父と2人で畑仕事に精を出してきた。
学校から帰ってきたら遊ぶ暇もなく働いた。
辛いと感じる日もあったけれど守る者がいるので必死に働き生きてきた。
家は貧乏な方で食事もいつも質素なものだった。
それでも食べる物には困らない位の生活を送っていた。
それがいきなり”王のコレクション”の仲間入り・・・。
(本当に現実なのだろうかと疑いたくなるよね・・・)
自分の顔を鏡に映してみてみる。
やはり白髪で赤い瞳、透けるような白い肌。
「普通は気味悪がるのに・・・変な王だわ」
(自分でも気持ち悪いなぁと思うことあるのに)
グレンのようにこの容姿を受け入れてくれる人は稀だった。
悪魔の子と言われ育った。
(その度に母は私に謝り泣いていた)
「はー・・・退屈だと嫌な事ばかり思い出すなぁ」
(でもグレンと約束したし・・・)
部屋からは出れない。
もし、部屋から出たらどんな怒りを買うか分からない。
「うーん、暇だわぁ」
ベッドにゴロゴロ転がりながら呟いた。
ふと上を見ると呼び鈴を見つけた。
何となく何も考えずに引っ張ってみた。
すると侍女が1人現れた。
「お呼びでしょうか、マリア様」
「マリアでいいです」
そう言うと侍女は言った。
「グレン様唯一の寵妃様を呼び捨てになんて出来ません」
「あの・・・すみません。実は用事は無いんです」
「え?」
侍女はきょとんとした表情になった。
「暇で・・・何となく呼び鈴を鳴らしてしまいました。すみません」
素直に謝ると侍女は気を悪くしなかった。
それどころか昨日より動きやすい衣装と靴。
お菓子とお茶を持ってきてくれた。
着替えてみるとフリルが少ない分シンプルだけどヒールも低いので足も痛くなかった。
「あ、ありがとうございます」
「いえ、構いませんよ」
正直にグレンとのやりとりを話してみると侍女は微妙な顔をした。
「この部屋から絶対に出るなっと言われていて・・・」
「私もその方が良いかと思います」
(やっぱり危険なことがあるのかな?)
「何故ですか?」
「今、マリア様の立場はどの娘たちよりも上なのです」
「・・・それはわかったけど」
俯くマリアを励まそうと侍女は笑顔で言った。
「それは命の危険にさらされるかもしれないという事にもなります」
「は?」
マリアは思いがけない言葉に驚いた。
「マリア様を亡き者にしてその地位を奪おうとする者も出てくるという事です」
「侍女さん・・・」
何と呼べばいいのかわからずに職業名で呼んでしまった。
「ふふふ、私の名前はマナと言います」
「マナさん?」
「私はマリア様付の侍女のマナです」
マナは自己紹介が遅れていた事を思い出した。
改めて自己紹介し、2人で微笑みあった。
「何か困ったことがあったら呼び鈴を鳴らしてください。いつでも駆けつけます」
「はい。心強いです」
知らない場所は孤独でしかないと思っていたマリアは初めて友人が出来た気がした。
「・・・あの、後宮では何をして過ごせばいいんですか?」
「皆、それぞれ違いますから・・・」
「そうなんですね」
「うーん、今まで自分の時間がなかったので何をして良いか分からないんです」
その時だった扉が開き、マリアをめがけて白い何かが飛んできた。
マリアはそれをキャッチしまじまじと見つめた。
その白いものは子犬だった。
そしてその子犬を投げたのはグレンだった。
「グレン王!」
そう呼びマナは平伏した。
「そいつと遊んでいろ」
そう言い残し扉を閉め、グレンは去って行った。
「投げつける事ないじゃない!!」
もし取り落としたらどうするつもりだったんだろう。
「ふふふ、きっと手渡すのが照れ臭かったんでしょうね」
「マナさんはグレンと付き合い長いんですか?」
「はい」
「私はグレン王の子守役でした」
マリアはなるほどと納得した。
グレンの事を良く知っているなぁっと思っていた。
マリアは子犬にシロと名前を付け可愛がり始めた。
マリアは物心ついた頃から父と2人で畑仕事に精を出してきた。
学校から帰ってきたら遊ぶ暇もなく働いた。
辛いと感じる日もあったけれど守る者がいるので必死に働き生きてきた。
家は貧乏な方で食事もいつも質素なものだった。
それでも食べる物には困らない位の生活を送っていた。
それがいきなり”王のコレクション”の仲間入り・・・。
(本当に現実なのだろうかと疑いたくなるよね・・・)
自分の顔を鏡に映してみてみる。
やはり白髪で赤い瞳、透けるような白い肌。
「普通は気味悪がるのに・・・変な王だわ」
(自分でも気持ち悪いなぁと思うことあるのに)
グレンのようにこの容姿を受け入れてくれる人は稀だった。
悪魔の子と言われ育った。
(その度に母は私に謝り泣いていた)
「はー・・・退屈だと嫌な事ばかり思い出すなぁ」
(でもグレンと約束したし・・・)
部屋からは出れない。
もし、部屋から出たらどんな怒りを買うか分からない。
「うーん、暇だわぁ」
ベッドにゴロゴロ転がりながら呟いた。
ふと上を見ると呼び鈴を見つけた。
何となく何も考えずに引っ張ってみた。
すると侍女が1人現れた。
「お呼びでしょうか、マリア様」
「マリアでいいです」
そう言うと侍女は言った。
「グレン様唯一の寵妃様を呼び捨てになんて出来ません」
「あの・・・すみません。実は用事は無いんです」
「え?」
侍女はきょとんとした表情になった。
「暇で・・・何となく呼び鈴を鳴らしてしまいました。すみません」
素直に謝ると侍女は気を悪くしなかった。
それどころか昨日より動きやすい衣装と靴。
お菓子とお茶を持ってきてくれた。
着替えてみるとフリルが少ない分シンプルだけどヒールも低いので足も痛くなかった。
「あ、ありがとうございます」
「いえ、構いませんよ」
正直にグレンとのやりとりを話してみると侍女は微妙な顔をした。
「この部屋から絶対に出るなっと言われていて・・・」
「私もその方が良いかと思います」
(やっぱり危険なことがあるのかな?)
「何故ですか?」
「今、マリア様の立場はどの娘たちよりも上なのです」
「・・・それはわかったけど」
俯くマリアを励まそうと侍女は笑顔で言った。
「それは命の危険にさらされるかもしれないという事にもなります」
「は?」
マリアは思いがけない言葉に驚いた。
「マリア様を亡き者にしてその地位を奪おうとする者も出てくるという事です」
「侍女さん・・・」
何と呼べばいいのかわからずに職業名で呼んでしまった。
「ふふふ、私の名前はマナと言います」
「マナさん?」
「私はマリア様付の侍女のマナです」
マナは自己紹介が遅れていた事を思い出した。
改めて自己紹介し、2人で微笑みあった。
「何か困ったことがあったら呼び鈴を鳴らしてください。いつでも駆けつけます」
「はい。心強いです」
知らない場所は孤独でしかないと思っていたマリアは初めて友人が出来た気がした。
「・・・あの、後宮では何をして過ごせばいいんですか?」
「皆、それぞれ違いますから・・・」
「そうなんですね」
「うーん、今まで自分の時間がなかったので何をして良いか分からないんです」
その時だった扉が開き、マリアをめがけて白い何かが飛んできた。
マリアはそれをキャッチしまじまじと見つめた。
その白いものは子犬だった。
そしてその子犬を投げたのはグレンだった。
「グレン王!」
そう呼びマナは平伏した。
「そいつと遊んでいろ」
そう言い残し扉を閉め、グレンは去って行った。
「投げつける事ないじゃない!!」
もし取り落としたらどうするつもりだったんだろう。
「ふふふ、きっと手渡すのが照れ臭かったんでしょうね」
「マナさんはグレンと付き合い長いんですか?」
「はい」
「私はグレン王の子守役でした」
マリアはなるほどと納得した。
グレンの事を良く知っているなぁっと思っていた。
マリアは子犬にシロと名前を付け可愛がり始めた。
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