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お披露目の儀(前日)
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”お披露目の儀”前日、美優は緊張していた。明日は大勢の人の前に出て愛想よく振舞わなければならない。
鏡の前で作り笑いの練習をしてみる。
(ぎこちない)
はぁー・・・と長いため息を美優はついた。
結城は王なので人前に出ることになれているが美優は違う。
人前に出るのが本当に苦手なのだ。
そんな美優を見て悠里が声をかけてくれた。
「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。皆、祝福してくれますよ」
「・・・悠里さん・・・でも、ちゃんとできるか不安で・・・」
少し大きくなった結がのしっと美優の膝に乗ってきた。結は美優の手を舐めてくれた。
「ほら、そんなお顔をなさるから結も美優様のことを心配しているんですよ」
そう言われ、美優は心を切り替えることにした。
「明日、何とか頑張ってみます」
「はい。頑張ると言っても、美優様は黙って微笑んで結城王の隣に立っているだけで良いんですよ」
「え?そうなんですか?」
美優は自己紹介か何かしなくてはいけないのかと思っていた。
美優は悠里の言葉を聞いて安心した。
「でも、私が心配しているのは・・・王族や貴族の方々が美優様に何かしてこないかという事です」
「え?どういうことですか?」
「結城王が釘を刺していたからきっと何もない思いますが・・・陰口位は覚悟しておいた方がいいかもしれません」
美優はそれを聞いてまた不安になってきた。
「結城王に嫁ぎたかった王族や貴族の娘はたくさんいらっしゃいますから」
「でも、それは禁忌だと・・・」
「そうです。でも結城王はとても人気のある殿方です。禁忌だとわかっていても恋に落ちる姫君もたくさんいますから・・・」
やっぱり結城は立派な王なのだと美優は思った。
それほどの人気があることは知らなかっが。
(・・・どうしよう。きっとひどいこと言われるんだろうな・・・)
「美優様、これもお勤めと思って乗り切ってください。もし危害を加えるような者がいましたら私が全力で排除いたしますから」
そう言いながら護身用の短剣をスッと悠里は取り出した。
しかも笑いながら。
(実は悠里さんも怖い人なのかな・・・)
怖くて本人には聞けなかった。
「明日の朝早く、お迎えに上がりますね。お支度に時間がかかりますから」
「はい。宜しくお願いします」
悠里はいつもの温和な悠里に戻っていた。
(さっきのは見間違いか何かだったのかしら・・・?)
美優はそう思った。
悠里は結を連れて部屋を出て行ってしまった。
もうじき夜になり、結城が美優の元へやってくる時間だからだ。
美優はベッドに倒れこんだ。
(明日はうまくいきますように、陰口か・・・少し怖いな・・・でも大体言われることは分かっている)
根暗とか、冴えないとか、凡庸とかそのあたりだろう。
一番言われて堪えるのは”結城王に相応しくない”だ。
そんなこと言われなくても分かっているからだ。
「美優、待たせたか?」
そう言いながら結城は部屋に入ってきた。
「いいえ、大丈夫です」
少し元気のない美優を見て結城が訊ねた。
「どうかしたのか?」
「明日のことで・・・少し緊張しているんです」
美優の頭を撫でながら結城は美優を抱き寄せた。
「大丈夫、何かあったら必ず守ってやるから。お前はただ笑っていてくれたらそれでいい」
「はい」
「いいか?貴族や王族の姫が何を言っても動じるんじゃないぞ?甘く見られるからな」
(やっぱり何か言われることは確定しているのね・・・)
ふぅっと美優は息を短く吐いた。
「今日はもう休もう」
「え?今日はしないんですか?」
結城は目を見開いて美優を見た。
「したほうがいいのか?」
「いいえ、そういうわけでは!!」
美優は慌てて訂正した。
これではまるで抱いて欲しかったかのようではないか。
(だっていつもはしつこいくらいしてくるから・・・)
美憂はベッドに横になっている結城の横に寝転んだ。
そして向かい合い抱き合って眠りについた。
鏡の前で作り笑いの練習をしてみる。
(ぎこちない)
はぁー・・・と長いため息を美優はついた。
結城は王なので人前に出ることになれているが美優は違う。
人前に出るのが本当に苦手なのだ。
そんな美優を見て悠里が声をかけてくれた。
「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。皆、祝福してくれますよ」
「・・・悠里さん・・・でも、ちゃんとできるか不安で・・・」
少し大きくなった結がのしっと美優の膝に乗ってきた。結は美優の手を舐めてくれた。
「ほら、そんなお顔をなさるから結も美優様のことを心配しているんですよ」
そう言われ、美優は心を切り替えることにした。
「明日、何とか頑張ってみます」
「はい。頑張ると言っても、美優様は黙って微笑んで結城王の隣に立っているだけで良いんですよ」
「え?そうなんですか?」
美優は自己紹介か何かしなくてはいけないのかと思っていた。
美優は悠里の言葉を聞いて安心した。
「でも、私が心配しているのは・・・王族や貴族の方々が美優様に何かしてこないかという事です」
「え?どういうことですか?」
「結城王が釘を刺していたからきっと何もない思いますが・・・陰口位は覚悟しておいた方がいいかもしれません」
美優はそれを聞いてまた不安になってきた。
「結城王に嫁ぎたかった王族や貴族の娘はたくさんいらっしゃいますから」
「でも、それは禁忌だと・・・」
「そうです。でも結城王はとても人気のある殿方です。禁忌だとわかっていても恋に落ちる姫君もたくさんいますから・・・」
やっぱり結城は立派な王なのだと美優は思った。
それほどの人気があることは知らなかっが。
(・・・どうしよう。きっとひどいこと言われるんだろうな・・・)
「美優様、これもお勤めと思って乗り切ってください。もし危害を加えるような者がいましたら私が全力で排除いたしますから」
そう言いながら護身用の短剣をスッと悠里は取り出した。
しかも笑いながら。
(実は悠里さんも怖い人なのかな・・・)
怖くて本人には聞けなかった。
「明日の朝早く、お迎えに上がりますね。お支度に時間がかかりますから」
「はい。宜しくお願いします」
悠里はいつもの温和な悠里に戻っていた。
(さっきのは見間違いか何かだったのかしら・・・?)
美優はそう思った。
悠里は結を連れて部屋を出て行ってしまった。
もうじき夜になり、結城が美優の元へやってくる時間だからだ。
美優はベッドに倒れこんだ。
(明日はうまくいきますように、陰口か・・・少し怖いな・・・でも大体言われることは分かっている)
根暗とか、冴えないとか、凡庸とかそのあたりだろう。
一番言われて堪えるのは”結城王に相応しくない”だ。
そんなこと言われなくても分かっているからだ。
「美優、待たせたか?」
そう言いながら結城は部屋に入ってきた。
「いいえ、大丈夫です」
少し元気のない美優を見て結城が訊ねた。
「どうかしたのか?」
「明日のことで・・・少し緊張しているんです」
美優の頭を撫でながら結城は美優を抱き寄せた。
「大丈夫、何かあったら必ず守ってやるから。お前はただ笑っていてくれたらそれでいい」
「はい」
「いいか?貴族や王族の姫が何を言っても動じるんじゃないぞ?甘く見られるからな」
(やっぱり何か言われることは確定しているのね・・・)
ふぅっと美優は息を短く吐いた。
「今日はもう休もう」
「え?今日はしないんですか?」
結城は目を見開いて美優を見た。
「したほうがいいのか?」
「いいえ、そういうわけでは!!」
美優は慌てて訂正した。
これではまるで抱いて欲しかったかのようではないか。
(だっていつもはしつこいくらいしてくるから・・・)
美憂はベッドに横になっている結城の横に寝転んだ。
そして向かい合い抱き合って眠りについた。
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