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高校一年生(暗号・トリック中心)
タイムカプセル7
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屋上へのぼる途中で、赤野に聞いてみる。
「なあ、結局どんな事件なんだよ」
「僕の推察でいい? 確たる証拠はないよ?」
俺は、首を縦に振る。
赤野は話す。
「犯人は、現在重体の春川夢佳を訪ねた時に、話をした。それは、春川夢佳が誰かに刺されて重体だということから明らか。誰かに会った。その人物は、あの『棚の写真』、つまり、写真に関連した人物。そして、坂東久美、相良愛花にも殺意が向き、殺された。……ここからは、本当に推察。犯人は、その春川夢佳との話し合いで、学生時代の時の秘密を明かされた。ずっと信じて拠り所にしていたことが崩されて、犯人は、狂気に走ってしまったんだ」
赤野は、説明を続ける。
「五人目の人物は、名前が分からないから、仮にAとするよ? Aは、おそらく、春川以外の三人と恋愛関係にあった。それは、今までの暗号が物語っている。呪いの王と言われる崇徳院の愛の和歌、命がけで愛を得たトゥーランドットの話、そして、恋人と死んだクロッカス。どの暗号も、密やかに語っているのは、Aとの愛。ここで、もう犯人は特定できるよね? 三人は重体と死亡で不可能。Aには、皆を殺す理由がない。だって、皆卒業して昔のことだし、何とでも言い訳できるよね?だから、犯人は、石持久美と断定できる」
石持久美は、春川夢佳の話を聞いて、坂東久美、相良愛花にも確かめに行った。そして、春川夢佳の言うように、Aが他の三人とも関係を持っていたと知り、嫉妬と怒りで、殺害してしまった。
「たぶんね、石持久美は崇徳院の暗号、坂東久美がトゥーランドットの暗号、相良愛花がクロッカスの暗号。写真の暗号の春川夢佳を殺し、その後に殺した二人からタイムカプセルの場所を、石持久美は、聞き出していると思う」
「どうして?」
「だって、最終目標は、Aだから。石持久美がAに会わないなんて有り得ない。Aを問い詰める証拠が詰まった物。それが、タイムカプセル。そこには、きっとAへの想いや夢を書いた物が残されている可能性が高い。『将来の私へ、卒業して愛しいAとは一緒になれましたか?』とか、『高校生活は、Aへの愛で彩られていました。いまはどうですか?』なんて言葉が残されているはずだ」
だから……
赤野は、言葉を続ける。
「Aを誘い出して、タイムカプセルを探しに来たはず……」
赤野が話し終わる前に、木根刑事が階段の前に立ちはだかる。
「すまんがここまでだ。この屋上は、封鎖する」
神妙な面持ちの木根刑事。
「駄目だった? やっぱり間に合わなかった?」
赤野が聞けば、木根刑事が、無言で首を縦に振る。
俺たちは、強制的に家に帰ることになった。
後でテレビのニュースで聞いた話によれば、
死んでいたのは、石持久美と、佐久間祐輔という教師。佐久間は背中から刺されて死んでいて、石持久美は、自殺と断定された。
回復した春川夢佳の証言や、ナイフの種類、その後の刑事達の周辺への聞き込みなどで、石持久美の一連の犯行は立証された。
タイムカプセルには、『今はまだ誰にも言えないけれども、きっと未来は一緒になれるよね。死んじゃったあの児も、天国で見守ってくれているわ』という、高校生の石持久美の手紙。それぞれが佐久間への愛を匂わせる坂東久美、相良愛花の手紙。そして、『みんなどうして佐久間が好きなの?』なんて言葉が含まれた春川夢佳の手紙。そんな物が入っていた。
そう木根刑事が教えてくれた。
「なあ、結局どんな事件なんだよ」
「僕の推察でいい? 確たる証拠はないよ?」
俺は、首を縦に振る。
赤野は話す。
「犯人は、現在重体の春川夢佳を訪ねた時に、話をした。それは、春川夢佳が誰かに刺されて重体だということから明らか。誰かに会った。その人物は、あの『棚の写真』、つまり、写真に関連した人物。そして、坂東久美、相良愛花にも殺意が向き、殺された。……ここからは、本当に推察。犯人は、その春川夢佳との話し合いで、学生時代の時の秘密を明かされた。ずっと信じて拠り所にしていたことが崩されて、犯人は、狂気に走ってしまったんだ」
赤野は、説明を続ける。
「五人目の人物は、名前が分からないから、仮にAとするよ? Aは、おそらく、春川以外の三人と恋愛関係にあった。それは、今までの暗号が物語っている。呪いの王と言われる崇徳院の愛の和歌、命がけで愛を得たトゥーランドットの話、そして、恋人と死んだクロッカス。どの暗号も、密やかに語っているのは、Aとの愛。ここで、もう犯人は特定できるよね? 三人は重体と死亡で不可能。Aには、皆を殺す理由がない。だって、皆卒業して昔のことだし、何とでも言い訳できるよね?だから、犯人は、石持久美と断定できる」
石持久美は、春川夢佳の話を聞いて、坂東久美、相良愛花にも確かめに行った。そして、春川夢佳の言うように、Aが他の三人とも関係を持っていたと知り、嫉妬と怒りで、殺害してしまった。
「たぶんね、石持久美は崇徳院の暗号、坂東久美がトゥーランドットの暗号、相良愛花がクロッカスの暗号。写真の暗号の春川夢佳を殺し、その後に殺した二人からタイムカプセルの場所を、石持久美は、聞き出していると思う」
「どうして?」
「だって、最終目標は、Aだから。石持久美がAに会わないなんて有り得ない。Aを問い詰める証拠が詰まった物。それが、タイムカプセル。そこには、きっとAへの想いや夢を書いた物が残されている可能性が高い。『将来の私へ、卒業して愛しいAとは一緒になれましたか?』とか、『高校生活は、Aへの愛で彩られていました。いまはどうですか?』なんて言葉が残されているはずだ」
だから……
赤野は、言葉を続ける。
「Aを誘い出して、タイムカプセルを探しに来たはず……」
赤野が話し終わる前に、木根刑事が階段の前に立ちはだかる。
「すまんがここまでだ。この屋上は、封鎖する」
神妙な面持ちの木根刑事。
「駄目だった? やっぱり間に合わなかった?」
赤野が聞けば、木根刑事が、無言で首を縦に振る。
俺たちは、強制的に家に帰ることになった。
後でテレビのニュースで聞いた話によれば、
死んでいたのは、石持久美と、佐久間祐輔という教師。佐久間は背中から刺されて死んでいて、石持久美は、自殺と断定された。
回復した春川夢佳の証言や、ナイフの種類、その後の刑事達の周辺への聞き込みなどで、石持久美の一連の犯行は立証された。
タイムカプセルには、『今はまだ誰にも言えないけれども、きっと未来は一緒になれるよね。死んじゃったあの児も、天国で見守ってくれているわ』という、高校生の石持久美の手紙。それぞれが佐久間への愛を匂わせる坂東久美、相良愛花の手紙。そして、『みんなどうして佐久間が好きなの?』なんて言葉が含まれた春川夢佳の手紙。そんな物が入っていた。
そう木根刑事が教えてくれた。
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