青い葉桜の下で

えりー

文字の大きさ
4 / 11

メイド

しおりを挟む
部屋の前に何かの気配を感じた。
”信用するな”
その言葉が真理子の頭をよぎる。
真理子は思わず身を固くしてしまった。
するとノックの音が聞こえた。
「は、はい」
真理子は迷ったが返事をした。
「リアン王様に命じられて来た者です。入室してもよろしいでしょうか?」
(あ、そういえば信頼できるメイドがどうとかいっていたな・・・)
「はい、どうぞ」
返事をするとメイド服を着た者が入ってきた。
「失礼します」
「あの、私は真理子といいます」
「私の事はキセとお呼びください」
真理子はキセという女性をまじまじ観察した。
(本当に信用していいのかしら・・・)
「キセさんは・・・人間の事どう思っているんですか?」
「・・・直球ですね。少し驚きました」
「不躾にすみません・・・」
キセは首を横に振り答えてくれた。
「憎いと思った頃もありましたけどもう過去の事です」
「・・・すみません」
はっとしたようにキセは真理子を見た。
真理子はとても悲しそうな表情をしていた。
「真理子さまが悪いわけではありませんよ?」
「私の居たところはもう今はダムの底に沈んでしまっています」
「え・・・?」
「死にかけていたところをリアン王様に救われたのです」
「そうなんですか・・・」
真理子の心境は複雑だった。
自分たちの生活の中でたくさんの者達が犠牲になったことを知ると胸が苦しくなった。
「そんな顔しないでください。昔の事です」
「でも・・・!」
「良いんです。今はこうやって過ごせているんですから」
キセは明るく笑いながら言った。
その笑顔には嘘は無いのだろうが申し訳なさでいっぱいになった。
「人間の代表として謝りたいです。ごめんなさい」
そう言うとキセは真理子に微笑みかけた。
「真理子様は不思議な方ですね」
「そ、そんな事ありません」
真理子にしたら普通の事をしただけだった。
でもキセは真理子の誠実なところが気に入ったようだった。
「そんな事よりお身体の方は大丈夫ですか?顔色が悪いようですが・・・」
「あ、いつもの事なので大丈夫ですよ」
正直横になりたいと思ったがキセの苦しみと憎しみを考えると出来なかった。
キセは確かに信用できそうな”木”だった。
キセやリアンしか知らないけれども”木”にも喜怒哀楽があることを知った。
真理子はこれからも植物を大切にしていきたいと思った。
「私が出来ることは少ないですけど・・・人間に対しての愚痴とか聞きますから!」
「ふふふふっ!本当に変わった方ですね」
また笑われてしまった。
キセはどこか嬉しそうだった。
「真理子様に不満はありませんし過去の事も忘れたいので愚痴なんてありません」
「そうですか・・・何もできなくてすみません」
真理子が謝ってばかりいるのでキセの表情が曇った。
「真理子様は気にしすぎですよ!さぁ、横になってください」
「あ、ありがとうございます」
「お食事の準備が出来たらここへお運びいたしますのでそれまで休んでいてください」
キセは真理子にそっと布団をかけてくれた。
「キセさん、ありがとうございます!」
「お気になさらないでください。私は今日から真理子様の専属メイドなんですから」
そう言いながらキセは部屋から出て行った。
1人残された真理子はゆっくり休むことにした。
夜になればリアンが戻ってくるだろう。
それまでに体力と気力を回復しておきたかった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

黒騎士団の娼婦

星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

冷徹団長の「ここにいろ」は、騎士団公認の“抱きしめ命令”です

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全16話+後日談5話⭐︎ 王都最硬派、規律と責任の塊――騎士団長ヴァルド・アークライトは、夜の見回り中に路地で“落とし物”を拾った。 ……いや、拾ったのは魔物の卵ではなく、道端で寝ていた少女だった。しかも目覚めた彼女は満面の笑みで「落とし物です!拾ってくださってありがとうございます!」と言い張り、団長の屋敷を“保護施設”だと勘違いして、掃除・料理・当番表作りに騎士の悩み相談まで勝手に開始。 追い出せば泣く、士気は落ちる、そして何より――ヴァルド自身の休息が、彼女の存在に依存し始めていく。 無表情のまま「危ないから、ここにいろ」と命令し続ける団長に、周囲はざわつく。「それ、溺愛ですよ」 騎士団内ではついに“団長語翻訳係”まで誕生し、命令が全部“愛の保護”に変換されていく甘々溺愛コメディ!

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された皇后を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

望まぬ結婚をさせられた私のもとに、死んだはずの護衛騎士が帰ってきました~不遇令嬢が世界一幸せな花嫁になるまで

越智屋ノマ
恋愛
「君を愛することはない」で始まった不遇な結婚――。 国王の命令でクラーヴァル公爵家へと嫁いだ伯爵令嬢ヴィオラ。しかし夫のルシウスに愛されることはなく、毎日つらい仕打ちを受けていた。 孤独に耐えるヴィオラにとって唯一の救いは、護衛騎士エデン・アーヴィスと過ごした日々の思い出だった。エデンは強くて誠実で、いつもヴィオラを守ってくれた……でも、彼はもういない。この国を襲った『災禍の竜』と相打ちになって、3年前に戦死してしまったのだから。 ある日、参加した夜会の席でヴィオラは窮地に立たされる。その夜会は夫の愛人が主催するもので、夫と結託してヴィオラを陥れようとしていたのだ。誰に救いを求めることもできず、絶体絶命の彼女を救ったのは――? (……私の体が、勝手に動いている!?) 「地獄で悔いろ、下郎が。このエデン・アーヴィスの目の黒いうちは、ヴィオラ様に指一本触れさせはしない!」 死んだはずのエデンの魂が、ヴィオラの体に乗り移っていた!?  ――これは、望まぬ結婚をさせられた伯爵令嬢ヴィオラと、死んだはずの護衛騎士エデンのふしぎな恋の物語。理不尽な夫になんて、もう絶対に負けません!!

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

処理中です...