Lost Heroines

えりー

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2ヶ月後

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二ヵ月後、ヒバリ達はダンスと歌を完璧に出来るようになっていた。
初めから通して踊って歌ってもらって感動した。
ライラックもいい動きをしていた。
「3人共凄いじゃないか!!」
「本当ー!?」
「ありがとうございます」
「・・・ありがとうございます・・・」
3人はそれぞれにお礼を言った。
「特にライラックはよくここまで頑張ったな」
そう言いながらライラックの頭を撫でた。
一瞬ヒバリの視線を感じたが悟はライラックの頭を撫でた。
ヒバリはああ見えて、やきもち妬きなのであとで何か言われるだろう。
悟はヒバリも甘やかすと決めている。
ネイルが順番待ちのように上目遣いで悟を見上げている。
悟はネイルの頭も撫でた。
「ありがとーマネージャー!」
「ネイルもよく頑張ったな」
ヒバリを抱きしめて褒めてやりたかったが、それをするわけにはいけない。
悟は怒られるかもしれないと思いつつ、ヒバリの頭も撫でた。
ヒバリは少し驚いた表情をした。
ふと目が合ったが、特に怒った様子も無かった。
されるがままになった。
さらさらの黒髪を撫でると少し、ヒバリは微笑んでいた。
(子ども扱いは嫌いじゃなかったのか?)
そう思った悟だったがこんな些細なことで喜んでくれたことが嬉しかった。
その時レッスン室のドアが開きコーチが入ってきたので、悟は一瞬焦った。
(もしかして、見られたか?)
「石川さんは皆の事を可愛がっているんですね」
「いつから見ていたんですか!?」
そう訊ねるとコーチは答えてくれた。
「ライラックの頭を撫でている時くらいからかな」
(それって初めからなんじゃ・・・)
悟は真っ赤になった。
「石川さんの新しい一面を見た気分だわ。いつもあんな風に接するの?」
「・・・はい・・・」
悟は答えにくそうに答えた。
「明日は本番なんだし今日はこの辺で解散しましょうか」
「「「はい」」」
3人は元気よく返事をした。
ライラックもコーチのおかげで体力がついたようだった。
初日はボロボロで悟におんぶされて帰った。
しかし、今は元気にしている。
その姿を見て悟は安心した。
いよいよ明日が本番だ。
小瓶にもエネルギーが溜まるだろう。
そうすると3人は元の世界に帰ることが出来る。
残ることもできる。
どの答えを選んでも後悔はしてほしくない。
悟としてはこの世界に馴染んできたのだから残ってほしいと思っていた。

翌日、本番の日が来た。
朝早くから悟は3人のマンションに向かった。
インターホンを鳴らしドアが開くととライラックが飛びついてきた。
微かに震えていた。
「ライラック、緊張してるのかい?」
ライラックはコクリと頷いた。
震えるライラックを軽く抱きしめ背中を擦った優しく声をかけた。
「大丈夫だよ、あんなにレッスン頑張ったんだから上手くいくよ」
そう言い終ると次はネイルが姿を現した。
「あー!ライラックだけ狡い!!」
そう言いネイルは悟に飛びついてきた。
「わっ!」
2人の女の子に抱きつかれるのは悪い気がしない。
しかも2人共美少女だ。
そこにヒバリもやってきた。
「ライラック、ネイルだけ狡いです」
「・・・ヒバリもおいで」
ヒバリを呼ぶとヒバリは遠慮がちに抱きついてきた。
どうやら3人共緊張しているようだ。
「3人共やるべきことはやってきたんだから大丈夫だよ」
「はい頑張ります」
「・・・頑張る・・・」
「わたしもー!」
3人は共悟の言葉で持ち直したようだ。

3人はマンションを後にして会場へ向かった。
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