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魔界屋敷の探検
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「この屋敷は俺のものだから好きに使ってくれて構わない。わからないことは召使に聞けばいい」
(この屋敷の主がヒューイなの!?)
てっきり下っ端の悪魔かと思ていたので実姫は驚いた。
「下っ端の悪魔じゃなかったのね」
素直に感想を言うと眉をひそめてヒューイは言った。
「俺は上級悪魔だ」
そんな上級悪魔がなぜ小娘呼び出しに応じたのか実姫には分らなかった。
「じゃあ、何で私ごときに呼び出せたの?」
「違う、呼び出されてやったんだ。俺もお前と一緒で退屈を嫌っているからな」
ヒューイはこの世界は退屈しないと言っていなかっただろうか?
彼にとっては退屈な世界なのだろうか?
「ヒューイは、この世界は退屈なの?」
ヒューイは無言でうなずいた。
「産まれてからずっと魔界にいると飽きるんだよ」
そう言って頭をガシガシかいた。
今までヒューイをじっくり見る余裕がなかったが彼はなかなか男前だった。
黒い長い髪、前髪も少し眺めで片目しか見えない。
瞳の色は金色でまるで黒猫のようだ。
身長はかなり高い190cm近くありそうだ。
手足はすらっと長く、声はよく響く低音。
人間界で歩いていれば振り返らない人間はきっといないだろう。
(私は昨日・・・この人に抱かれたのか・・・)
初めてが男前でよかったと実姫は思った。
これでもし昨日呼び出したのが不細工な男だったらと思うとぞっとする。
やっぱり実姫も女だ。
抱かれるのなら見目麗しい男が良いに決まっている。
でも、あんな思いをするのなら二度とごめんだと思っている。
じっとヒューイを観察していると目があった。
急に恥ずかしくなり目を逸らした。
ヒューイは何を思ったのかまたいきなりキスをしてきた。
昨日のように深いキスだった。
「んぅ・・・はぁ」
解放された後彼の顔を見ると何故か顔が少し赤くなっていた。
「自分からキスしておいて何で照れてるの!?」
そういうとヒューイは言った。
「おまえ・・・実姫が恥ずかしいこと考えていたからだろう」
「恥ずかしい事?」
「俺の事男前とか・・・」
(しまった、ヒューイは相手の考えていることをキスで読み取ることが出来たんだ!)
しかし、悪魔でも照れるのか・・・。
覚えておこう。
(きっと、さっきから私がじろじろ見ていたから何を考えているのか気になったのね)
実姫もキスされたことを思い出し急に恥ずかしくなった。
「ねぇ、この屋敷好きに使っていいって言っていたけど入っちゃいけない部屋とかはないの?」
「ない」
「ただ外には勝手に出るな。魔獣がいて襲てくるからな」
(確かにこの世界は飽きなさそうだ・・・)
実姫はそう思った。
実姫は早速部屋から出て探検しようと思ったが自分の姿を見るとパジャマ姿だった。
(いつの間に着たのだろう・・・違うっこれはヒューイが着せてくれたんだわ)
その事はひとまず置いといて、ヒューイに訊ねた。
「ねぇ、何か洋服ない?寝間着で探検はしたくないの」
「ああ」
そういい指をパチンと鳴らすとまるで魔法のように中世のドレスのような格好になった。
(すごい!!)
「魔法みたいね」
「魔術と言ってくれ」
(どっちでもいいじゃない)
そう思いながら彼にお礼を言って部屋を出た。
ヒューイは実はすごい人なのかもしれない。
自分の事を上級悪魔だと名乗るほどの実力を持っているみたいだ。
屋敷の中を探検してみるとやはり中世のヨーロッパのようだった。
鏡の間や、謁見の間みたいなところもある。
(・・・本当にすごい人なんだ・・・)
そんな人が退屈したりするんだ。
そう考えると少し共感できた。
彼はどういう人なのだろう・・・。
昨日会ったばかりで全く彼の人物像が出来上がっていない。
そもそもそんな余裕は昨日はなかった。
突然現れ、襲われ、連れ去られ今に至っている。
(とにかくいつか帰れるチャンスが来るかもしれない)
それまでここで暮らしていくんだからどこに何があるかくらい覚えておこうと思い、足を進めた。
使用人たちとたまにすれ違う。
彼らは実姫が通り過ぎるまで動きを止め、下を見て目を合わせようとはしなかった。
きっとそういう風に教育されているのだろう。
実姫はそう思った。
そうして元いた部屋に戻ってきた。
そこにはまだヒューイがいた。
「何か面白いものはあったか?」
「いいえ、特になかったわ」
(でも退屈はしなかった。楽しかった)
実姫はそれは素直に言わずにいた。
(この屋敷の主がヒューイなの!?)
てっきり下っ端の悪魔かと思ていたので実姫は驚いた。
「下っ端の悪魔じゃなかったのね」
素直に感想を言うと眉をひそめてヒューイは言った。
「俺は上級悪魔だ」
そんな上級悪魔がなぜ小娘呼び出しに応じたのか実姫には分らなかった。
「じゃあ、何で私ごときに呼び出せたの?」
「違う、呼び出されてやったんだ。俺もお前と一緒で退屈を嫌っているからな」
ヒューイはこの世界は退屈しないと言っていなかっただろうか?
彼にとっては退屈な世界なのだろうか?
「ヒューイは、この世界は退屈なの?」
ヒューイは無言でうなずいた。
「産まれてからずっと魔界にいると飽きるんだよ」
そう言って頭をガシガシかいた。
今までヒューイをじっくり見る余裕がなかったが彼はなかなか男前だった。
黒い長い髪、前髪も少し眺めで片目しか見えない。
瞳の色は金色でまるで黒猫のようだ。
身長はかなり高い190cm近くありそうだ。
手足はすらっと長く、声はよく響く低音。
人間界で歩いていれば振り返らない人間はきっといないだろう。
(私は昨日・・・この人に抱かれたのか・・・)
初めてが男前でよかったと実姫は思った。
これでもし昨日呼び出したのが不細工な男だったらと思うとぞっとする。
やっぱり実姫も女だ。
抱かれるのなら見目麗しい男が良いに決まっている。
でも、あんな思いをするのなら二度とごめんだと思っている。
じっとヒューイを観察していると目があった。
急に恥ずかしくなり目を逸らした。
ヒューイは何を思ったのかまたいきなりキスをしてきた。
昨日のように深いキスだった。
「んぅ・・・はぁ」
解放された後彼の顔を見ると何故か顔が少し赤くなっていた。
「自分からキスしておいて何で照れてるの!?」
そういうとヒューイは言った。
「おまえ・・・実姫が恥ずかしいこと考えていたからだろう」
「恥ずかしい事?」
「俺の事男前とか・・・」
(しまった、ヒューイは相手の考えていることをキスで読み取ることが出来たんだ!)
しかし、悪魔でも照れるのか・・・。
覚えておこう。
(きっと、さっきから私がじろじろ見ていたから何を考えているのか気になったのね)
実姫もキスされたことを思い出し急に恥ずかしくなった。
「ねぇ、この屋敷好きに使っていいって言っていたけど入っちゃいけない部屋とかはないの?」
「ない」
「ただ外には勝手に出るな。魔獣がいて襲てくるからな」
(確かにこの世界は飽きなさそうだ・・・)
実姫はそう思った。
実姫は早速部屋から出て探検しようと思ったが自分の姿を見るとパジャマ姿だった。
(いつの間に着たのだろう・・・違うっこれはヒューイが着せてくれたんだわ)
その事はひとまず置いといて、ヒューイに訊ねた。
「ねぇ、何か洋服ない?寝間着で探検はしたくないの」
「ああ」
そういい指をパチンと鳴らすとまるで魔法のように中世のドレスのような格好になった。
(すごい!!)
「魔法みたいね」
「魔術と言ってくれ」
(どっちでもいいじゃない)
そう思いながら彼にお礼を言って部屋を出た。
ヒューイは実はすごい人なのかもしれない。
自分の事を上級悪魔だと名乗るほどの実力を持っているみたいだ。
屋敷の中を探検してみるとやはり中世のヨーロッパのようだった。
鏡の間や、謁見の間みたいなところもある。
(・・・本当にすごい人なんだ・・・)
そんな人が退屈したりするんだ。
そう考えると少し共感できた。
彼はどういう人なのだろう・・・。
昨日会ったばかりで全く彼の人物像が出来上がっていない。
そもそもそんな余裕は昨日はなかった。
突然現れ、襲われ、連れ去られ今に至っている。
(とにかくいつか帰れるチャンスが来るかもしれない)
それまでここで暮らしていくんだからどこに何があるかくらい覚えておこうと思い、足を進めた。
使用人たちとたまにすれ違う。
彼らは実姫が通り過ぎるまで動きを止め、下を見て目を合わせようとはしなかった。
きっとそういう風に教育されているのだろう。
実姫はそう思った。
そうして元いた部屋に戻ってきた。
そこにはまだヒューイがいた。
「何か面白いものはあったか?」
「いいえ、特になかったわ」
(でも退屈はしなかった。楽しかった)
実姫はそれは素直に言わずにいた。
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