合コンに行ったら異世界の王に見初められました

えりー

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デート当日(前編)

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いつものように結城が部屋へやってきて突然驚くような事を言ってきた。
「デートというものをまだしてなかったな」
「デート?」
この世界で聞くと不思議な違和感がある言葉だった。
美優はこの城の一角から出たことが無かった。
その言葉を聞いて思わず喜んだ。
「もちろん護衛はつけるが、デートというものをしてみよう」
果たして護衛付きでもデートと呼べるのだろうか・・・
「あの、どこへ行くんですか!?」
(護衛付きでも外の世界が見られる)
思わず美優ははしゃいでしまった。
「そうだな、街をふらついてみようか」
特に目的もなく歩くらしい。
それも楽しそうだ。
「ところで護衛は、軍部からですか?」
「いや、悠里だが」
「え?」
(護衛が悠里さん?悠里さんの仕事は侍女なんじゃ・・・)
「どうして、悠里さんなんですか?」
「悠里が2番目に強いからだ」
「じゃぁ、1番目は?」
「俺だ」
(悠里さんが2番目に強いってどういうことだろう?)
「悠里は昔、俺の命を狙ってたんだ」
「え!?」
驚きの一言だった。
(まさか暗殺者か何かだったとか?怖くて聞きにくいな・・・)
「返り討ちにしてやったが、何故か俺のことを気に入ってこの城の侍女として働きたいと言ってきたんだ」
「それで侍女として雇ったんですか?」
「ああ。生涯忠誠を誓うそうだ」
美優には二人の関係がよくわからないが、悠里がそんな事をしていた事にとても驚いた。
「どうして命を狙ってたんでしょうか?」
「さぁな」
これ以上聞いても詳しくは教えてもらえそうにない。
それよりもデートの事を考えようと美優は思った。
「いつ行きますか?」
「明日は公務が無いから明日にしよう」
(明日!!)
「美優すごくうれしそうだな」
「はい!まだ街とか見たことないですから、すごくうれしいです」
美優は明日のことを考えると楽しみで仕方なかった。

翌日、結城より早く起きた美優は結城を起こした。
「結城様、起きてください!朝ですよ!!」
「美優・・・もう少し寝かせてくれ・・・」
「駄目です!今日はデートするんですから」
珍しく美優が強く言った。
結城は渋々起きた。
「悠里さん、支度お願いします」
そんな美優の姿を見て結城は笑いを堪えていた。
肩を震わせながら美優に言った。
「そんなに楽しみなのか?ただ街に行くだけだぞ?」
「街に行くのも楽しみですけど・・・結城様とデートできる事が楽しみなんです」
その言葉を聞いて結城は耳まで真っ赤になった。
(そんなに喜ぶのならこれからたまにしか出来ないがデートするのも悪くないな)
結城はそう思った。
「結城様、美優様のお支度をするのでお部屋の外でお待ちください」
そう言い悠里は寝起きの結城を部屋の外へ追い出した。
(悠里め、俺に忠誠を誓ったんじゃなかったのか?最近では美優の方に忠誠を誓っているように見える。まぁ、その方が俺も安心して公務に取り組めるが・・・)
「美優様うれしそうですね」
「はい」
「今日は街に行くので少し地味な着物にいたしましょうね」
「はい。宜しくお願いします」

「デート?」
眉間にしわを寄せながら紀藤が言った。
「結城様ご自分の立場分かっていますか?」
「ああ、わかっているとも。街の様子を見てくる」
「・・・要は美優様とデートがしたいんですよね?」
紀藤は怒りを抑えながらそう言った。
「・・・」
結城は無言を貫いた。
はぁー・・・と重たいため息をついて紀藤が言った。
「今回だけですよ。美優様の為に今回だけは見逃してあげます」
「護衛は悠里を付けるから大丈夫だ。あと結も番犬として連れていく」
「・・・結城様は変装なさって行ってくださいね」
「わかってる」
結城の顔は国民に知れているその為変装が必要だった。
美優はお披露目の儀一度だけ姿を見せただけなので、変装の必要はないだろう。
結城はそう思った。
結城は紀藤から服を借りた。
そしていつもはきちんとまとめている少し長めの髪を帽子の中に入れ隠した。
「まぁ、こんな感じで大丈夫でしょうけど、なるべく早くお戻りくださいね」
「ああ、分かっている」
(さて美優はどんな感じになっているのだろう)
そう思い、美優の部屋へ足を運んだ。

美優はいつもと違う少し質の悪い着物に身を包んでいた。
これで町娘にみえるだろう。
「私はお二人の邪魔は致しませんのでご安心ください。ただ美優様、結を必ずお供につけておいてください。」
「はい」
悠里は少し心配そうだった。
「そしてあまり街に長居されませんように。なるべく早くお戻りください」
「はい。ご心配ありがとうございます」
そう言い悠里と別れた。

悠里は気配を消し、二人の後をついていく。
結には色々仕込んであるからもし何かあっても対処してくれるはずだ。
悠里は結にそういう教育も施していた。










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