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結城と入浴
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鳳凰の間での行為が終わり、動けない体で入浴することは難しかった。
それでも何とか立ち上がろうとする美優を見て結城が手を貸した。
体を見られるのが嫌な美優は相変わらずシーツに包まったままだった。
トントンっと戸をノックする音が聞こえた。
「湯殿用意ができました。どうぞお入りください」
結城は鳳凰の間から扉続きとなっている湯殿へ、シーツに包んだまま美優を抱き上げ連れて行こうとした。
「きゃあ!」
「暴れるな。湯にこのまま一緒につかるだけだ。体がそのままだと気持ちが悪いだろう。たくさん汗もかいたし・・・血も出たし」
最後の方は歯切れの悪いい方だった。
「優しくしたつもりだったんだが血が出てしまった」
「え?いや、あのそういうものなので・・・」
あまりそのことに触れないでほしい。破瓜の血は誰だって出るものだ。
でもそのことを知ってか知らずかわからないが、結城は落ち込んでいるように見える。
「大丈夫ですから・・・」
「そうか、それなら良かった」
そう言い微笑まれてしまった。その微笑は今の美優にとってとても眩しいものだった。
美優は結城に横抱きにされたまま、シーツに包まれたまま湯殿に浸かっている。
少し体が軽くなった気がした。
「説明不足で悪かったな・・・」
「もういいです」
「怒ってないのか?」
「もう怒ってません」
美優はわざと”もう”の所を強調して言った。
「そうか」
結城は短くそう答えた。
「まだ歩けそうにないか?」
「いいえ、もう大丈夫みたいです」
結城は優しい。
「そろそろ部屋に戻ります。悠里さんが心配してくれていたので」
「・・・わかった。名残惜しいが俺も仕事があるから、わからないことがあったら悠里に聞いてくれ」
「はい」
そうして二人は湯から上がった。
体を自分で拭くことができるまで回復した。
(よかった、王に体を拭いてもらうなんて恐れ多いものね)
そう思い本当によかったと思った。
それより裸を見られるのが恥ずかしい。
今まで男性と経験がなかったのでどうしても異性に裸を見せるのは抵抗があった。
美優は恥ずかしがり屋でもある。
(どうしよう着物の着かたがわからない・・・)
「結城さん、まだそこにいますか?」
「ああ、いるがどうかしたのか!?具合が悪くなったとか・・・」
「違います。あの、言いにくいのですが・・・」
美優が言い淀むと結城が続きを促した。
「何だ早く言ってみろ」
「あの、着物の着かたを教えてください・・・」
「何だそんな事か」
そう言うと戸の向こうから結城がやってきて綺麗に着つけてくれた。
「ありがとうございます」
「そんなことでいちいち礼は言わんでいいぞ。お前はもう俺の花嫁なんだからな」
「!」
急に恥ずかしくなり美優は鳳凰の間を後にした。
それでも何とか立ち上がろうとする美優を見て結城が手を貸した。
体を見られるのが嫌な美優は相変わらずシーツに包まったままだった。
トントンっと戸をノックする音が聞こえた。
「湯殿用意ができました。どうぞお入りください」
結城は鳳凰の間から扉続きとなっている湯殿へ、シーツに包んだまま美優を抱き上げ連れて行こうとした。
「きゃあ!」
「暴れるな。湯にこのまま一緒につかるだけだ。体がそのままだと気持ちが悪いだろう。たくさん汗もかいたし・・・血も出たし」
最後の方は歯切れの悪いい方だった。
「優しくしたつもりだったんだが血が出てしまった」
「え?いや、あのそういうものなので・・・」
あまりそのことに触れないでほしい。破瓜の血は誰だって出るものだ。
でもそのことを知ってか知らずかわからないが、結城は落ち込んでいるように見える。
「大丈夫ですから・・・」
「そうか、それなら良かった」
そう言い微笑まれてしまった。その微笑は今の美優にとってとても眩しいものだった。
美優は結城に横抱きにされたまま、シーツに包まれたまま湯殿に浸かっている。
少し体が軽くなった気がした。
「説明不足で悪かったな・・・」
「もういいです」
「怒ってないのか?」
「もう怒ってません」
美優はわざと”もう”の所を強調して言った。
「そうか」
結城は短くそう答えた。
「まだ歩けそうにないか?」
「いいえ、もう大丈夫みたいです」
結城は優しい。
「そろそろ部屋に戻ります。悠里さんが心配してくれていたので」
「・・・わかった。名残惜しいが俺も仕事があるから、わからないことがあったら悠里に聞いてくれ」
「はい」
そうして二人は湯から上がった。
体を自分で拭くことができるまで回復した。
(よかった、王に体を拭いてもらうなんて恐れ多いものね)
そう思い本当によかったと思った。
それより裸を見られるのが恥ずかしい。
今まで男性と経験がなかったのでどうしても異性に裸を見せるのは抵抗があった。
美優は恥ずかしがり屋でもある。
(どうしよう着物の着かたがわからない・・・)
「結城さん、まだそこにいますか?」
「ああ、いるがどうかしたのか!?具合が悪くなったとか・・・」
「違います。あの、言いにくいのですが・・・」
美優が言い淀むと結城が続きを促した。
「何だ早く言ってみろ」
「あの、着物の着かたを教えてください・・・」
「何だそんな事か」
そう言うと戸の向こうから結城がやってきて綺麗に着つけてくれた。
「ありがとうございます」
「そんなことでいちいち礼は言わんでいいぞ。お前はもう俺の花嫁なんだからな」
「!」
急に恥ずかしくなり美優は鳳凰の間を後にした。
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