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信彦と彼女
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従兄から電話があり今会話の最中だ。
「じゃあ、明日決行するのね。くれぐれもよくほぐさないと駄目よ?」
「やり方は分かったんだけどさぁ、抵抗されそうで」
「男は度胸よ!!」
「・・・その度胸でオネェになったの?」
「ええ、そうよ。偽りの自分なんて捨てて本当の自分になりたかったの」
「信彦も頑張ってね」
努力している人に応援されると頑張ろうという気になる。
「ああ。頑張ってみる」
「結果は後で聞かせてね?これだけアドバイスしたんだから」
「了解・・・」
「じゃあ、お休み」
そう言って電話を切られた。
信彦は彰浩に受け入れてもらえる自信がなかった。
しかし、どうして彰浩は俺のキスを受け入れてくれるんだろう。
ただ溜まっているだけで性欲処理の対象としか見られていないのだろうか?
彰浩も鈍いが信彦も鈍かった。
いつものキスをしながら信彦は言った。
「今日、俺の家に来ねぇ?」
「え?」
家に誘われたのは初めてだった。
「何か予定でもあるのか?」
「いや、無いけど・・・」
「じゃあ、決まりな」
半ば強引に信彦は決めた。
信彦は彰浩の手を引き歩き始めた。
彰浩は恥ずかしくなりその手を振り払った。
「男同士が手をつないで外歩くのっておかしくねぇ?」
「そうか?」
信彦は堂々としている。
彰浩はいつも周りの目を気にしてしまう。
それは自分に邪な思いがあるからなのだ。
(いきなり何故家に誘われたのだろうか?)
彰浩は思った。
何か怒らせたのではないのだろうかと心配になった。
前を歩く信彦の表情は見えない。
信彦の家に着くと信彦の彼女が立っていた。
彼女は何やら信彦と親密そうに話していた。
正面から見てもかなりの美人だ。
身長は少し高めだが信彦とつり合う身長差だ。
「・・・やっぱり俺、今日は帰るわ」
そう言い彰浩は踵をかえし来た道を引き返した。
やっぱり信彦には女性と付き合うのが似合う。
自分では不釣り合いだ。
そう思うと涙が出そうになった。
信彦に誘われて浮かれてついてきた自分が情けない。
信彦は追ってきた。
「な、何で追ってくるんだよ」
「お前、何泣いてるんだ?」
「泣いてない!!」
強い口調で信彦に言った。
彰浩は握られた手を振り払おうとした。
しかし、体格差もあってなかなか振り払えない。
気がつくと信彦の彼女はいなくなっていた。
信彦は少し屈んで彰浩の顔を見た。
「やっぱり泣いてるじゃん」
「・・・お前、彼女帰ったぞ?良かったのか?」
「ああ、少し話があっただけだからな」
「へぇ・・・」
「とりあえず、うちに入ろう。こんなところで騒ぎにしたくない」
確かにその通りだ。
彰浩は渋々家の中に入った。
リビングのソファに腰かけるように促され、大人しく言うことを聞いた。
「それで何で泣いていたんだ」
(もう言ってしまおう・・・)
「お前に彼女がいるからだよ」
「は?」
「それだけで何でお前が泣くんだよ」
「それだけじゃないぞ!俺を彼女との練習台にしたり酷い事しているじゃないか!」
「・・・ちょっと待て。俺に彼女はいないぞ?」
信彦は言った。
その言葉を聞き彰浩は気が抜けた。
しかし、そしたらさっきの女性は信彦の何なのだろう。
「あ、さっきのあいつのこと言っているのか?あいつは俺の従兄でオネェだぞ」
「え?従兄?女じゃないのか!?」
「色々悩みがあるから相談に乗ってもらっていたんだ」
信彦は顔を赤らめそう言った。
珍しく顔が赤くなっている。
いつも冷静な彼からは想像できないほど真っ赤だった。
「それで、俺に彼女がいると何でお前が泣くんだ?」
「そ・・・それは・・・」
(もう誤魔化せない・・・)
「俺が信彦の事を特別に思っているからだ」
「特別?」
信彦はソファに座る彰浩を覗き込んだ。
「もう、この話はお終いだ。俺が勝手に誤解していただけだったんだ。俺はもう帰る!!」
「今日は帰さない」
「は?」
「泊まっていけよ」
「・・・無理だ」
気持ちを押し隠したまま一晩共にするなんてとてもできない。
そう言うと片方の手首に手錠をかけられた。
カチャンっと音がした。
鎖が伸びているのが見える。
「何でこんなことを・・・」
「帰さないって言っただろう」
そう言った信彦の目は妖しく煌いていた。
「じゃあ、明日決行するのね。くれぐれもよくほぐさないと駄目よ?」
「やり方は分かったんだけどさぁ、抵抗されそうで」
「男は度胸よ!!」
「・・・その度胸でオネェになったの?」
「ええ、そうよ。偽りの自分なんて捨てて本当の自分になりたかったの」
「信彦も頑張ってね」
努力している人に応援されると頑張ろうという気になる。
「ああ。頑張ってみる」
「結果は後で聞かせてね?これだけアドバイスしたんだから」
「了解・・・」
「じゃあ、お休み」
そう言って電話を切られた。
信彦は彰浩に受け入れてもらえる自信がなかった。
しかし、どうして彰浩は俺のキスを受け入れてくれるんだろう。
ただ溜まっているだけで性欲処理の対象としか見られていないのだろうか?
彰浩も鈍いが信彦も鈍かった。
いつものキスをしながら信彦は言った。
「今日、俺の家に来ねぇ?」
「え?」
家に誘われたのは初めてだった。
「何か予定でもあるのか?」
「いや、無いけど・・・」
「じゃあ、決まりな」
半ば強引に信彦は決めた。
信彦は彰浩の手を引き歩き始めた。
彰浩は恥ずかしくなりその手を振り払った。
「男同士が手をつないで外歩くのっておかしくねぇ?」
「そうか?」
信彦は堂々としている。
彰浩はいつも周りの目を気にしてしまう。
それは自分に邪な思いがあるからなのだ。
(いきなり何故家に誘われたのだろうか?)
彰浩は思った。
何か怒らせたのではないのだろうかと心配になった。
前を歩く信彦の表情は見えない。
信彦の家に着くと信彦の彼女が立っていた。
彼女は何やら信彦と親密そうに話していた。
正面から見てもかなりの美人だ。
身長は少し高めだが信彦とつり合う身長差だ。
「・・・やっぱり俺、今日は帰るわ」
そう言い彰浩は踵をかえし来た道を引き返した。
やっぱり信彦には女性と付き合うのが似合う。
自分では不釣り合いだ。
そう思うと涙が出そうになった。
信彦に誘われて浮かれてついてきた自分が情けない。
信彦は追ってきた。
「な、何で追ってくるんだよ」
「お前、何泣いてるんだ?」
「泣いてない!!」
強い口調で信彦に言った。
彰浩は握られた手を振り払おうとした。
しかし、体格差もあってなかなか振り払えない。
気がつくと信彦の彼女はいなくなっていた。
信彦は少し屈んで彰浩の顔を見た。
「やっぱり泣いてるじゃん」
「・・・お前、彼女帰ったぞ?良かったのか?」
「ああ、少し話があっただけだからな」
「へぇ・・・」
「とりあえず、うちに入ろう。こんなところで騒ぎにしたくない」
確かにその通りだ。
彰浩は渋々家の中に入った。
リビングのソファに腰かけるように促され、大人しく言うことを聞いた。
「それで何で泣いていたんだ」
(もう言ってしまおう・・・)
「お前に彼女がいるからだよ」
「は?」
「それだけで何でお前が泣くんだよ」
「それだけじゃないぞ!俺を彼女との練習台にしたり酷い事しているじゃないか!」
「・・・ちょっと待て。俺に彼女はいないぞ?」
信彦は言った。
その言葉を聞き彰浩は気が抜けた。
しかし、そしたらさっきの女性は信彦の何なのだろう。
「あ、さっきのあいつのこと言っているのか?あいつは俺の従兄でオネェだぞ」
「え?従兄?女じゃないのか!?」
「色々悩みがあるから相談に乗ってもらっていたんだ」
信彦は顔を赤らめそう言った。
珍しく顔が赤くなっている。
いつも冷静な彼からは想像できないほど真っ赤だった。
「それで、俺に彼女がいると何でお前が泣くんだ?」
「そ・・・それは・・・」
(もう誤魔化せない・・・)
「俺が信彦の事を特別に思っているからだ」
「特別?」
信彦はソファに座る彰浩を覗き込んだ。
「もう、この話はお終いだ。俺が勝手に誤解していただけだったんだ。俺はもう帰る!!」
「今日は帰さない」
「は?」
「泊まっていけよ」
「・・・無理だ」
気持ちを押し隠したまま一晩共にするなんてとてもできない。
そう言うと片方の手首に手錠をかけられた。
カチャンっと音がした。
鎖が伸びているのが見える。
「何でこんなことを・・・」
「帰さないって言っただろう」
そう言った信彦の目は妖しく煌いていた。
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