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窓辺の会話
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フランネが事前に情報をくれるからか、あの乱闘騒ぎからアスナが取り巻き連中から少し不信感をもたれ始めたからか、とにかく二学期は、乱闘騒ぎのような大きな事件も起こらず過ぎてくれたので助かった。
クラウス先生に、二度もレポートを要求された俺だ。期末のテストも、ほとんどがギリギリ。チャラ男のマキノやフランネまでちゃんとパスして冬休みは家に帰っている。なのに、俺だけが補習に引っかかってレポートを再び求められている。ううっ。
クラウス先生と俺は、そうとう相性が悪いようだ。
「ほら、ちゃんとペンを持って! さっさと終わらないと、新年も祝えませんよ?」
リンネが俺を叱咤する。
仕事熱心なリンネの両親。裁判官と判事という二人は、今事件を抱えていて、家に帰ってこないらしい。それならば家に帰っても仕方が無いし「リオスが寮に残るなら、僕も残りますよ」と、リンネは残ってくれた。有難い。
雪が積もってただでさえ寒いのに、一人ぼっちでレポートなんて寒すぎる。寂しすぎる。みじめすぎる。
「ちょっと温かいココアでも作って来ます」
全くレポートの進まない俺に気を使ってくれるリンネ。
リンネが去った後、しばらく経って、コツンと窓に何かが当たる音がする。
なんだろう?と、窓の外を見てみると、セシルが雪の中に立っていた。
「セ、セシル様??」
慌てて俺は、窓を開けると、セシルが嬉しそうに笑う。
「今、一人か?」
「え、ええ。そうです。リンネはココアを入れにいってくれています」
「そうか」
「セシル様? いかがなされましたか? そんな雪の中にいれば、凍えてしまいます」
俺は慌てる。
話があるならば、部屋にくればいいのに。
どうして、寒い雪の中に?
「リオスが、困るのだろう? 私が近づけば」
「や、だからって、そんな。風邪を引いてしまいます。」
「それよりも、頬の傷」
「きず? ああ、これですか?」
「痕になってしまっているな」
セシルの言う通り、演劇祭で受けた傷は、思ったよりも深くて、薄っすらとした跡が残っている。この程度、別にいいかと思って気にもしていなかったが、セシルは心配してくれていたんだ。
ちょっと嬉しい。
「あの乱闘の時……」
「どうかしましたか?」
「お前を置き去りにして、本当にすまなかった」
「え、そんな滅相もない」
「ずっと、話がしたくて……」
「セシル様?」
「まだ、思い出せない?」
「それが、リンゴを一緒に食べて、舟で遊んで、その後で、セシル様にシロノと二人で……そこまでは思い出したのですが、それ以上は」
「そうか……」
セシルは、じゃあ良い、と言って、立ち去ってしまった。
「何、ロミジュリやってんですか?」
振り返れば、二人分のココアのカップを持ったリンネが、冷めた目で見ている。
「ろみじゅり? ロミオとジュリエット?」
「だって、そうでしょ? こんな窓辺でこっそり密会だなんて。ほら『貴方はどうしてロミオなの?』って嘆くシーンですよ」
リンネに指摘されておののく。
リンネの持って来てくれたココアを受け取って飲めばぬるい。
結構最初の会話から聞いていたのではないだろうか?
確かに、あの有名な窓辺のシーンに似ているか? あれ? マジか、似ているな。
俺、ひょっとしてまたやらかした?
クラウス先生に、二度もレポートを要求された俺だ。期末のテストも、ほとんどがギリギリ。チャラ男のマキノやフランネまでちゃんとパスして冬休みは家に帰っている。なのに、俺だけが補習に引っかかってレポートを再び求められている。ううっ。
クラウス先生と俺は、そうとう相性が悪いようだ。
「ほら、ちゃんとペンを持って! さっさと終わらないと、新年も祝えませんよ?」
リンネが俺を叱咤する。
仕事熱心なリンネの両親。裁判官と判事という二人は、今事件を抱えていて、家に帰ってこないらしい。それならば家に帰っても仕方が無いし「リオスが寮に残るなら、僕も残りますよ」と、リンネは残ってくれた。有難い。
雪が積もってただでさえ寒いのに、一人ぼっちでレポートなんて寒すぎる。寂しすぎる。みじめすぎる。
「ちょっと温かいココアでも作って来ます」
全くレポートの進まない俺に気を使ってくれるリンネ。
リンネが去った後、しばらく経って、コツンと窓に何かが当たる音がする。
なんだろう?と、窓の外を見てみると、セシルが雪の中に立っていた。
「セ、セシル様??」
慌てて俺は、窓を開けると、セシルが嬉しそうに笑う。
「今、一人か?」
「え、ええ。そうです。リンネはココアを入れにいってくれています」
「そうか」
「セシル様? いかがなされましたか? そんな雪の中にいれば、凍えてしまいます」
俺は慌てる。
話があるならば、部屋にくればいいのに。
どうして、寒い雪の中に?
「リオスが、困るのだろう? 私が近づけば」
「や、だからって、そんな。風邪を引いてしまいます。」
「それよりも、頬の傷」
「きず? ああ、これですか?」
「痕になってしまっているな」
セシルの言う通り、演劇祭で受けた傷は、思ったよりも深くて、薄っすらとした跡が残っている。この程度、別にいいかと思って気にもしていなかったが、セシルは心配してくれていたんだ。
ちょっと嬉しい。
「あの乱闘の時……」
「どうかしましたか?」
「お前を置き去りにして、本当にすまなかった」
「え、そんな滅相もない」
「ずっと、話がしたくて……」
「セシル様?」
「まだ、思い出せない?」
「それが、リンゴを一緒に食べて、舟で遊んで、その後で、セシル様にシロノと二人で……そこまでは思い出したのですが、それ以上は」
「そうか……」
セシルは、じゃあ良い、と言って、立ち去ってしまった。
「何、ロミジュリやってんですか?」
振り返れば、二人分のココアのカップを持ったリンネが、冷めた目で見ている。
「ろみじゅり? ロミオとジュリエット?」
「だって、そうでしょ? こんな窓辺でこっそり密会だなんて。ほら『貴方はどうしてロミオなの?』って嘆くシーンですよ」
リンネに指摘されておののく。
リンネの持って来てくれたココアを受け取って飲めばぬるい。
結構最初の会話から聞いていたのではないだろうか?
確かに、あの有名な窓辺のシーンに似ているか? あれ? マジか、似ているな。
俺、ひょっとしてまたやらかした?
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